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アフターピルのオンライン診療やOTC化ってなんで必要?と考える時に触れておきたい女性にとっての妊娠の不安

こんにちは、ピルコンの染矢明日香です。

現在、
\アフターピルをすべての女性に/
https://www.change.org/afterpill 

という署名キャンペーンを呼び掛けています。

そして、厚生労働省で、アフターピルのオンライン診療の議論がスタートしたとのこと!

日本では、アフターピル(緊急避妊薬)を産婦人科・婦人科を受診しなければ得ることができず、価格は1万5千円ほどします。

若い学生が産婦人科に行けば、白い目で見られたり、産婦人科医から「責任もとれないのにそんなこと(性行為)をするな」と責められることもあります。

アフターピルが入手しやすくなれば、悪用・濫用が増えるのでは?と言う観点から、2017年アフターピルを薬局で買えるようにする検討会議で否決されましたが、女性にとっての妊娠の不安について、今一度皆さんに考えてほしいと思うのです。

TBSのnews23にインタビュー取材を受けました!

私が初めて18歳の時に感じた妊娠の不安

私のエピソードを紹介したいと思います。私自身が初めて妊娠の不安を感じたのは、18歳の時でした。

大学1年生の夏、当時広まり始めていたSNSを通して、ある男性と仲良くなりました。SNSのやり取りを通して、名の知れた大学を卒業し、大手企業で働く10歳程年上の彼は、とても信頼できる人に思えました。
直接会って話そう、と誘われ、待ち合わせの駅に行くと、彼は車でやってきました。落ち着いて話せるから、と自宅に連れていかれ、用意されていたお酒を飲み、私は彼と性関係をもつことに至りました。

私も「友だちに遅れたくない」「経験値を積んで大人になりたい」という思いもあり(今思うと焦らなくていいと当時の自分に声をかけたいです。)、無理やりというわけではありませんでしたが、性経験も浅く、酔っ払ってよくわからない内に、コンドームをつけない性行為で、膣内に射精をされました。

高校までの性教育は、生物学的なメカニズムが中心で、妊娠を自分事に考えたことはあまりありませんでした。ただ、これが妊娠につながる行為であることは分かりました。けれど、性行為に至る過程でどのように相手とコミュニケーションをとっていいのか分からず、私はなされるがままでした。性行為は男性がリードするものという価値観もあったと思います。

どうやって家に帰ったかはよく覚えていませんが、もし妊娠したら、進学したばかりの大学はどうなるのか、これからの人生がどうなるのか、不安で仕方なくなりました。

「妊娠したらどうしよう…」と彼にメールで相談すると、「大丈夫だよぉ。もしできたら産めばいいよぉ^^」と返事が返ってきました。私の不安な気持ちに寄り添ってもらえず、自分という人格ではなく、性行為の相手としか見られていないことが悲しくなり、彼と会うのはもうやめようと思いました。
それまでまともな恋愛経験もなく、田舎から出てきたばかりだったので、深く傷つきながらも「大人の恋愛ってこんなものなのかなぁ」と当時は思いました。

それから、生理がくるまでの3週間、ずっと不安で押しつぶされそうな毎日を過ごしました。少しのだるさや胃の痛みといった体調の変化が妊娠初期症状に感じられ、どうしよう、どうしよう、と思いつつ、ただ祈り、待つしかありませんでした。

大学の友だちから「ちょっと顔つきが変わった気がするけど、何かあったの?」と言われても、まだ日の浅い人間関係の中で、打ち明けることはできず、一人で抱えていました。

数日遅れでやっと生理が来た日、心からホッとしました。

これで今までの日常にようやく戻れる。そう思いました。

そして、「大人も大丈夫だと言うし、やっぱり、そう簡単に妊娠するものではないんだな」と実体験を通して私は学びました。

その2年後に経験した妊娠と中絶

私の避妊の知識はアップデートされることなく、その2年後の20歳の時に、思いがけない妊娠をしました。(写真は20歳の頃のもの)

