#8 山田詠美さん『血も涙もある』

山田詠美さんの新作読みました!

山田詠美さん(エイミー)も、昔から大好きな作家。また長くなりそうだけど(^_^;)

1. エイミー作品の魅力

魅力はたくさんあるのだけど、最近思うのが、「世間でいう年齢にとらわれていない」ってところでしょうか。
登場人物たちも、そしておそらく作者も。

今回の作品には、35歳の主人公モモ、50歳の女性キクエ、40歳の男性タロー、と出てきますが、
「主人公は25歳」と言われても、逆に40歳と言われても、成立しそう。

考えてみれば、いくつになっても、人の中身ってそんなに変わらないんですよね…。

30歳になっても、40歳になっても、馬鹿みたいなことで怒ったり泣いたりするし、好きな人の前では甘えたりもするし、モテる人はモテるし。

エイミーは、そのあたりを書くのがとても上手だなぁと思います。

それから、もう一つの魅力は、
作品のあちこちに散りばめられた文化的素養?のような何か。

エイミー作品にはいつも、ふとした場面で映画の話や小説の話が出てくるのです。
キクエが、モモのことを「引き出しが多い、賢い、男はモモのこういうところに惹かれるのだろう」みたいなことを言ってますが、
まさにこの小説自体がそんな感じ。

たくさんの文化的アミューズを楽しむことができ、
さらにはたくさんのごちそうのレシピなんかもさりげなく出てきて、
ストーリー+∞を味わえた気分になれます!

2. 恋はエイミー先生に教わった

さて、この私、

意外と恋愛面ではアクティブです。いや、アクティブでした(過去形)。

なぜか、恋愛は素晴らしい、no love, no life! という概念がいつも私の中には生きていて、誰かを好きになると、

「この人と出会ったことで、私の細胞はこれから少しずつ生まれ変わってゆくのだろう。甘くてほろ苦い、シャンペーンのようなこの恋。小さな泡のひとつひとつを、心ゆくまで味わい尽くしたい」※

みたいな、エイミー的文学フレーズが頭を駆け巡っていたのです。はい、痛いって言わない!

(↑ちなみに、※の変なフレーズは、by私。決して詠美さんではありません)。

つまり、私の恋愛価値観の基礎を作った一人が、山田詠美さんです。高校の終わりくらいからずっと読んでいたので。
「これは、私好みの男だ」とかって…おいおい。いいのか!?

さすがに30代くらいになってからは、小説を読んでも、「いやいや、これ小説だから。私、現実でこんな考え方してたらだめだから」みたいになってましたが。

最近は、どちらかというと
「恋愛しなくていいって、なんてラクなんでしょう(by 吉本ばななさん)」寄りの考え方になっています。。。
今回、『血も涙もある』の登場人物にも、あまり共感できませんでした。あえて言うならキクエさん?あ、枯れ過ぎか。

でも、本作に

「男女の友情から始まる恋もあるというけれど…」「出会った瞬間、そそるか、そそらないか」

みたいな記述があり、そのあたりにはいまだに深くうなずいてしまった自分です。
わあ、明日、禁断の恋に落ちたらどうしよう!!皆さんはどうですか??






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