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【ブラジル伝統 | 自然信仰基本】アフリカの自然の守護神オリシャー入門00

(タイトル画像:アルゼンチン出身、ブラジルバイーア州でアフロ文化を描く作品で著名になった画家Carybéの作品。
https://www.brasil247.com/cultura/exposicao-sobre-candomble-traz-aquarelas-do-artista-carybe)


アフリカから来た自然の神さまたち

ブラジル在住9年目、現地伝統の自然信仰案内人すう(https://instagram.com/suu.brasil)こと、あすかです。

さて、今回はブラジル精神世界とは切っても切れない、16世紀に始まった大西洋奴隷貿易のお話からはじめます。アフリカ各地で捕えられ、見知らぬ南米・北米の地へ連れて来られた人びとと共にブラジルには神さまたちもやって来たからです。

幸運にも生き延びた人びとは、無理矢理引き離された故郷の地に思いを馳せ、過酷な強制労働と人間らしからぬ扱いを受ける日常生活のなかで、かつての故郷で敬っていた自然の神々に救いを求めました。

豊かな自然が残るこのブラジルの地では、そのアフリカの神々と、すでにこの地に居住していた先住民インディジナたちへの信仰が融合し、独自の自然信仰形態が生まれました。

そのひとつが「カンドンブレー」です。

その神々はヨルバー語で「オリシャー」と呼ばれ、それぞれが海、川、植物、森、虹…など自然の力を持ってわたしたちを癒し、護ってくれているとされています。

守護神オリシャーの「子どもたち」

オリシャーたちの数は数百にも上るといわれます。しかし現在、一般的にカンドンブレーではそのなかの16人のオリシャーを信仰し、わたしたち一人ひとりにはその神さまが、それぞれの守護神としてついてくれているとされています。

そして、その守護神オリシャーはわたしたちそれぞれの精神世界での
「お母さん」「お父さん」
とされています。

どのオリシャーが自分の守護神としてわたしたちを親のように護っていてくれているのか、それは神さまに選ばれ、さらに修行を積んで熟練した聖職者の鑑定によってしか知ることができません。

カンドンブレーという信仰の入り口に立った人は誰でも、まず自分のオリシャーが誰かというのを鑑定により知らせてもらい、それからは例えば

「わたしはイエマンジャー(海の女神)の娘」
「わたしはオショッシ(狩人)の息子」

といったように、自らもコミュニティ内からも認識されるのです。

日常生活に溶け込んだオリシャーたち

ここではまず簡単にオリシャーたちを画像で紹介します。(お手数ですが、クリックして拡大された方が見やすいかと思います。)

これらの出典は実は商品としてネット上で販売されているもので、上はカンドンブレーを題材にした現代的な作品が人気の若手アーティストBreno Loeser (https://brenoloeser.com)の作品。下がなんと競りに出品されていた作家不明の飾り物のタイル。

  Xirê por Breno Loeser

https://www.brenoloeser.com/produtos/xire-fine-art/

Orixás da Bahia (peça no site Bahia Leilões)

https://www.bahialeiloes.lel.br/peca.asp?ID=13577502

わたしが住むサルヴァドールはブラジルの最初の首都であり、その理由はアフリカ西岸より奴隷船を受け入れ栄えてきた港があるからという重い歴史があります。

そして現在でもこの地はブラジルでも、ひいては世界でも一番アフリカ系の人々の人口が高く、カンドンブレーの祭儀場も数多く存在します。

そして観光地などではオリシャーたちがデザインされたTシャツやバッグ、さまざまなオリシャーグッズを売っている店がずらりと並ぶ、そんな街なのです。

守護神オリシャーの性格=自分の性格!?

それぞれのオリシャーたちはとっても個性的で、自分の守護神の性格がわたしたちの実際の性格にまで現れるとされています。

また、彼女、彼らにはそれぞれの色、数字、曜日、動物、好物の食べ物、使う道具などなどがあり、自分の守護神を知っている場合には彼女、彼らにちなんだ色の服を着たり、特定の曜日にお供え物をしたりなど、オリシャーたちは日常生活に溶け込んでいます。

次回より、そんなそれぞれのオリシャーを深掘りした記事を一人づつ紹介して行きます。オリシャーには順番が決まっていて、

  1. Esú エシュー:交差点の神

  2. Ogun オグン:鉄と道の神

  3. Oxóssi オショッシ:狩猟の神

  4. Omolú オモル:病気と治療の神

  5. Ossain オサイン:植物の神

  6. Irôko イローコ:木の神

  7. Logun edé ログンエデー:狩猟と美の神

  8. Osumarê オシュマレー:虹と蛇の神

  9. Nanã ナナン:泥と沼の女神

  10. Osun オシュン:滝と淡水の女神

  11. Obá オバー:激流の女神

  12. Iyewá エワー:森の女神

  13. Iansã イアンサン:雷と嵐の女神

  14. Iyemanjá イエマンジャー:海の女神

  15. Sangô シャンゴー:炎と審判の神

  16. Oxalá オシャラー:平和の神

この順番で一人ひとり紹介していきます。お楽しみに!次回は交差点の神さまエシューです。

※なお、16のオリシャーは呼び名も微妙に違ったり、種類や順番も入れ替わる場合が多々あります。わたしがこちらで記事にしていくものは基本、サルヴァドール在住のケトゥー系聖職者の方の監修のもとご紹介させていただくものです。他の宗派や司祭がなさる発信内容とは異なる場合もあります。

自分の守護神が気になった方は↓


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