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お話しが降りてくる

お話「サエコの現実」
最近のサエコにはもう一つの現実が見え始めていた。
それはとても美しく言葉にできない程の世界であった。

サエコは36歳を一般的な暮らしを送っている。子供は居ないが優しい旦那がおり慎ましく日々を暮らしていた。しかしパンデミック後は緩やかに現実的な世界を雲させていた。
曇り始めた現実的な世界をサエコは気に入っていた。居心地が良いと感じるほどだ。どちらかと言うとパンデミック前の世界の方が辛さを感じた。常識やルール、人に気を使い過ぎる過度な感じが、うんざりしていたようだ。
そんなサエコは近頃、ぼんやりする。頭の中でぼや〜〜〜っともう一つの世界が見える。その世界では暖かく全てが優しい。抽象的でふわふわした霧がかかっている。

遠くで誰かが教えてくれる。「ここはエネルギー世界。あらゆるものは全てエネルギーで出来てるからね。キミは頭の中で感情や思考も含めエネルギーです。そしてこの世界を創造できるよ。」彼はテレパシーのように直接頭の中伝えてくれる。

その世界は光っており流動的で心地よい。
「なんて素敵なんだろう。この世界はどんどん私を惹きつける。そして何より現実世界よりもリアリティーを感じる。」サエコは惚れ惚れしてしまう。
こんなことを医者に言うと何かしら診断がつくだろう?しかしそんな事は問題ではない。
サエコは、もう一つの現実世界で多くを学んでいる。目の前の現実も幻想であり、エネルギー世界の一部だ。サエコはもう一つの美しい現実で生きて行く覚悟をした。

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