見出し画像

徳川埋蔵金が、ドバっと@

そりゃないだろ!
「徳川埋蔵金」の巻

徳川埋蔵金って知ってる?

徳川埋蔵金:江戸時代末期に江戸幕府が大政奉還に際し、密かに地中に埋蔵したとされる幕府再興のための軍資金のことで、金塊あるいは貨幣とされる。(ウイキペディアより抜粋)

今回は、この徳川埋蔵金を掘り当てる、と言う番組について。
大橋巨泉が司会をやっていた時のこと。

大橋巨泉と言えば、テレビを知り尽くした、テレビ時代の寵児だ。

その大橋巨泉が、或る回の
「ついに、徳川埋蔵金を掘り当てた?(正確な名称は忘れた)」
の冒頭で放った台詞が、
今でも鮮明な記憶として、頭の中に刷り込まれている。

台詞そのものを覚えているというより、その台詞が視聴者に与えた心理的影響が強烈だったのだ。

番組では、各種重機を用いた大掛りな発掘作業が行われる。

発掘作業自体は当然、録画されたものを編集して流す。
それをスタジオで大橋巨泉が見ながら、番組は進行する。
従って、もし発掘作業で埋蔵金が出ていたら、放送される前に、マスコミで報道されるはずだ。

(以下の台詞は全て、こんな感じのことを言っていたよな、と遠い微かな記憶を辿って再現したものです)

「皆さん、既に新聞報道等でご存知の方もいるかと思いますが、今回ついに結果が出ました」

何?
新聞あまり読んでなかったから知らないけど、ついに出たの?

「糸井くん、ついにやったね」
(発掘プロジェクトのリーダーが、あの有名なコピーライター糸井重里氏でした)

「はい。各種分析の結果、現場の井戸周辺が最も可能性が高いということで、重点的に発掘作業を進めました」

このようなやり取りの後、徳川埋蔵金の歴史から始まり、各種分析、関係者の証言等をまとめた映像を見ながら番組は進行する。

何しろ、3時間枠の特別緊急生放送?だ。
制作費が膨大な金額に上ったことは想像がつくので、視聴率獲得は至上命令だ。

報道番組ばりに、スタジオに専門家を招き、解説が加えられる。
(こういう時の専門家って、何が専門なの?って、悩んでしまう)

「この井戸周辺に、徳川埋蔵金が埋められている可能性が高いということですが、今までこの場所を調査したことはなかったのですか?」

「もちろん、この井戸も候補に上がったことはありました。しかし、ここは地形的に発掘が困難な場所で、費用面で、なかなか発掘作業を進めることが出来ませんでした」

「なるほど。そこに今回の発掘プロジェクトが名乗りを上げた、ということですか」

「これほどの規模の発掘作業は、かつて類を見ませんからね」

画像1

ここで、発掘現場の映像が流れる。
夜間の映像だ。

画面を突き破り、こちらまで届きそうな強い照明の中、
戦車ばりの重機が何台も、勝ち誇ったように作業を進めている。

……と、こんな感じで番組は進行する。

番組冒頭で、
「ついに埋蔵金がでました」
とやってしまっては、3時間の長丁場を引っ張れない。

視聴者をテレビの前に釘付けにし、興奮状態の脳を、コマーシャルで洗脳して、
購入意欲を脳に、埋蔵金のように、埋め込まねばならない。

大橋巨泉の巧みな話術で、
チャンネルを変えるなんてとても出来ない心理状態に陥ってしまう。

インターネットがまだ発展途上で、もちろんスマホなどない頃のこと。
徳川埋蔵金が発掘されたのかどうかを、
テレビの前で、手軽に調べられる時代ではなかった。

結局、最後まで観てしまった。
3時間テレビの前で、手に汗握っていたので、のどが渇いた。

結果は……


(ゴチになります
の羽鳥アナふうに)

徳川埋蔵金が、

今回、

ついに、

なんと、

なんと、、、
……
……

出ませんでした〜〜〜

はい、
出ませんでした。

出なかったんですね。

そうです、
徳川埋蔵金は発掘されなかったのです。

番組冒頭で、埋蔵金が……

と言っていたけど、

「徳川埋蔵金が発掘されました」

とは断言していなかったわけで、
詐欺では無い。(のだろう)

そして、
それより、
巧いな、
巨泉、巧いな、
と感心したのだ。

大橋巨泉の冒頭の煽り、否、
冒頭台詞には負けました。

それにしても、
無性にのどが渇く。

番組CMで流れていた、
清涼飲料を、脳が欲している。

本能の赴くまま、
ちょっとコンビニまで、
買いに出かけたのであった。

われはギャンブラー。
希代の負け癖¯\_( ͡° ͜ʖ ͡°)_/¯









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?