見出し画像

【AssistOn inFocus名作選】 SIWA | 紙和 大直 一瀬美教・一瀬愛

さまざまなデザインにAssistOn独自の視点でフォーカスする「AssistOn inFocus」。ご好評いただいているインタビューの中から特に人気の、2009年7月掲載の「SIWA | 紙和 大直」をnoteに再掲載いたします。


SIWA | 紙和の最新情報については、SIWA公式noteもあわせてご覧ください。


画像32


和紙のよさをもう一度みつめなおす


日本では生活様式が洋風に変わってきて、昔に比べたら、障子紙を使う機会もだいぶ減ってきました。

それでも、日本人なら、触覚や視覚といった感覚の中で、「和紙」の良さを知らず知らずのうちに体感しているのではないかと思っています。光で透けたり、気配を感じたり。そういった障子や行灯といったものといっしょにある和紙のイメージですね。また、和紙に指先が触れた時の、柔らかい風合い。機会こそ減ったものの、そういった感覚は、わたしたちの体験の中にある共通のものなのではないでしょうか。

「SIWA・紙和」という製品は、ある意味、あっけないほど地味でシンプルなものばかりで、そのことによってむしろストレートに「和紙」という素材の本質が引き出された。そして、みなさんが共通して持っておられる「和紙の心地よさ」の感覚と、直に通じ合うことができた。そういうことなのかもしれません。

いずれにしても、年齢や性別を超えて、たくさんのお客様に「SIWA・紙和」の製品に触れていだき、お使いいただいていること、また、和紙という素材が持っている力に注目していただけことは、とても嬉しいことです。

ナオロンという新素材から生まれた「SIWA・紙和」というブランドを育ててゆくことで、私たちはもっともっと和紙という素材の魅力を探り、可能性を見つけてゆきたいと思っています。それが結果として、次の時代に向けて和紙の伝統を引き継いでゆく、ということになるでしょうから。


大直 一瀬美教



画像37

1000年の歴史のある和紙の産地から。


甲斐の国、市川大門。

気高い峰々と清い水に恵まれたこの里は、遠く平安時代から和紙の産地として知られてきました。正倉院に収められた書物には「756年に甲斐の国より朝廷へ紙の原料となる麻が納められた」という記録があるほど。その後も市川大門の和紙は武田氏、江戸徳川幕府の御用紙として認められ、発展してゆきました。

和紙のメーカー、大直の歴史は市川大門の紙業の歴史と歩みをともにしてきました。近年は伝統の中に新しい技術を盛り込んで、インテリアや雑貨にも利用できる紙を開発してきました。

和紙の優れた特性をそのままに、耐久性を兼ね備えている和紙、それが「ナオロン」。この大直が開発した新しい和紙を用いた商品を山梨県出身の工業デザイナー、深澤直人さんと共につくりあげました。それがこの「SIWA | 紙和」の製品です。


画像36

いつの間にか私たちの生活の中にあたりまえに居る
それが「SIWA・紙和」の製品たちです

「和紙」という存在が私たち日本人にとって、どれだけ身近で欠かすことの出来ない、大切なものだったということは、もはやみなさん良くご存じのことでしょう。

暮らしに関わる生活素材であることはもちろんのこと、古人の歴史や文学、美術作品を現代に生きる私たちが知ることができるのも、すべて、1000年以上もの優れた保存性をもった和紙の存在があったからこそ。古事記や日本書紀などのドラマチックな国史も、江戸時代の浮世絵の美も。和紙そのものの存在と、その時代時代における和紙の生産技術の革新がなければ、今を生きる私たちがその存在を知ることすらなかったでしょう。

2008年の夏に発売が開始され、あっという間に当店の人気アイテムとなった「SIWA・紙和」の製品。私たちの生活の中で、ちょうど良いサイズ、融通の利くバッグやケースのラインナップは、すでにご利用になられている方も多いでしょう。

耐久性や耐水性といった特徴はもちろんですが、その風貌は偉ぶらず、ずっと前からそこに居たよう。当たり前のようにして私たちの生活に入り込んできてくれるのが、「SIWA・紙和」の製品。使ううちに、私たちの手になじんでゆくごとにそんなことは忘れてしまいますが、そうか、これが和紙の手触りの良さなんだ。これが和紙の使い勝手の良さなんだ、とあらためて感じさせてくれるアイテムたちです。

