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FC岐阜 vs ガイナーレ鳥取 試合前考察

はじめに

5月18日の第4節でFC岐阜はホーム長良川競技場でガイナーレ鳥取と対戦する。この試合は4月3日に予定されていたが、岐阜に新型コロナウイルスの陽性者が複数人確認された影響で試合が延期。相模原戦から中2日で戦うこととなった。その相模原戦は、横山雄次新監督のリーグ戦初陣となった。相手に攻め込まれる時間が続いたが、欲しかった先制点を奪うことができたなど、収穫も多く、何より連敗ストップとなり、岐阜としては、1つ大きな1勝を掴むことができた。
 
一方の鳥取は今季も苦戦を強いられている。開幕2連敗の後、ホーム開幕戦はFC今治と1-1のドローに終わり、3戦1分2敗と苦しんだ。その後Y.S.C.C.横浜に3-0と勝利し、復調の兆しを掴んだかに見えたが、その後3連敗中。ここ2試合で7失点と守備が崩壊。未だ安定した守備の構築に時間がかかっている模様。
 
両チームの過去の対戦成績は、岐阜の4勝2分4敗と全くのイーブン。ただ岐阜のホームでの開催となると、1勝1分3敗と相性が悪い。J3で対戦しているここ2年間も長良川では鳥取が連勝中。ホームの声援を力に変え、ホームで鳥取に勝利したい。

両チームのスタッツ比較
[両チームのスタッツ比較]

上表は3試合を終えた段階での両チームのスタッツ比較である。攻撃関連のポイントでは、岐阜が鳥取を上回っている。攻撃ポイントの大半を占めるが、パスポイントだ。パスで攻撃を組み立てる岐阜の戦い方が数値にも表れている。それと関連するように、ボール支配率もリーグトップを記録している。
 
鳥取の数値で1つポイントとなるのが、ドリブルだ。基本的には相手にボールを握られる試合が続いているが、奪ってからの素早い攻撃でゴールを狙う。今治戦もその形から先制点を奪った。鳥取の課題の一つは早い時間で先制点を奪ってからの戦い方が定まっていないことだろう。カマタマーレ讃岐、今治と先制点を奪っているが、讃岐にはその後4失点、今治にもゴールを奪われ、勝利を取りこぼしている。ここをどう修正してくるか、岐阜としては、どう畳み掛けるかがこの試合のキーポイントとなる。さらにここ2試合カターレ富山、福島ユナイテッドFC戦では、守備陣が崩壊。富山戦はスタッツ的には富山を圧倒していただけに、少ないチャンスをモノにされてしまった。
 
スタッツを見ても、おそらくこの試合もボールを支配するのは岐阜だろう。鳥取は、ハイプレスを仕掛けるチームではないが、守備ブロックを形成して、岐阜の両サイドや前線にボールが入った瞬間を狙ってくる。富山戦も良い時間帯では、全体のプレッシャーが上手くハマっていた。

両チームの予想布陣
[両チームのスタメン予想①]

岐阜はいつも通りの4-4-2の布陣を予想。メンバーについては基本的には相模原戦から大幅な変更はないと見られるが、中2日での連戦ということで、少し変更を予想。GKは松本拓也。4バックの右に舩津徹也を予想したが、菊池大介、山内寛史の起用も考えられる。ただし山内に関しては、ここ数試合FWでの起用が多く、本人もそこで結果を残しているため、菊池の方が有力か。左には宇賀神友弥、バックアップとして橋本和を予想。センターバックは藤谷匠と岡村和哉。服部康平もここに控える。ボランチは相模原戦でも存在感があった本田拓也と柏木陽介を予想するが、本田は90分フル出場だったため、疲労を考えると、柏木・庄司のコンビも考えられる。サイドハーフの右には窪田稜を予想。畑潤基も可能性は高い。左には好調の村田透馬をスタートから予想する。2トップには石津大介と2試合連続ゴール中の藤岡浩介を予想した。藤岡は左サイドハーフでスタートすることが多いが、やはりトップ起用で輝く選手であると感じる。
 
一方の鳥取は前節と同じく4-4-2を予想。ただここ数試合チーム状態も悪く失点が多い中で、メンバーの予想は少し難しい。GKは田尻健。4バックは予想としては、前節から1枚変更予想。右に丸山壮大、左に魚里直哉。センターバックには、鈴木順也と増谷幸祐。右には丸山壮大を予想する。中盤のボランチに妹尾直哉と新井泰貴を予想。ここには10番を背負う世瀬啓人や知久航介も候補になる。両サイドハーフには共に古巣対決となる石川大地と永島悠史。2トップには、鳥取が誇るゴールゲッターの田口裕也と大久保優を予想した。

