見出し画像

応募者全員サービスのときめき

 こんばんは。今日は誰もが一度は到着を今か今かと待ち望んだことがあろう、応募者全員サービスについて思いを馳せたい。

画像1

 わたしが長年愛用しているデスクの引き出しにはこれがずっと入っている。篠塚ひろむ先生がちゃおで連載していた『ミルモでポン!』の財布だ。これは、わたしが初めて応募者全員サービスでもらったプレゼントで、人生で初めて持つ自分の財布だったように記憶している。

画像2

 お母さんが書いてくれた自分の名前が愛おしい。ナイロン素材は年季のわりに汚れがない。子供時代は財布を持つ機会が限られていたからだろうか。

画像3

 このフィギュアも非常に精巧だ。妖精・ミルモが今にも走り出しそうな勢いである。ニモのぬいぐるみは、家族でパークプレイスに映画を見に行った帰りに買ってもらった。両親がJAF会員だったから、夜、割引で観覧車に乗れたことも思い出した。

 手元にはもう一つある。同じく『ミルモでポン!』のコンパクトだ。

画像4

 今は空っぽだけど、届いたときは髪ゴムやヘアピンがいくつも入っていて、とても興奮した。

画像5

 これは友達とおそろいだった気がする。一緒に郵便局に切手を買いに行って、一緒に封筒に宛先を書いて、一緒にポストに投函しに行った。「きっと、同じ日に送ったから、同じ日に届くはずよね」なんて言いながら、毎日ポストを確認し、留守番をしていた祖母に確認し、わたしより友達のほうが先に届いて、「大丈夫かな、わたしのは届くかな」と不安になったけど、次の日ちゃんと届いた。嬉しかったなあ。

 なんで切手をわざわざ買いに行かないといけないんだろう、お金を同封すればいいのに、と当時から素朴な疑問を抱えていたけど、今思えば現金郵送はNGだし、振り込みも小学生には難しいから、切手を送るの手段を採用したのは小学館の優しさだったんだな。それに、切手代もたかだか500円弱だったし、自分が送った切手を貼った封筒でプレゼントが家に届いていたような気もするから、本当に「応募者全員サービス」だったんだなとしみじみ思う。そうそう、郵便局に切手を買いに行く時に、普通の切手かミッフィーの切手か選べるから、いつもわざわざ「ミッフィーの切手にしてください!」と頼んだりしていた。
 それから、毎月応募していたわけではなく、時々本当に要らないなと思うようなグッズもあったりしたから、それはスルーしていた。でも、「ちゃお」は毎月親に頼んで発売日に買ってもらっていた。隅から隅まで読みつくして、次号を首を長くして待った。「ちゃお」を卒業してからは、廃品回収に数メートル積みあがりそうな雑誌の山を出した。後悔はなかった。

 今、何でも好きなものを買いに行けるような大人になったからこそ。ドキドキ、高揚感に包まれながら、応募者全員サービスが届いているか、帰宅時にポストを確認する作業をしたい。宅配で届く通販ともまた違う。楽しみにしているといつか何かが届く、そういうのは、何かないかな。なんだか日常がもっと楽しくなる気がする。もう大人だけど、だって、篠塚ひろむ先生はまだ「ちゃお」で連載してるし、『こっちむいてみい子』だってやっと中学生活が始まったばかりだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?