きもち。

「何が食べたい?」「何が好きだった?」「何かしたいことはある?」
私を気遣って色々な質問をくれる。

「なんでも食べれますよ」「全部楽しかったです」「新しくしたいことは特にないです、」
曖昧な答えばかりを送り返す。
肩透かしを食らわせていることに優越感すら抱いていた。

「何を考えているか分からない。」
真剣にそう言われて始めて、この人を傷つけているんだと気が付いた。
私に歩み寄ろうとする人間で、自己防衛という名の元に遊んでいたのだと気が付いた。

それからは変わろうと思い至った。
少しでも傾きがあれば伝えてみよう、と。

「何が好きだった?」


(わからない  じぶんのきもちがわからない)

どれだけ頭を回して考えてみても答えは見つからなかった。
「全部楽しかったですよ。」
笑いながら答えた自分に絶望した。

嘘をついて誤魔化してばかりいると、なにが本当か分からなくなる
いつか聞いた誰かの台詞が頭の中をこだまする。

幼い頃に取りこぼした愛情のカケラが、ここにもあった。

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