『文藝 2023秋号』読んだ作品の感想①

前の前の記事では、『初めて文芸誌を買った感想』を綴ってみました。
2つ前の記事にはなってしまいましたが。。。

そこで、今回は初めて購入した文芸誌のひとつ
『文藝 2023秋号』で、読ませていただいた作品ごとの感想を書いていこうと思います!ひとつひとつの文はそんなに長くなくなる、と思うのですが…

①  安堂ホセ/迷彩色の男
『ブラック』、『ファイトクラブ』、『ヘイトクライム』などのパワーワード。そして、事件で始まる。なのに、中盤の男達の物語に注視しすぎて、はじまりのことをちょっと忘れていて、終盤にかけてはどんどん続きが気になった。やはりラストはタイトル伏線回収か。先ほどの『パワーワード』のせいか、序盤から中盤まであれがテーマか?これがテーマか?と探り探り読んだ。そんで終盤、偏見とヘイトクライムにおける描写が印象に残った。そこを見せたいのかなとも感じた。やはりメッセージ性は感じるのだ。最初に安堂さんが書いた作品も気になる。共通項は、『ブラック』なのかなあ。それとも、もっとある?あと、こうやって感想書いてると、もう一回読み返したくなりました。実際読み返すかはわかりません。

②日比野コレコ/モモ100%
このタイトルに惹かれるんですよね、これね。作品紹介にあった通り、ポップな文体。このポップな表現って、小説では日比野さんの作品が初めてかも。んでもポップだけど、ちょこちょこグロいのよね。気持ち悪いというより、ポップ寄りの表現の、『グロい』の方が表現としてしっくりくる。恋愛を武器に生きる女の子、女性。まあやはり必死に生きとるんだよな。辛い境遇とか、状況にぶち当たって、自分なりの哲学をみつけてくんだなあと。

③山下紘加/煩悩
わたし、安奈と同じような経験したことあるんですよね、てか、安奈と似た特性を持っている。うん、そりゃ辛いよ。主人公と安奈の関係性。ちょっと怖かったなあ…安奈は報われますか?それはわからんけど、それでも安奈は生きていくと信じてるよ…山下さんの文章、読みやすかったです。

④町屋良平/生きる演技
ひとって演技することありますよね。辛い時、とかもね。幼少期から経験してると、それが生きるための手段になったりするんだろうか。そんなこともあるんだろう。こうなってくると、他の人が辛くならないところで『自分だけがこんなに辛いの?』というくらい辛くなったりするんだろう。

それから、『演技』は小さいものから大きいものまで様々ある。だから、演じることで包括する範囲も様々だ。人生、ドラマの中、ある場面だけ。
そのような包括的な事柄、それから演じることについて少しだけ考えを巡らせることができた。

ちょっと話が逸れるけれども、本編に『YouTuberの活動はサラリーマンによく似ている。おもしろさよりよほど、視聴者へのホウレンソウが重要なのだ』という一節がある。わたしはどちらの要素も持ち合わせていて、なおジャンルの知識が強いとか、分かりやすい動画であるとか、そういうことも必要になってきていると感じている。いろんな人がいるように、いろんなYouTuberがいるから。より多くの人に見てもらうためには、工夫が必要な世の中になってるんだと思う。信念とか。

話を戻して。『演劇とかってべつの人格っていうか…』この文からはじまる生崎のセリフは考えさせられる。現実にいない人物を生み出すのは、現実に生きてる人間のため。その人間たちに訴えかけている。(独裁者のように、君たちには何か足りないよ、と。)簡単にいえば、そのようなことを言っている。なるほど客観視していながらも生崎の主観的な感想を述べているなと思う。
そして、やはり、このセリフも『演じる』ということへの身近さを感じさせる。

町屋さんの文章における句読点の打ち方というか、途中で途切れてるように感じる(『〜してい、』のような)書き方に関しては、違和感を感じながら読んだ。

長くなったけど、『生きる演技』に関しては以上です。

⑤創刊90周年連載企画 鼎談
柴崎友香さん×西加奈子さん×村田沙耶香さん

この鼎談、すげえ興味深かったです。面白かった。
村田さんの考え方に対して、柴崎さんが『こういうこと?』『自分に厳しいんだね』など、わかりやすくというか、噛み砕いて、柴崎さんの考え方で村田さんを理解しようとするのはなんだか、自分にとって、職場でも同じようなことがあるなと思った。わたしはこのとき、完全に村田さんの立場にたっている(同じような経験があることが大きい)
また、西さんのカナダでの体験から出てくる言葉は、それまで興味のなかった『くもをさがす』を読んでみたい、と思わせるきっかけとなった。
さらに、後輩作家における気遣い、これからの文芸界についても話されていて、これらの話は自分自身ワクワクさせられるものだった。

とーりあえず文藝2023秋号で読んだものは以上!!!
新潮とか、まだまだ積んでる文芸誌があるので、取り急ぎ読みたいです。今回はここまでです!

ここまで読んでくださった方、ほんとーにありがとうございました!





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