指ぬきと方位磁石 〜 『アストリッドとラファエル』シーズン2感想文
フランス発のミステリードラマ『アストリッドとラファエル』シーズン2の放映が終わりました。
日本でシーズン1が放映されたのは、約1年前。その時の私の記事がこれです。
このつたない記事を読んでこのドラマを観始めたとおっしゃる方が何人かいらして、嬉しい限りです。そろそろFrance2からお中元が届いてもいい頃です。
その内のおひとり、Ryéさんもこのドラマの感想をnoteに書かれています。
私のヨタ文とは違い、外国語の観点から分析されたとても興味深い記事です。イラストも素敵です。ぜひご一読ください。
自閉症スペクトラムの診断を受けているアストリッドと、パリ警察の警視ラファエル。
異色のふたりがお互いの理解を深めながら難事件解決に挑むこのドラマ。
シーズン1、2のそれぞれ終盤で「指ぬき」と「方位磁石」が鍵となって登場します。
指ぬきは「自分を守ってくれる」象徴として、方位磁石は「道に迷ったとき導いてくれる」存在として。
他者と関わることが不得意なアストリッド。かつては父に守られ、その後は父の友人であるガイヤール長官に守られてきました。ラファエルと出会ってからはラファエルに。
そんなアストリッドがシーズン1終盤でラファエルに送ったプレゼントが指ぬきでした。
そしてシーズン2。
第3話くらいから、ふたりの関係が新しいフェーズに入ったように感じました。
第3話『アブダクション』。
事件の容疑者に自身の辛い過去を重ねたラファエルがいつになく気落ちしています。
彼女の頬に流れる涙を見たアストリッドは力になりたいと思いますが、それをうまく伝えられません。
何もできないと悩むアストリッド。
でも、彼女は大きく変わってきています。
いつも「ラファエル」でなく「コスト警視」と呼んでいたのに。そして「友達」であるともなかなか認めていなかったのに。
アストリッドはもう、ただ「守られる」だけの存在ではありません。
ラファエルもです。
豪胆であけっぴろげなラファエル。意外と怖がりな面もありますが、くよくよ悩むタイプには見えません。
でも彼女にも辛い過去があったことがこのあたりから明らかになってきます。強い権力をもつ父との確執も。
このドラマはアストリッドとラファエルがダブル主役ですが、他にも彼女たちの「指ぬき」や「方位磁石」となるようなキャラが登場します。
その中のひとり、私が好きなキャラがニコラ・ペラン警部です。
ラファエルと同期のニコラは、知り合った頃から彼女を思い続けています。
その後ラファエルは結婚し息子をもうけ、離婚しますが、ニコラの気持ちはずっと変わってないようです。
デスクの配置や肩書きからはラファエルの方が上席のようですが、ニコラは一貫して彼女のよき友人、よき同僚として存在しています。よくできた男性です。
第3話で、ニコラもラファエルの動揺に気付きます。彼女の過去もうすうす知っているようです。
このセリフどうよ。
私は万太郎さんのように「ズギャン!」ときたよ。
なのになぜ「ありがとう」だけですますのだ、ラファエル。
ずば抜けた博識マン(オタクレベル)として捜査にも大いに貢献するニコラですが、ラファエルにとっては友人止まりです。実は彼から守られていることに気がついてないようです。こんなキャラ、時々いますよね。某アンドレとか井上竹雄さんとか…。
アストリッドのほうも、新たな出会いがありました。
日本食料品店で週1回だけ働いているテツオ・タナカ。数学者を目指している若者です。
このふたりの関係がシーズン3でどのように発展するのかしないのか、とても楽しみです。
余談ですが。
このドラマには「日本」がよく出てきます。
文化だったり風習だったり。日本のヤクザも出てきました。日本人として嬉しいことです。
しかし、少々突っ込みどころが目についてしまいます。
アストリッドが前述の日本食料品店で買い物をした時、テツオが商品を紙袋に入れて手渡すのですが、その紙袋がこれでした。
間違っていない。たぶん間違ってはいな…
いやちょっと違う。
これは我々日本人が「marché」とデカデカと書かれたバッグを持って嬉々として歩くのと同じ次元なのでしょうか。
次シーズンではどんな突っ込みシーンが見られるのかも楽しみにしたいと思います。
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