画像36

画像36


画像32


画像33

株式会社 大直
代表 一瀬美教さん
プロデューサー 一瀬愛さん インタビュー


最新の技術を使った和紙で作られた、バッグやブックカバーなど、毎日の暮らしの中で使える製品を展開する「SIWA・紙和」。

プロダクトデザイナー深澤直人さんと山梨の和紙専門メーカー、大直(おおなお)との共同開発によるブランドです。使い込むほどに風合いが増し、水にも強く、破れにくいという特徴を持ち、年齢性別問わず、幅広い層から支持を集めています。

今回、アシストオンでは、「SIWA・紙和」の新作をいち早く販売できることとなり、先行販売を兼ねた展示会をおこなうにあたり、メーカーである株式会社大直を訪ねてきました。(取材:2009年7月)



画像32

大直は、平安時代から続く和紙の産地として1000年以上もの歴史を持つ、山梨県市川三郷町(旧、市川大門)にあり、代々、家業として和紙づくりを続けられ、1974年に株式会社大直として法人組織となった和紙メーカーです。

現在では、障子紙をはじめとしたインテリア素材の開発や、日本の伝統や年中行事に沿いながらも、現代の暮らしに合わせた和小物の企画開発などをされています。

2008年6月に、日本を代表するプロダクトデザイナー深澤直人さんとの共同開発による新ブランド「SIWA・紙和」の第1弾を発表させ、日本国内だけではなく、海外からも高い評価を得ています。

大直は、東京から特急電車で約2時間半程のところにあり、最寄り駅であるJR市川大門駅に下り立つと、大空が開け、それを囲むように遠くに連なる山々が視界に広がります。 代表の一瀬美教さん、SIWAのプロデューサー 一瀬愛さんのお二人から、「SIWA・紙和」の誕生秘話について、お話をうかがいました。


画像32


画像33

深澤直人さんとの出会い
代表 一瀬美教さん


我々、大直はこれまで、和紙という伝統産業を活かしながら日本の文化も伝えていきたい、と思いで会社を運営してきました。ですが、この先に、もっと我々ができることがあるのではないか、と思うようになりました。

単に、「和紙=日本の伝統的な紙」ということを超えたものづくりがしたい。そのためには、我々がこれまで培ってきた和紙のノウハウや素材を、思い切って、社外の人に渡すことによって、新しいものづくりが出来るのではないか、と考えました。

私自身、深澤直人さんのことは、無印良品や±0といった製品を手掛けられているデザイナーとして、存じ上げておりました。

今から5、6年程前に「発想する会社!」という本を読んだことがあり、そこに深澤さんがデザインされた無印良品のCDプレイヤーも載っていたのです。このIDEO(アイディオ)という会社は、深澤さんが在籍されていたアメリカのデザインコンサルタント会社で、本の中には、これまでに数多く手掛けられてきた製品について、実践例として、そのイノベーションの技法が紹介されていたのです。

ですから私にとって深澤直人さんは、たんにモノのデザインをされる方というよりも、むしろ、たいへん合理的にものごとを捉えられる方である、という最初の印象がありました。またその考え方や発想の仕方に共感するところがあり、出身地が同じ山梨県であることも知り、更に関心を持つようになりました。

それから少し経って、2005年の12月に山梨県デザインセンターが主催する、地元の伝統産業の企業や地元のデザイナーを対象とした講演会があり、講師として深澤さんがお見えになられていました。私はその講演に参加し、さらに深澤直人というデザイナーの背景や考えていることが分かりました。

それで私たち大直も、このようなデザイナーさんと一緒にものづくりができたら、と考えました。それが、深澤さんと製品を作っていくことになった、直接のきっかけです。

画像32

講演会の当日は、深澤さんと直接お話しする機会はなかったのですが、山梨県デザインセンターの方を通じて、コンタクトを取り、翌年の2006年に、直接お会いすることができました。深澤さんは市川大門(現、市川三郷町)が和紙の産地であることをよくご存じで、我々が地域産業として培ってきた和紙のノウハウを活かしつつ、毎日の暮らしの中で使える製品ブランドを開発していきたいことをお伝えしました。

