熱海の崖に家を建てる 不在地主問題
最初の仮契約から2年半、土地取得の目途がたってまいりました(正式にはまだなんだけどね)。狙って粘って実現したことですが、本当にプロジェクトが始まるのはこれからと思うと感慨深いです。
今日は、時間を要した不在地主問題についてお届けします。
絶景カフェ、の隣の森
Marie's Kitchen & Live Studio さんのテラスに立ったのが、ご縁の始まり。
そこは、晴れた日には房総半島までみえる相模湾、見ようによってはアマルフィのようでもある熱海の市街、そして真っ青な空。
絶景とは、まさにこの景色をいうのでしょう。
道路から見るとただの森だったはずなのに、ここに目をつけて、森を切り拓き、絶景カフェを建てたオーナーのトシコさんとコジマさんがスゴイ!
たまたまその敷地の一部を売りに出し、たまたま買いたいという方がキャンセルしたタイミングに、私たちはこの土地に出会い、惚れ込み、勇気を出して、購入希望を申し出たのでした。
金額も合意し、仮の売買契約を締結したのは2019年の1月。
それから2年と6ヶ月。
一旦契約が白紙に戻ったりしながら、諦めきれず、数えること40回。
熱海ビーチラインとブルーラインの回数券ユーザーとなり、熱海に通い続けました。
コロナの間も月に1-2回熱海に通い、粘りに粘り。
敷地は、1200坪。
35年前に熱海市の小学生が植林したヒノキの森、竹林あり、です。
平な所はほぼありません。
言ってみれば崖。
この崖に、自腹で熱海Case Study Houseを建てるのです!
理由は不在地主問題
土地取得になぜ2年半もかかったのか、気になりますよね。
いわゆる不在地主問題の解消に時間を要したのでした。
土地の分筆には、隣りの土地の所有者の同意が必要です。オーナーさんの土地の隣接敷地が、不在地主さんの土地だったのです。
仮の売買契約をして比較的すぐに、不在地主さんがいらっしゃることがわかりました。
おじいさまの代で登記が止まり、今は孫の代。
関係者の数はネズミ算式に膨れ上がっています。行方のわからない方もいらっしゃって、それでも全ての方の同意が必要です。
山林は固定資産税評価額が30万円以下だと課税されないので、相続登記をしなくても困りません。土地の価値が低いと不在地主問題は起こりやすいのです。
土地を紹介してくれた最初の不動産屋さんは、当初「なんとかなるでしょう」と楽観的な反応でした。
そんなものかと軽く考えていましたが、なかなか解決しない。
3ヶ月経っても、半年経っても状況がよくわからない。
何度か契約延長し、1年ほど経過した段階で「解決はほぼ無理」と白旗が上がったのでした。
こちらはプロではないものの、ネットで丹念にリサーチしています。
法務局の職権で境界確定できるように法律が改正がされていることを伝えたのですが、「難しい」との回答。
ラチが空きません。
一旦仮売買契約を解消し、白紙に戻すことになりました。
コロナが変えた理想の住まい
そうこうするうちに、年が明け、2020年。
コロナが蔓延し、世間は先行き不透明な状況になっていきます。
サラリーウーマンな私は、リモートワークに移行。会社に貼りついていたワークスタイルが、4月の緊急事態宣言下では月1回出社と激変いたしました。
"家では仕事をしない"前提でつくった我が家は、夫婦と2にゃんが寛ぐことを目的に設計しています。
夜と休日、二人と2にゃんがまったり過ごせるよう、大きめのLDKにソファ、オープンキッチン、ダイニングテーブルを配し、2にゃんが安全に外気を楽しむためのサンルーム、そして寝室で構成。
ダンナもリモートワークだったりすると、唯一きちんと座って仕事ができるダイニングテーブルの奪い合いになります。
あ、猫とも、です。。
二人とも会議が始まると、唯一のワークスペースであるLDKではお互い相手の声が気になって集中できません。
多くはダンナがサンルームに動いてくれるのですが、4月の夜はストーブが必要な気温。寒いんだよねーと、ブツブツ文句を言われます。
私はといえば、一日中teams会議が連続することが多く、息抜きがほしい。
会社にいれば、少なくとも会議室を移動しますよね。それすらない座りっぱなしな日々は、腰は痛くなるし閉塞感も半端ない状況です。
仕事ができる部屋がもう一部屋あったら。
景色を愛でながら仕事の合間にお茶できたら。
森での散策やサーフィンができたら運動不足を解消できるよね。
これまでとは違う暮らしに対する妄想が膨らんでいきました。
熱海は新幹線を使うと東京まで40分。通勤圏でもあります。
いっそ、引っ越してしまおうか、とも。
土地売買が成立するまで2年以上も粘ることができたのは、数少ないコロナのポジティブな側面かもしれません。
頼りになる不動産屋さんが解決してくれた
頼りになるオーナーさんは、問題解決のために、新しい不動産屋さんをご紹介くださいました。
最近、熱海は随分と注目されていますよね。
背景には当然立役者がいて、その一人、マチモリ不動産の三好社長。
このスタックした状況から脱出する道をつくってくれました。不在地主問題解決のご経験豊富な、いわの不動産の岩野社長につないで下さったのです。
岩野さんのアドバイスは、
まず敷地を改めてきちんと測量する。
地元のネットワークをフル活用し隣接敷地の方と交渉する。
これをもって法務局と相談、職権で境界確定する、というもの。
測量に費用がかかりますが、売り手も買い手も前向きであったこともあり、トントン拍子で物事が進み始めました。
それでも実際には細かくトラブル発生。
それをひとつずつ、丁寧に解決。
最初の不動産屋さんが白旗をあげたのは面倒くさい割に実入りが少ないからが本当の理由でしょう。
今後は相続登記が義務化されるとはいえ
科料は10万円未満。
国土の2割、九州と同じ面積が不在地主だとすると、もっと抜本的な政策がないと状況改善しないだろうなあ。
そうすると、やはり、不在地主問題は、経験があり、丁寧に寄り添ってくださる不動産屋さんの存在がキモになりますね。
買う側も多少時間はかかりますので、ゆっくり構えることが必要。
不在地主問題のおかげで熱海の人々と仲良くなる時間が増えたのだから、実は必要な時間だったと、今では思っています。
まとめ
土地取得の実現は絶景と思える土地と素敵なオーナーさんに出会え購入するチャンスをいただけたこと、コロナで自分たちの理想の住まいが変わったこと、そして困りごとを一緒に考え解決策を導いてくださる経験豊富な不動産屋さんに出会えたこと、がポイントでした。
不在地主問題のケーススタディは、どれがかけても前に進みませんでした。
関係したすべての皆さんに感謝しています。
みなさまからいただく「♡マークのスキ」がものすごく嬉しいです。記事を読んで「へー」と思ったらぜひポチっとしていただけますよう、お願いします!(スキは非会員でも押すことができます)
また、フォローやシェアも大歓迎でございます。noteを通して皆様と交流できれば幸いです。
出典 国土交通省「所有者不明土地の実態について」https://www.mlit.go.jp/common/001201304.pdf 4月5日
時事ドットコム 「相続登記義務化、改正法成立 所有者不明土地の解消で」https://www.google.co.jp/amp/s/www.jiji.com/amp/article%3fk=2021042100856&g=pol 4月25日
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?