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バングラデシュのオンラインメイドサービスが面白い! スマホから簡単にメイドが呼べるサービスHello Taskを紹介

バングラデシュのメイド文化

バングラデシュでは、中流以上の家庭であればほとんどの家にメイド、いわゆる家事使用人がいる。
特に雇用が不足している都市部では、メイドという職業が地方から出稼ぎにきた教育も特別なスキルも身に着けていない女性たちにとって重要な雇用の受け皿となっている。

彼女たちの多くは、どこの組織にも属しておらず、知り合い等の紹介から働き口を見つけている。いわば完全なフリーランスだ。

より多くの賃金を得るために、メイドたちはいかに多くの働き口を持っているかが重要であり、新しい働き口を求めているメイドも多い。
彼女たちの多くは組織によって守られていないため、突然の解雇や不当な働き方を強いられたりする場合もあり、社会問題の一つとして問題視されることも多い。

一方で、雇用する側にとっては家のこと全てを安心して任せることのできるメイドを探すことは難しい。
雇ったメイドが朝時間通りに来なかったり、場合によっては雇ってすぐに家の物を盗まれてしまうこともあるからだ。

このような課題に目をつけたスタートアップがある。
信頼できるメイドをスマホから簡単に呼ぶことのできるオンラインメイドサービスHello Taskだ
1時間あたり約150円~という分かりやすく、リーズナブルな価格で家事代行サービスを提供しており、1カ月間のトライアル期間もついている。

今回はバングラデシュのスタートアップ情報を発信しているメディアFutureStartから、2017年にサービスを開始したHello Task のCEO、Mahmudul Hasan Likhon(以下Mahmudul)へのインタービューを抜粋し、同社の軌跡とサービス概要を紹介する。

どのようにしてHelloTaskのアイデアは生まれたのですか?

Mahmudul:
私は大学を卒業した後、両親から借金をして、弟とともにオンラインのデリバリーサービスを始めました。
ユーザーから日用品などのちょっとした買い物を請け負い、家まで届けるというサービスです。
私たち自身にはにはクールなアイデアに思いましたが、事業はうまくいかず、両親から借りた資金も尽きかけていました。

ある晩、弟と自分たちのオンラインオンデマンドサービスをどのようにして成長させるか話し合っていた時、メイドサービスのオンラインプラットフォームを作るというアイデアが浮かびました。

私たち自身、自分たちのメイドが朝時間通りに来ないという問題を抱えており、ダッカで信用のできるメイドを探すことの難しさを体感していたのです。
現在のHelloTaskのアイデアはその時に生まれたものです。

私たちはバングラデシュのメイド市場のことをよく知らなかったので、まずは自分たちのアイデアに本当に需要があるのかを確かめる必要がありました。
最初に試したのはFacebookでユーザーの反応を確かめることです。
「もうすぐ新しいオンデマンドメイドサービスを開始します」とポストすると、ユーザーからは十分な反応を得ることをできたので、需要があることを確かめることができました。

次のステップは、サービスを提供するメイドをどのようにして雇うかということでしたが、ここで大きな困難に直面したのです。

そもそも私たちはメイドをどうやって雇うのかを知りませんでした。
毎日メイドとして生活している人が多い、低所得者が集まるスラムや、工場の前にたち、日雇いで働く女性たちにメイドとして自分たちと働かないかと声をかけ続けました。

最初は信用が得られず、メイドを雇うのにかなり苦労しました。私たちのことを詐欺師や、人身売買の類の業者なのではと疑う人さえいました。
彼女たちと様々な方法で信頼関係を築き、メイドの登録者を増やしていくうちに彼女たちはより良い稼ぎを得られることに気づくと同時に、サービスを利用したユーザーからも満足な反応を得ることができました。


HelloTaskとは、どのようなサービスなのでしょうか?

