どうして体重が重い方が下りが速いの?

私は体重が55kgぐらいで軽量級です。登りも大して速くないですが、ゆるい下りとか、大柄な人と走るとだいたい置いていかれます。下りは体重が重い方が有利ですよね。

ここで、チカちゃん4歳が登場です。

なんで?」 

なんで、体重が重いと下り速いの?

さて、スタジオのオカムラさんが困っています。

重いとたくさん重力に引っ張られるから??

チカちゃん4歳 「ボーっと、、、(以下自粛)」

怒られてしまいました。だいたい「重い方が速く落ちる」というのは、ガリレオさんが16世紀にピサの斜塔の実験で否定しています。イタリアのピサの斜塔、実際に行ってみると、あまりに傾いていて笑っちゃうくらいですが、そこから、重い鉛の玉と軽い玉を同時に落としてみたら、同時に地面に届いた、といものです(この実験をほんとにガリレオが行ったのかは諸説あるみたいですが)。

そう、落下のスピードは本来重さに関係ないのです

ええ?それではどうして、下り坂で重たい自転車乗りの方が有利なんでしょう?

式を書いてみます(ここで読むのをやめないで!)。ニュートンの運動の法則、質量✕加速度=力、から、落下している物体の加速度(単位時間あたりに速度が変わる割合)は、重力とこういう関係にあります。

物体の質量 ✕ 加速度 = 物体の質量 ✕ 重力加速度 (1)

なので、両辺を「物体の質量」で割ると

加速度 = 重力加速度

となって、質量が消えてしまいます。つまり、重くても軽くても加速度は同じ、ということでガリレオの実験結果と同じです。困りました。下り坂の実感と合いません。

実は、実際の下り坂では、上の式(1)は、

物体の質量 ✕ 加速度 = 物体の質量 ✕ 重力加速度 ー空気抵抗 

こうでなくてはなりません。空気抵抗が大事です。空気抵抗は、だいたい、速度の2乗(べつに3乗でも比例でも以下の議論に関係ありません)に比例します。マイナス符号は減速するからです。なので、

物体の質量✕加速度 = 物体の質量✕重力加速度 ー (速度の2乗)のなんとか倍

となるので、両辺を物体の質量で割ると、

加速度 = 重力加速度 ー (速度の2乗)のなんとか倍/物体の質量

になります。つまり、右辺の2番めの項の分母に質量が入る、わけです。たとえば、質量が大きくなると、空気抵抗の項(右辺、2番めの項)が小さくなります。極端な話、無限に重い人なら、空気抵抗による減速はゼロになって、重力加速度(約 毎秒9.8m/s)と同じになります。逆に軽い人の場合、分母が小さくなるので、空気抵抗が大きくなってしまいます

というわけで、答えは「空気の抵抗があるから〜〜」でした。

「チカちゃんは4歳なのに、坂道を自転車で下れるなんて偉いね〜」

お粗末さまでした。

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