星追い人
星追い人って知ってるかい?
星追い人はね、ほうき星の子供を追いかける人なんだよ。
流れ星を追いかける流れ星を見たことあるかい?
その流れ星はね、ほうき星の子供を追いかける人たちなんだよ。
星追い人はね、大切な人に、星をプレゼントするために流れ星を追いかけてるんだよ。
「ふーん、今の子供たちはこんな絵本読んでるのか」
10歳ほどの少年は、目の前の操縦桿に足をかけながら、その本を読んでいた。
「おぉいリュウセイ…いくら自動操縦つったってそんな場所に足かけるもんじゃねぇぞ?」
それを、副操縦席に座った大男がおろおろしながら注意した。
「だって退屈だし」
「親父はそうしてたのかぁ?」
「じい様もグラビア見ながらこうしてたよ」
「親父ィ…」
幾度目となるかわからないやり取りをしていると、突如スピーカーからザーッ!という砂嵐音が響き渡る。
「来たぞっ!」
リュウセイは読んでいた絵本を投げ捨てると、周波数のチューニングを合わせた。
『5.7秒後お前らのすぐ横をガキ星が通過する!頼んだぞシューティング・スター!』
『えgrcびまおhrん?おえしおうrぇhみうお?(その星手に入れるのゼッテー俺たちだし?とっ捕まえてオクにぶっ放して貯金にドカーンだし?)』
「うるせー外宇宙ロクソリアン人!人の通信回線に割り込んでくんな!チャラ男なのか堅実なのかはっきりしやがれ!」
リュウセイはその勢いで自動操縦を切り、コスモニトロのブーストボタンを叩き潰す!
宇宙船、シューティング・スターの噴射口からコスモニトロのミルキーウェイが生まれ、出鱈目なまでの速度で加速する!
きっかり5.7秒後に、すぐ横を星が掠めてゆく!
大宇宙時代!星追い人は思い人とロマンのためではなく、一攫千金の為に星を追いかけまわしていた!
「いくぞガイ!あいつを捕まえて、燃料代にするぞ!」
「アイアイ船長!」
ガイがボタンを押し宇宙船前方から棒が飛び出す。
スペーストリモチだ!
【続く】