酸味のあるコーヒーが飲めるようになった話

最近は昔ほど酸味のあるコーヒーは
流行りではなくなったと思うので、
焙煎店の皆さんは
少し抑え気味にしている気がするのですが、
「サードウェーブコーヒー」なんて言葉が
もてはやされた10年くらい前には
今より酸味を強調したコーヒーが数多くありましたね。
その中には今なら「生焼けか」と
disってしまいそうな、
飲んだ後に舌が痺れるような
下手くそな焙煎もあったのだけど、
まあそこら辺はちょっと置いといて昔話を。

さてそんな10年ほど前、
私は何をしていたかと言うと、
仕事の関係で御殿場に行って
1人暮らしをしていました。

タリーズを入り口に、
スーパーで買うコーヒーよりも
美味しそうなコーヒーに興味を持って、
御殿場の自家焙煎のお店でコーヒーを買ったり
今までとは違うクラスのコーヒーに
興味を持ち始めたのもこの頃です。
これにはツイッター等で発信し始めた
コーヒー業界のひとたちの影響も
あったかなと思います。
(その中には当時はTHE COFFEE SHOP にいたMさんもいて随分知識をもらいました)
今にして思えばそんな感じで始まった
自分のコーヒーの浅い沼なんですけど。

どこからか(まあたぶん誰かのツイッターから)
「長野に美味しい自家焙煎コーヒーの店がある」と言う情報を得て
初めて通販と言ったものを使ってみました。

「丸山珈琲」の通販です。

もちろんグラインダーは
持ってなくて粉で購入しました。
そしてコーヒーを淹れるのはコーヒーメーカーでした。

美味しいと言うのはどんな味なのだろうと
期待をしつつ。

出来上がりを飲んでみたら、酸味が気になる。
嫌とまではいかないけど残念ながら酸味が気になる。
「美味しい」とはこう言う味を言うのか…と思いつつ。
その後は消費が進まず、また御殿場の自家焙煎店の豆とかを飲みつつ過ごしていたのですが。

そんな中でその丸山珈琲の尾山台のラボで
コーヒーの試飲会(無料セミナー)があることを知って
参加することにしました。

当時住んでいた御殿場からは
都内に直行バスが出ていて
遊びに行きやすかったので割と敷居は低かったのです。

丸山珈琲は今でこそですが、まだその当時は
東京に店としては進出していなくて、
近いうちには進出したいと
お話していたような時期でしたが、
その試飲会に集まっていた人の多くが
コーヒーがマニア的に好きな感じの人で
やはり有名な珈琲屋さんなのだなあと言うのが
その時の自分の感想でした。

そしてそこでコーヒーや味わい、
特に酸味についての座学を受けつつ
初めていわゆるエスプレッソブレンド的でない
酸味もしっかりあるエスプレッソを
超高級なエスプレッソマシンで淹れてもらい
飲んだりしまして。
そんな体験をしても、でも色々初めてすぎて
ピンとくる感じではなく帰途に着いたのでした。
でもなんとなく楽しかったことは覚えています。

そんなぼんやりな私の丸山珈琲体験だったのですが…。

一夜明けて朝になりいつものように。
それでも昨日の今日なので
消費が進んでなかった丸山珈琲を
コーヒーメーカーで淹れて飲んでみたら、
これが不思議なことに…。

「あれっ美味しい!」

本当素直にそう感じたのです。
これは本当に驚きで、
「人の味覚って知識によって変わるものがあるのだな」と人生で初めて得た知見でした。

そんな感じで私は、良く自家焙煎店の人が語る
「酸っぱいコーヒーが苦手と言う人でも
酸味のあるうちのコーヒーは美味しいと感動した」みたいな自慢エピソードはちょっと馬鹿にしているのですが、
まあ実際、酸味のあるコーヒーが苦手な人が
それを好きになることがあることは
身をもって経験しているのでした。




 




御殿場のアウトレットのボダムで
フレンチプレスを買ったのもこのくらいの時期

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