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なぜトロピカル方式って呼ぶの?南国なの?

一般的に、西洋占星術で使用する黄道12サインを「トロピカル方式」「トロピカルゾディアック」などと呼び、「サイデリアル方式」「サイデリアルゾディアック」と区別します。ではなぜ「トロピカル」と呼ぶのでしょう?

トロピカル方式を強いて訳すなら「太陽年方式」

春分点を基準として、地球が太陽の周りを公転するのにかかる時間の平均値(約365.24219日)を「太陽年」、英語では「tropical year/トロピカル年」と呼びます[1]。トロピカル方式、トロピカルゾディアックの由来です。

語源

tropicalの語源は「tropic(トロピック)」14世紀後半ラテン語の tropicus(トロピクス)「至点に関する」という言葉から派生しました。tropicus は「回転に関する」という意味の「tropikos」から派生し、「回転または変化に関する」という意味です。[2]

太陽年の長さ

太陽年は一定ではなく、毎年微妙に異なります。下記は、太陽年の時間間隔の違いです[3]

1985-1986:365日 05:48:58
1986-1987:365日 05:49:15
1987-1988:365日 05:46:38
1988-1989:365日 05:49:42
1989-1990:365日 05:51:06

トロピカル年(太陽年)は春分点から次の春分点までの1年

西洋占星術では太陽年を基準に30度均等に12サインを割り振り、起点の春分点を牡羊座(白羊宮)0度とします。つまり春分点から始まるトロピカル年(太陽年)で1年を考えます。この様式はヘレニズム期に取り決められました。歳差運動を発見した天文学者ヒッパルコス(前2世紀)をその提唱者とする説がありますが、正確なところはわかりません。大切なことは、ヘレニズム期に再編された占星術において「季節」が欠かすことのできない要素という点です。
現在、春分点は実際の牡羊座から約30度ずれています。実際の星座からズレていることからトロピカル方式は正しくないのでは?との意見があります。こうした意見の大半は、西洋占星術の背景となる「季節と冷熱乾湿」の理解不足から生まれていると考えられます。惑星運行の観測基準に「季節」を置いたこと、そして自然界の熱と水分の循環と変化を重視したという点は軽視されているのかも知れません。

至点/分点を基準とした12サインを使う西洋占星術

脚注

  1. 天文学辞典
    https://astro-dic.jp/tropical-year/

  2. 参照先:Online Etymology Dictionary
    https://etymonline.com/search?q=tropical

  3. The history of the tropical year, Meeus, J. & Savoie, D. 1992
    https://adsabs.harvard.edu/full/1992JBAA..102...40M

参考情報

  1. 占星研究ASTRO MIRU
    サイデリアル方式とトロピカル方式
    https://astromiru.com/tropicalsidereal

  2. サイン (占星術) wikipedia
    https://bit.ly/3Qeao7T

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