そして、将来のことを考えると、産むことを選ぶことはできず、中絶を選択しました。

自分の人生に必要だと思うけれど、できることなら避けたかった選択でした。

もし、自分も、相手も、緊急避妊薬について、避妊について、きちんとした知識を持っていたら。

そして、日本では出生数の約6分の1の数が中絶されています。約10人に1人の女性が中絶経験があるとも言います。

自分と同じような経験をする人を減らしたい。

そう思い、ピルコンの活動を始めました。現在中高生向けに性の健康教育プログラムやネットを通じた情報提供を行っています。

その中で、自分の同じような悩みを持つ子や、自分以上に大変な思いをしていると思う子にも会ってきました。

レイプをされたけど、親には絶対知られたくない、そしてお金がないし、緊急避妊薬は高いからと生理が来るのを不安を抱えながら待つ10代の子。

大学生で、パートナーとの性行為でコンドームが破れてしまったけれど、知識があり、緊急避妊薬を飲めて、妊娠するには至らなかった子。もし妊娠していたら産めないし、中絶は未成年の場合、親の同意書を求められ、どうしようと思っていたそうです。

パートナーが避妊に協力してくれなかったけれど、平日日中の時間帯に婦人科にかかることができず、妊娠・中絶に至った人。

そして、毎日にように来る「生理がきません」「妊娠していますか?」という相談メール。

大人になって、自分が苦しい思いをしたのは「大人の恋愛だから」ではないし、本来は守られるべき大人から搾取され、社会からは「自己責任」と見放されていたように感じました。大人になった今、そんな社会を変えたいと思っています。

そして、もし今まさに悩んでいる子がいるとしたら、知識と共に、「あなたはもっと大切にされていい存在なんだよ」と伝えたいです。今の社会は、あまりにも性のことで困っている若い子たちに冷たいです。

もし、不安に感じた時に、すぐにアフターピルを女性が専門家を通じて買うことができたら。そうすれば、生理が来るまでの3週間の不安を抱えたまま過ごすのではなく、ひとまずは安心することができ、そして、これからの避妊について情報を得る機会になるのではないでしょうか。

これからの生活や人生設計に妊娠というライフイベントは大きな影響を及ぼします。そして、中絶は心も体も女性に負担がかかることです。

WHOの緊急避妊に関する勧告では、「意図しない妊娠のリスクを抱えたすべての女性および少女には、緊急避妊にアクセスする権利があり、緊急避妊の複数の手段は国内のあらゆる家族計画プログラムに常に含まれねばならない」と述べられています。

そして、今国内では、SNSを通して海外の並行輸入品のアフターピルの売買がされており、本物かどうかわからないような薬をきちんとした説明なく売られている状況があります。(NHK NEWS WEBでも報道されています。)

たしかに、アフターピルは一時的に気持ち悪くなるといった副作用があるし、100%妊娠を防げる魔法の薬ではありません。でも、女性本人が、妊娠・中絶のリスクと、アフターピルのリスクを比べ、「妊娠・中絶よりは避妊をしたい」と思った時に、その選択が尊重され、安心して手に入れられる社会であってほしいのです。

緊急避妊について、どう必要な人にもっと届けられるようにするのか。

また、考えられるリスクがあるとしたら、それにどう対処していくのか。

繰り返しアフターピルを服用する人がいたとしたら、それは「遊んでいる」というサインではなくて、避妊の知識が足りない、もしかしたらDVの被害にあっているというサインなのではないでしょうか。

そして、遅れが指摘され続けている性教育については、義務教育段階から、もっと具体的なリスク対策を取り上げ、自分事として考える教育の導入をあわせてしていくべきだと思います。

\こちらの署名も募集中!中学生に包括的な性教育を/
ttps://www.change.org/adachi-karada

LINEで相談ができる「にんしんカモ相談」という無料LINEボットも開始しました!


http://pilcon.org/help-line/contact/ninshin-kamo

LINE ID : ninshin-kamo

避妊へのアクセスしやすさも、選択肢も、情報も、性教育もまだまだ足りません。
そしてそれは、私たちやこれからの世代の日常に深く、大きく関わることです。

過去に性行為や妊娠によって傷ついた女性の一人として、性行為がパートナーを傷つける行為ではなく、お互いが心地よく関係性を深められるものであることにしていくため、前向きな議論が進むことを求め、これからも声をあげたいと思います。

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