Zwift嫌いが3ヶ月Zwift縛りしてみた〜Zwiftな物理(その2)

Zwiftになぜ馴染めないのかはいろいろ自己分析してますが(テレビゲームを一切したことないので、そもそも家でゲームをするという習慣がないとか)、たぶん加速度がない世界が気持ち悪い、のだと思います(他の理由は別途書きます)

加速度がない世界を慣性系といいます。重力もありません(重力と運動による加速度が区別できないことを等価原理といいます。一般相対論の基本原理です)

高校物理の最初で習うことですが、加速度はベクトル(大きさと方向を持っている)で、速度ベクトルの変化です。つまり、加速する、減速する、方向が変わる、ときには加速度はゼロではありません。速くなることだけが加速度ではありません。逆に加速度=0という状態は、等速で直線に動いているときか、止まっているとき、です(これまでのこのnoteで何度も書いていますが)。

Zwiftをやっているとき、多くの人は固定ローラーか、スマートローラー、あるいは3本ローラーを使っているでしょう。3本(あるいはGT-Roller F3.2みたいな1本ローラー)の場合は多少は動きますが、基本はその場でとどまっています。なので、加速度=0です。一方、Zwiftの中の人(アバター)は等速直線運動以外の運動をしているように「見える」ので、Zwiftの世界に没頭すればするほど、現実と乖離します。それが顕著なのがコーナーで、3本に乗っているが一番分かりやすいですが、高速でコーナーに突っ込むと無意識に自転車でコーナーリング操作してしまい、落ちそうになったりします。

現実はローラーに乗っているのだから、どうやっても静止か等速直線運動しか再現できません。なのでそれについては解決策はない(乗ってる台ごと振り回すとかしない限り)。一方、アバターの運動にはいくつも不自然な点があって、こちらはプログラムを変えれば対応できるはずです。

Zwiftに2年ぶりに復帰して、相変わらずだなと思ったのがコーナーの処理です。アバターはほとんど減速せずに等速のままでコーナーリングします。現実世界のように減速してから曲がって、曲がってから加速する、というような動きはしません(もしかするとしているのかもしれないけど、ほとんど感じない)。速さが変わらず方向だけ変わるので本来なら大きな加速度が生じているはずです。現実世界ではブレーキングしないでコーナーに突っ込んだら、バイクを傾けて加速度(遠心力)に対抗しないと曲がれません。ところが、Zwiftでは加速度がまったくないかのようにアバターが動く(視線も傾いたりしない)のでとても気持ち悪いのです。

もちろん、Zwiftの中でもスタートしたりストップしたり、踏んだり、踏み止めたりすると速度が変わるので加速度を表現しているとも言えますが、Zwiftの中の物理モデルは基本、入力されるパワーしか見てない、ので現実世界のように速度がさまざまな原因で変わる(加速度が生じる)のを再現できないわけです。パワーはスカラー量(大きさしかない)なので、ベクトル量よりも情報量が少ないです。

空気抵抗や路面抵抗も加速度を発生させる原因です。これらは「力(ちから)」ですが、加速度と力はどちらもベクトルで比例します(比例係数が質量)。Zwiftの物理エンジンは真空中をなめらかに等速直線運動するのが基本になっているように思えます。これをもうちょっとリアルな物理モデルに置き換えるのはそう難しくはないと思いますが、2年経ってもそうしていないということはなにか理由があるんでしょうね。

(つづく)

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