[両チームのスタメン予想②]

鳥取はオプションとして3バックの場合も考えられる。その場合は石田が最終ラインに入り、ボランチに妹尾と永島。丸山と魚里がウィングバック、2シャドーに石川と大久保。1トップには田口を起用してくるだろう。ただ、岐阜が4-4-2の布陣で戦うことが濃厚であるので、サイドで数的不利になりやすい3-4-2-1よりもミラーゲーム(鳥取も4-4-2)の方を採用してくるはずだ。

鳥取戦に向けた個人的見解による岐阜の戦い方

基本的な戦い方としては、これまでと同じように、自分達がボールを握りながら、相手の隙を突く縦パス、プレスに来た相手の裏のスペースに走り、最終ラインからのロングボールで崩す。ポゼッションサッカーを軸に戦うスタイルを貫くことが重要である。

[岐阜の攻撃時の狙い]

鳥取を崩すポイントとして、両サイドのサイドレーンが鍵を握る。4バックで戦った今治戦や富山戦を見ると、サイドバック、センターバック、サイドハーフ、ボランチの間(図上の灰色の部分)のバランスが崩れることが多く、個々のスペースにサイドハーフと2トップの一角が入りこみ、そこに最終ラインからスピードのある縦パスを供給できると攻撃チャンスにつなげることができると感じる。3バックで戦った讃岐戦も実は、センターバックとウィングバック、ボランチのトライアングルの間のスペースにかなり侵入を許していた。4バックに変更してきたが、ここのスペースは岐阜の攻撃にとっては積極的に突くべきポイントと言える。このスペースで何度もチャンスを作れれば、両センターバックを気持ちサイドに寄せることができ、中央にもスペースが生まれる。

[攻撃時の狙い(鳥取が3バックの場合)]

鳥取が3バックできた場合にも、1つ狙いとしたいポイントがある。鳥取は3バックを採用した場合には、守備時は5-4-1のような形をとる。両サイドの高い位置までボールを運べた後、サイドハーフにプレスに来るウィングバックとセンターバックの間(図の灰色の部分)がかなり開きやすい。そこのスペースにサイドバックやFWの一角が入りこむことができれば、サイドで数的有利な状況を生み出すことができる。この動きでサイド深い位置を陣取ることができれば、クロス、カットインからのシュートなど複数の選択肢が生まれる。鳥取が3バックで来た時は、この動きも意識したい。

一方で気をつけなくてはならないポイントは、前節課題となったプレスが来た時にも焦らずボールを繋いでプレスを剥がせるように、味方がしっかりポジショニングをとることだ。これまで以上に鳥取は奪ってからの攻撃が速く、一気にピンチにつながってしまう。低い位置でのボールロストは3試合以上に警戒すべきだ。鳥取の守り方として、オーソドックスな4-4-2のブロックを作る形と、相手がサイドでボールを保持している時には、ボランチの知久がより下がった位置をとり、4-1-3-2のように守る。中央で奪ってからパサーでもある新井がより高い位置にいることで、2トップに効果的なパスを供給しやすくしている。

[気をつけるべきポイント]

図のように、センターバックがサイドに流れてボールを持っている時、常に4〜5のパスコースを作りたい。キーパーへのバックパスは有効的。逆サイドで藤谷と宇賀神がしっかりパスコースを作ることが重要となる。サイドでは右サイドバックに預けたパスはワンタッチでのリターンか、ボランチがフォローに向かい、相手のプレスを交わしたい。低い位置に下がって受ける庄司へのパスコースは切られやすいが、庄司が下がりすぎないように、両センターバックの間には桐畑がポジショニングをとり、庄司の位置を低くなりすぎないように気をつけたい。鳥取が4-1-3-2に近い形で守備ブロックを組んできた時は、よりサイドハーフへの縦パスは入れやすくなる。2トップも近くでフォローできるようにポジショニングをとり、この位置に積極的にパスを送りたい。

さいごに

相模原に勝利し、連敗を3で止めた岐阜。昇格に向けて痛い3連敗となってしまったが、ここで1つその流れを断ち切れたことは大きい。相手チームの状態を考えると、連戦ではあるが、連勝を掴むチャンスである。約1年ぶりの連勝を掴み取ることができれば、まだまだ岐阜はここから逆襲を仕掛けることができる。コロナの陽性者が複数確認された影響により、連戦となっているが、この鳥取戦は、大きな意味を持つ試合となる。確実に勝利して、ホームで連勝といきたい。


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