これまで深澤さんがは他の和紙メーカーとの仕事をされてこなかったこと、さらに同じ山梨県出身であることもあって、快く引き受けていただけることになりました。しかしこの時点では、深澤さんがお忙しかったことや資金調達の問題などもあり、プロジェクトはなかなか進んでいきませんでした。

そのような時に、2007年6月に経済産業省より、中小企業を対象とした地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律が施行され、認定企業になると一部補助金が支給され、事業に活用することができることになりました。

画像32


SIWA・紙和(シワ)第1弾リリースまで


私たちがこれまで培ってきた和紙のノウハウや素材を、深澤直人というデザイナーにお渡しすることで、どのような方法で、どのようなものがでてくるのか。私たちはそこに一番関心がありました。

深澤さんと製品を一緒に作っていくにあたり、まずは、我々のことを知っていただくために、山梨の会社にお越しいただきました。それで会社や和紙の製作現場を見ていただいたり、和紙のサンプルを見ながら、それぞれの紙の特性や加工についてを説明していきました。現在、SIWA製品の素材として使用している「ナオロン」もこのときお見せした素材の中のひとつでした。

「ナオロン」とは、大直が自社開発した新素材で、通常の障子紙よりも3倍から5倍もの強度があります。更に水にも強いことから、もともとは「破れない障子紙」ということで開発された素材です。

実は深澤さんにナオロンをお見せしたときに、強度がある反面、一度でも折れたり、シワがついてしまったら、なかなか取れないことを、「ナオロン」の欠点としてお伝えしていました。私たち紙を扱う会社にとって、紙についてしまった「シワ」というのは、製品として許されないことであり、紙にはシワひとつ付いていない無いことが私たちにとっての常識だったからです。

画像32

ところがそれから数日経って、深澤さんからの最初のプレゼンテーションの時に上がってきたものは、驚いたことに、製品がシワだらけ。どれもこれも、シワがたくさん入ったものだったのです。

本来「ナオロン」という紙は、ツルツルとした表面の紙なのですが、それが、シワシワになって、試作品が作られていた、という訳です。ところがそれらを良くながめてみると、最初からシワが入ったことで、何とも言えない味わいのある製品が生まれていたのです。「和紙」という素材の良さが、そこから浮かび上がってくるようでした。

これには、本当に驚きましたね。まさか、紙にとっては欠点であると、あたりまえのように考えていた「シワ」を活かしたデザインが上がってくるとは、想像もしていませんでした。

さらにシワについてはこの後、また別のエピソードがあって、「SIWA・紙和」というブランド名が決まる前には、全く別のネーミングが考えられていました。ところが、ほぼその名前で決まって製品化が進められていたところ、突然、深澤さんから私に電話がありました。それで「名前ですが、シワ、というのはどうでしょうか?」とたずねられました。

最初は「シワ」という響きから、皺くちゃでマイナスのイメージを私は持ちました。ですが、深澤さんと話をしていくうちに、ローマ字で書くと「SIWA」。漢字で書くと「紙」と「和」。さらに「紙・和」を反対から読むと「和紙」になる。

私はこの深澤さんのお話を聞いて、今まで以上に新しいブランドに対するイメージがぐっと膨らみ、結果、ネーミングを「SIWA・紙和」とすることに決めたのです。

画像32


SIWA・紙和のデビュー


2008年6月に「SIWA・紙和」の第1弾として、バッグやブックカバーなど、毎日の暮らしの中で使える製品を見本市に出展し、発表することとなりました。

見本市での出展ブースも深澤さんにデザインをお願いしたわけですが、私が会場で出来上がったブースを見たときに、何だかシンプルすぎて、素っ気ない印象がして。これで良いのだろうかと、だんだん心配になっていました。

ところがそこへ深澤さんが来られて、私たちの不安をすでに見越していたように、けれど嬉しそうに「思っていた通り。とても地味にできて良かった。」とおっしゃったのですね(笑い)。

深澤さんがデザインされるものについても、私たちも初めは戸惑いがありました。しかし製品が完成に近づくにつれ、「これで良いんだ。これが、良いんだ。」とだんだんと思えるようになってきました。そして製品の発売がまじかになった時には自然と、「SIWA・紙和」というブランドの世界観が、私たちメーカー自身も理解できるようになっていました。