Mahmudul:
アプリ上で信頼できるメイドと、雇い主のマッチングプラットフォームを提供しています。

ユーザーはHelloTaskのスマホアプリから家事代行サービスを頼むと最短1時間でサービスを受けることができます。日付指定や、1カ月間の割引トライアルをすることも可能です。

メイドが到着したら、IDカードをスマホでスキャンして、仕事時間と支払金額を計算できるようにします。
この方法は、支払いのトラブルを避けるだけでなく、セキュリティの面でも非常に有効です。
私たちのサービスに登録されているメイドは登録にあたって面接とトレーニングを受けているため、ユーザー側も信頼してサービスを頼むことができまるのです。

また、メイドの側は1日HelloTaskを通して働くことで、最大で18,000tk(約20,000円)の収入を得ることができます。これは裁縫工場や、日雇いで働くよりもはるかに高い報酬(工場労働者の平均月給は約1,5000円)です。
私たちのメイドのほとんどはフリーランスとして、HelloTaskを使って追加収入を得ています。

サービス開始当初のモデルは現在とは異なり、メイドを自分たちの従業員として雇い、彼女たちの稼働日、労働時間には関係なく、固定給を払うモデルでした。
しかし、このモデルだと、規模が大きくなった際に莫大な人件費がかかるため、なかなか規模を大きくすることができないという課題がありました。

そこで、現在のモデルであるメイドをフリーランサーとして登録するモデルに変更しました。
メイドの登録数が増えれば増えるほど、サービスの提供回数と利益が増えるシステムを作ったのです。

現在までに32,000のクライアント、500人のメイド登録数がありますが、2020年までにメイドの登録数を5000人にすることが目標です。

サービス開始からどのようにユーザーを増やしたのですか?

Mahmudul:
私たちはバングラデシュで信頼のおけるメイドを探すことが難しいという課題に目をつけました。
メイドのレビューをアプリ上で確認できることや、メイド登録者数が増えれば増えるほど、私たちのメイドは信頼できるという口コミでユーザーが徐々に増えていきました。
月ごとのパッケージ契約による割引や、様々なプロモーションも成果を出しています。

これまでのHelloTaskのユーザー数は32,000、認定されているメイドは500人に昇りますが、2020年までに5000人の認定されたメイド登録者数にすることが目標です。

HelloTaskを始めてから学んだことと、今後の目標を教えてください

Mahmudul:
私たちはHelloTaskを始めてから数年間で本当に多くの失敗を経験しましたが、全ての失敗が、私たちにとって非常に重要なことを教えてくれました。

大きな失敗の一つはサービス開始までの準備です。持続可能で、スケーラブルなモデルを見つけるまでに8カ月以上かかり、準備が整ったときには資金がほとんど尽きかけていました。
サービス開始後も、メイドの数が足りず、顧客の需要に供給が追い付かないという自体が発生し、顧客の満足度を下げてしまう時もありました。
メイドの数が足りていないにもかかわらず、マーケティングに注力してしまったために起きた失敗です。

もう一つの大きな失敗は正しい投資家を選べなかったことです。
私たちの投資家の中には、IT業界の激しい変化に慣れておらず、我々の方針と合わない人たちもいました。
結果として、彼らの期待値に到達せず、事業の成長に影響が出てしまうこともありました。

このような数々の失敗を得て、スタートアップにおいて多くの投資を集めることよりも、事業によって収益を出すことの大切さに気づきました。


私たちの目標は家事使用人として働くメイドたちの生活を向上させると同時に、メイドを見つける際の手間やトラブルをなくすためのプラットフォームを作ることです。
私たちの提供するメイドは、全員がトレーニングを受けており、非常に洗練されています。
バングラデシュのメイド市場では、職が不足しているが、信頼のできるメイドを雇いたい個人や、団体はたくさんいます。

このような矛盾をなくし、お互いが満足できるサービスを提供し続けること、それによって家事使用人たちの自立を促すソリューションを提供していきたいです。

インタビュー記事原文

バングラデシュでは昔から一般的なメイドという職業だが、時代の変化とともに彼女たちの不当な働き方に対する人権問題など、負の側面の改善を求める声も高まっている。

特に都市部での雇用が不足する中、テクノロジーを使ったHelloTaskのようなサービスが、需要と供給の適切なマッチングを生み出し、持続可能なビジネスモデルで社会問題を解決するサービスが今後も増えていくだろう。

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