6.75と6.8はどちらが大きいでしょうか?

小数を習った小学生なら迷わず答えますよね。しかし、話はそう単純ではないです。

先日、某ヒルクライムレースで、ゴール地点でバイクの計量がありました。デジタル秤で、ボトルを外して計量して、6.8 kgを下回っていると、せっかく走ったのにタイムは参考扱いで表彰対象から外されます。大会規則にもそう書いてあります。私の前の選手が6.75 の数値を出していて、規則に引っかかってしまいました。

しかし、人情としては50gくらい軽くてもいいじゃん、と思いますよね? 秤には50gや100gくらいの誤差もあるかもしれないし、何回か計測したら微妙に数値が違ったりもします。

そういうときには中学校で習う(はずの)有効数字を思い出してみましょう。その大会の規則では、"6.8kg"と書いてあったので、有効数字2桁です。一方、役員が使っているデジタル秤は、10gまでの表示でした。6.75は有効数字3桁ということになります。ということは、規則が有効数字2桁なら、10gの桁は丸めて、四捨五入なら 6.8 kg ということになります(丸めのやり方にはいろいろあります)。というわけで、この選手のバイクはOKということになりますね。役員が間違ったのでしょうか?

UCIの規則1.3.019を見てみましょう。“The weight of the bicycle cannot be less than 6.8 kilograms.”自転車の重量は,6.8kg を下回ってはならない.

とあります。しかし、もっと詳しくは下記の記述があります。

The minimum weight of the bicycle (in working order) is 6.800
kg, considered without on-board accessories in place, that is
to say those items that may be removed during the event.
The bottles, on-board computers and GPS systems must be
removed during the weight check. However, the bottle cages,
fixture systems and clipped-on extensions are part of the
bicycle and stay in place during the weighing.
自転車(使用状態)の最小重量は,競技中に取り外されるかもし
れない種類の車載付属品なしで適切に考慮されて,6.800kg で
ある.ボトル,車載コンピュータおよび GPS システムは重量チェッ
ク中には取り外されなければならない.しかし,ボトルケージ,取
付けシステムおよびクリップオン・エクステンションは自転車の一
部であり,計量中は取付けておく.

はい、 6.800 kg  とあります。なんと有効数字4桁です。

なので、今回の場合、秤が 6.75 という表示ならアウトです。秤の内部ではたぶん、1g単位で計測していて、6.745 ~  6.754 kg の範囲を丸めて、 6.75の表示を出しているのではないかと思います。どちらしろ、規則に 6.800と書いてあるのでアウトですね(ちなみに、サイコンはずせ、と言われなかったので、それは規則上拙かったのではないかと思います)

ただし、大会で使っている秤がちゃんと較正されているか、はまた別問題です。10gの精度で較正されているということはないんじゃないかなあ、と思います。ともかく器械に表示されている数値を鵜呑みにしない、というのは測定ではどんな場合も気をつけなければならないことだと思います。レースに出るときは 6.9kgくらいで調整した方が安全でしょう。大会役員の方に有効数字がなんとか言ってもたぶん通じません(^^; 

ああ、それで私のバイクですが、 7.30 kg でした。なんの問題もありません(重い。。。)

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