縁側住人1人目「両方もって生きる人」 IDEA coffee & chai Mikiさん
このインタビュー記事は、
学校の先生と文筆家二足のわらじに挑戦中の
“アスノコトノハ”が、
Voicyパーソナリティー 小川奈緒さんの元に集う
魅力的な皆さん(縁側の皆さん)の一ファン
として、書いています。
縁側の皆さんの魅力が少しでも伝わり、
お互いのファンになれたら、
誰かの新たな一歩を応援できたら、
そんな願いを込めてお届けします。
記事を読んでの感想、リクエストなど
ぜひどしどしお寄せください。
私も取材して欲しい。
あの人のことが知りたいという
リクエストにお答えしながら、
縁側の活動がもっと魅力的になればと
願っています。
アスノコトノハ
静と動。
おおらかさと緻密さ。
謙虚さと大胆さ。
Mikiさんのインタビューを終えて
『どちらも持っている人』だなというのが、
私の印象だ。
彼女の脳内には大きな宇宙が広がっている。
Mikiさんの一日は朝暗いうちから始まる。
早ければ朝3時頃にはチャイを作り始める。
「やりたいことが多すぎて。
寝ている間に閃いて、
すぐやらなきゃと思ってしまうんです。」
とMikiさんは笑った。
この話を聞けば、Mikiさんって、
さぞかしパワフルでスピード感のある人だと
想像してしまうかもしれない。
しかし一方で、
会ってみたら第一印象は全く異なる。
どちらかというとおっとりゆったり、
丁寧な女性だ。
約半日一緒に過ごしながら、お話を伺った。
「私とってもゆっくりなんです。
イライラさせちゃうかもしれないけど、
ごめんなさい。」
自分がいかにせわしないかに気づき、
Mikiさんのペースにあわせて一日過ごそうと思った。
それでも、やりたいことは全部できた。
急がないとやりたいことが終わらない。
そう思っていたけれど、マイペースでも、
やりたいことはちゃんとできるんだ。
「慌てなくても大丈夫」Mikiさんから
教わった大切なことの一つだ。
Mikiさんはここまでどう過ごしてきたのか。
幼少期からのことを聞いてみた。
「物事を斜めに見ている子でした。
周りをよく観察していて、
こういうことをする人は、
こんな格好をしているとか、
パターンを見つけたりしていました。
同質を求められることもしんどかった。
元気で明るくて・・・を求められて、
みんなに合わせるのが辛かったです。
よく空想もしていました。
勉強も苦手で、
いつもぼーっとしているように
見られていましたね。」
実は私、
こういうつかみどころの無い子どもは
苦手なタイプだ。
Mikiさんの話を聞いていて、
なぜ苦手なのかを考えてみた。
それは、
「すべて見抜かれている気がする」
からだと気づく。
頭のいい子どもは、日本の教育や教師が
言う筋が通っていないところを
すべて分かっていて、
つじつま合わないよなと思いながらも、
決して言わない。
同質を求めているのが、日本の教育だ。
理由はいろいろある。
個性を大事にと言いながら、
変わっていかないのは、
変えない方が管理が楽だからだと思う。
多くの教員はそれに気がついている。
でも、今までの流れを変えるのは簡単ではない。
抗うとこっちがやられてしまうことも多い。
だから、結局変わらない。
そういう全部を見透かされている気がするのだ。
Mikiさんの大きな目には。
苦手と言うより、怖いのだと分かった。
本質が分かっているのに変えられない
自分の弱さを知られることが怖かった。
餅米の粒を全部消して、
きめ細やかな餅にすることが
美しいとされるような日本の教育。
おこわでも、粒の残るおはぎだって美味しいのに。
Mikiさんのお母様は我が子のことを
よく理解されていて、
個性を大事にする私立中学校へ入学した。
ここで人と同じでなくていい。
発言や行動やファッションで自分を表現していいと
知ったMikiさんは今につながる
自分らしさのベースを作っていった。
実はMikiさん、高校2年生まで
勉強ってどうやってするか知らずにいた。
教育熱心で医者になることを望まれた
兄妹の中で育ちながら、
予習も復習もテスト勉強さえ知らなかったという。
そのMikiさんが高2で突然「勉強」を始めた。
そのきっかけさえ覚えていないし、
100点を取ってしまいカンニングを疑われたという。
何というマイペース!
そして、そこまで我が子を信じた
ご両親の素晴らしさ。
しかしそれ以降、
勉強や努力をすれば自分はできる!!
という自信を付け、今につながる転機になった。
同じ時期に「今」に直接つながるチャイと出会う。
中学時代に大阪の有名店カンテグランデで
飲んだのが初体験。
大学時代のアフタヌーンティーでのアルバイトで、
紅茶の知識を得る。イギリス留学の経験、
「サラーム・ボンベイ」という映画との出会いが
チャイとの絆を深くした。
そこから、ネットショップの立ち上げまで
どんな道のりがあったのだろう。
コロナ禍で強制的に月に一日仕事を休みにされた
夫さんが、趣味でコーヒーの自家焙煎を始める。
元々職人気質だった夫さんは
カフェオープンの夢を模索し始めるが、
今の生活も成り立たせなければいけない。
Mikiさん自身は、家業である老舗の厨房機器の
卸売り事業の経営者でもある。
夫さんの夢も叶えつつ、
自分のやりたいことをやるためには
どうすればいいか。
自分が作る美味しいチャイを
誰かに飲んでもらいたいと
密かに思っていたMikiさんは、
ネットショップの立ち上げを思いつく。
そこからは日々期限を決めて
どんどん進んでいった。
店名である「IDEA coffee & chai」は
中村天風さんの「気=IDEA」が店名の由来である。
天風さんの言われる「絶対積極」を
大事に思っているからこそ、直感で決めた。
ネットショップがスタートして,
少し時間が経った今の率直な気持ちを聞いてみた。
「注文してくれた皆さんが、
日々の暮らしの中でコーヒーやチャイを
楽しんでくださっている様子が見えるのが
とても嬉しいです。
チャイを作っている時は幸せで、
いつの間にかに口角が上がっています。
思いを込めているのが伝わることが感動するし、
日々の励みになっています。」
そんなMikiさんの将来の夢。
それは実店舗を持つこと。
今までも、口に出したことで
いろんなことが形になっている。
これからもどんどんやりたいことを
叶えていきたいと
ミキさんは力強く語ってくれた。
Mikiさんの魅力は一言では語れない。
IDEA coffee とchai の味と同じように、
深くて甘くてと語ったところで
そのすべてが文字で表現できるわけでもない。
「何の面白さもない、
私はインタビューするに値しません。」
とびっくりするほど謙虚かと思えば、
「見ててください。
やりたいことがどんどん出てきます。」
と大胆発言もしてしまう。
強気と弱気が混在する。
夢を語ったかと思えば、
これで良かったのかと不安になる。
だけどこれって、誰もが同じじゃないだろうか?
一歩踏み出す時も、
そしてさらにアクセルを踏む時も。
もう一歩階段を上がろうとする時も。
私たちは弱気だし、強気だ。
Mikiさんもその一人。
みんなが駆け上がる人生の途中にいる。
一歩目は踏み出した。さて、次はどうする。
そんな夢の途中。そんなMikiさんの活動は
これからも目が離せそうにない。