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「つなぐ」という仕事

 皆さんは「こども食堂」にどんなイメージをお持ちですか?

 貧困でご飯が食べられないこどもが来る場所?

 もちろん、そんな側面もありますが、それだけではありません。

 私たちのこども食堂にはひとり黙々と勉強する子、元気に走り回る子ども。皆おもいおもいの方法で時間を過ごし、学校でも家でもない、第3の居場所という役割があります。

 日本には生活保護もありますし、ひとり親への支援制度もあります。

 そもそも毎月の生活費が足りないというニーズを民間のボランティア団体が解決するのは、結構ムリがあります。

 コロナ禍で父母が参加する学校行事が縮小される中で、地域の中に子育ての悩みを相談する人がいない。毎日、家で小さな赤ちゃんと2人っきり。孤独を感じる。

 こういった悩みには行政の支援というよりは、民間の力が発揮されます。

 子育て世代、子育ての悩みだけではなく、地域には意外と多くの表面化していないニーズがあります。

 例えば、子育てが終わった70代くらいのおばあちゃん。

 まだまだ元気だけど、仕事をしているわけではない。

 私達のこども食堂には調理ボランティアとして、こういったおばあちゃん達が参加してくれます。

 主婦歴が長いので、経験豊富。

 お蕎麦のダシの取り方など、私達もお料理の勉強をさせてもらっています。

 おばあちゃん達が言うには「この地域にこんなにたくさん、子どもがいたなんてね。」「若い人とお話できるの、嬉しいの。」との事。

 これは、とても意外でした。

 私たち子育て世代は、日常的に子ども達と関わる事が多いのですが、地域には多世代交流の場所がなく、おばあちゃん達は普段、おばあちゃん達だけのコミュニティに属していて、「この街には若い人が少ない」という印象だったそうです。

 「誰かの役になっている。」そういった実感が持てる場は貴重なのだそう。

 また、こども食堂を始めた当初は食材をどのように集めようか悩んでいましたが、現在は地域のフードバンクさんとの連携により、定期的に企業からの食材提供を受けています。

 中には「箱がつぶれた」など、商品にはならないけど、まだまだ食べられる食品をケースごといただけたり、コロナ禍で余ってしまった牛乳を破棄しないためにこども食堂で利用してほしいと提供を受けたりしています。

 私達自身も酪農家の娘なので、牛乳が捨てられるのは牛たちに申し訳ないという気持ちがあるので、牛乳をもらってくれて、ありがとうという気持ちになります。

https://www.instagram.com/p/CXlH3aPlVlk/?utm_source=ig_web_copy_link

 学校では「成績が良い」「スポーツができる」「友達と仲良くできる」そういった子どもが評価されますが、こども食堂では「いっぱい食べる」「いっぱい笑う」「困ってる人を助けられる」そういう子どもが活躍できる場所です。

 「そこに居て、ご飯を食べて、笑ってくれるだけで君は誰かの役に立っているんだよ。」

 そんなことを感じられる場所にしたいと思っています。


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