毎月死にたくなる女

PMSという言葉が出来てから、生理について格段に話しやすくなったと思う。

SNSでも「生理だ〜」というつぶやきこそなかったものの、「PMSだ〜」なら頻繁に見かけるようになった。

かくいうわたしも、学生時代、毎月やってくる激しい鬱と怒りに耐えかねて婦人科の門を叩いた一人だ。

PMSとわからなかったころ、わたしは自分が精神を病んでしまっているのだと毎月考えていた。

月末になるとなぜか、どうでもいいことで脇目も振らず泣いてしまう。キャンパスで人が行き交う中、歩きながらダラダラと涙をこぼしてしまう。

そんなとき大学のエスカレーターの横が吹き抜けていようものなら、ここから飛び降られる…などという、普段なら「アブナい人」と茶化しそうな考えが本気で頭をよぎる。

家に帰ると訳の分からない愚痴を延々と垂れ流しては癇癪を起こして大泣きし、同居していた家族に辟易とされる。

将来の仕事にも繋がりそうな、優秀な先輩との飲み会も、前々から楽しみにしていたのに途端に憂鬱になりドタキャンしてしまう。

彼氏と会っていてもネガティブなことをぽつぽつ言っては勝手にぐったりして無言を貫き、それはそれはまっくろなオーラを放っていた。

これらは、生理前の一週間前頃から突如あらわれだし、生理が来ると泡のように消えてしまう。

精神的なものだけではなく、身体的にもしんどかった。
胸が張りすぎて腕をあげるのもつらく、シャンプーをすると吐き気がする。
ももが張って熱っぽく、湿布をしないと寝付けない。
お腹がすくので、むさぼるように食べ物を口に運んでしまう。味がはっきりわからず、辛いものや酸っぱいものなど刺激の強いものばかり食べて、胃を悪くする。
猛烈な眠気がとまらない、講義だろうと大事な会議だろうと居眠りをやめられない。
肘から下が鉛のように鈍重な感覚で、痛くてたまらない。腕にも湿布を貼って出かける。

自分の意思次第でそんな諸々などどうにでもできるはずなのに、20歳頃を境に、生理そのものが重くなり、それに伴って生理前のしんどさが増幅した。

婦人科で診断を受けたのはPMSと多嚢胞生卵巣症候群だった。

怖いのは、こうやって意外と大きな病気が隠れていることも可能性もあるということだ。

PMSがしんどいというだけで婦人科に行きかねている人も、将来少しでも子どもをもつ可能性を考えているのであれば、もっと気軽に、婦人科に行ってみてほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?