高校2年 夏③東北文化祭リベンジャーズ
文化祭の日が訪れた。
今年は体育館での発表。
去年が市民会館だったことを考えると残念極まりないけど、まぁ仕方ない。
朝からせわしなく準備が進む。
今回の演目は郷土史に絡む内容だったこともあり、
校長がやたらと楽しみにしているらしいと顧問から言われた。
やめてくれ。ハードルがただただ上がっていくではないか。
緊張の中、僕らの上演がスタートした。
この舞台の全容はこうだ。
慶長5年(西暦1600年)。
関ヶ原の合戦の時の東北地方が舞台。
当時、豊臣側が優勢と思われていたため、豊臣側に付いていた上杉家は直江兼続を総大将にして
東北地方の徳川家側大名を攻略するために北へ向かって2万の兵を率いて進軍を開始。
東北の武将、及び農民たちは突如起こった戦で農地を奪われることに対して抗戦を決意。
ここにゴリゴリの兵隊(上杉軍)と、一般人(最上軍)による戦が勃発。
二万人の敵軍に対し一般人数百人という規模ながら、彼らは生まれ育った土地を守りたい一心で交戦し、そこで起きた奇跡の物語を綴るストーリーを描いた。
体育館で生徒に向けた上演は、正直響かないと思っていた。
でも、途中から明らかに観客席からすすり泣く声が聴こえた。
文化祭の出し物にも関わらず、しっかりとみてくれている人がいたことがものすごく嬉しかった。
約1時間、体育館で上演された僕らの舞台は新しい可能性を見せてくれたと思う。
とにかく大会が楽しみで仕方なくなった。
2日目は例年通り、模擬店とか出し物とかを楽しむ。
毎年、1〜2年はステージ発表か出し物。3年は模擬店。
今までは演劇部は発表があるからと免除されていたから、あまり文化祭に関わることが少なかったけど
来年はもう舞台やってないんだな、と思うと急に寂しさが湧いて来た。
いやいや、全国まで行けば夏休みまでやれる。
それで充分じゃん!という想いもある。
とはいえ全国の壁は高い。
そもそも俺らの地区は超激戦区。地区大会落ちの可能性もありうる。
もっと舞台、やりてぇなぁ。
そんなことを思いながら、学校の人気の先輩たちのライブとかを観ていた。
僕らの高校の卒業生がいるバンドが世間に拡がった年で、そのコピーバンドばかりの文化祭。
個性が大事。
この当時、そんな言葉が街に増えていたけれども
個性的と言われる人たちの真似をしてる人たちが増えていることに
個性ってなんだろうなぁ
と思う一日だった。
この日、空はとにかく晴れていた。
でも、文化祭2日目は空の色以外はほとんど覚えていない。
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