名称未設定

2008年6月に誕生した「SIWA・紙和」は、初めてご覧になられた方々からもご好評をいただき、様々なメディアからの取材も数多く受けるなど、注目していただくことが出来ました。製品もブースデザインも、地味でシンプルなものでしたが、それがかえって、「和紙」という素材の魅力が引き出してくれたのでしょう。

2009年1月には、フランス・パリでの見本市にも出展しましたが、我々、日本人が思っている以上に、海外の人たちにも「和紙」という素材の魅力を捉えているようで、とても高い評価をいただきました。和紙という素材自体に「力」があり、それに対してストレートに注目していただいたようです。

画像32

大直はこれまで自社で製品開発をしてきましたが、社内スタッフだけで製品作りをつづけていると、納期的なことや製作上の都合やその他の理由から、どこかツメが甘くなってしまうこともあります。けれど、深澤さんは、頭の中にイメージが出来上がっているので、これしかない、という具合に妥協なく判断をされていきます。それは、ゆるぎなく、非常にはっきりしています。

例えば、製品に新しい色を加えようとするときもそうです。深澤さんからは、新色1色に対して、たった1枚のカラーチップが提示されるだけなのです。それを社内に持ち帰り、具体的に染色によってどこまでその色に近づくことができるか、トライを続けます。そうやって深澤さんのイメージに近づけていくのです。

深澤さんと一緒に開発をしていて、私たち大直も、中途半端な結論は出さないということ、ブランドの世界観をひとつひとつ作りあげていくことの大切さを肌で感じています。それは私たちにとっても学ぶことが多く、社内スタッフだけでは、なかなか出来なかったことです。


画像32

画像32

第2弾 ナオロンと異素材の組み合わせ
SIWAプロデューサー 一瀬愛さん


2008年6月に発表した第1弾製品ですが、実際に販売をしてきた中で特に人気があったのが「ひも付き封筒」でした。私たちが思っていた以上に、男性からの支持が高く、実際に購入されたお客様やアシストオンからも「ノートパソコンを入れて使いたい」という要望もあり、クッション材を挟み込んだものを作ってみようと、開発を進めました。

素材となる紙(ナオロン)との相性や仕上がり具合、緩衝性を試してみるために、それこそ、段ボールを挟んで縫製してみたり、薄いものから厚みのあるクッション材なども、様々な試作をおこないました。この試作で色々な可能性が分かったので、2009年の第2弾はクッション材を挟み込むなど、異素材と組み合わせた製品を作っていくことに決まりました。

画像32

製品の色については、第1弾ではクラフト紙のようなカラーをメインカラーとし、グレー、ブラック、レッドと展開してきましたが、今回の第2弾では、印象的な深いグリーンがメインカラーとなり、さらにダークブラウンとの2色が新色として加わります。

SIWA製品は、革のように使っていくうちに馴染み、和紙独特の風合いが増してきます。和紙の縫製は、一度縫ってしまうと針穴を消すことができないため、革と同じように失敗することができません。もし、最後の最後で、一針でも間違えてしまうと、製品として出荷できないものになってしまいます。ですから、最後まで気を配りながら丁寧に縫っていきます。

SIWA製品の縫製は、弊社からも近い、主に革や布のバッグの縫製をおこなっているところで、車のシートや肘掛けカバーなどの縫製も行っている工場にお願いしています。もともと、布とプラスチックなど、異素材を組み合わせる縫製は得意なところなので、SIWA製品も綺麗な仕上がりにすることができるのです。

画像32


デザイン開発


私たちは、深澤さんについていけば「良いものができる」と信じ、少しでも深澤さんの思い描がかれているものに近づけたい、という思いで作っています。

製品化への流れとしては、私たちは深澤さんから上がってきたデザインを元に、まずは実際に同じ素材を使い、試作をしていきます。実際に作ってみないと製品化の足がかりがつかめないため、とにかく試作をしてみることを第一歩とします。

またどのアイテムを商品化するかは、私たちが決めることになっています。デザインについては深澤さん、何を商品化するかは、大直側で決めていきます。

ところが、今回シリーズ第2弾の開発段階では、深澤さんからのアイデアが次々に飛び出しました。それで、それら上がってきたデザインをどんどん試作していった結果、なんと30種類を超えるアイテムが出来上がったのです。

画像33

試作品はどれも素敵なデザインでした。しかしアイテムもあまりにも多くありすぎて、すべてのものを製品にすることはできません。ところが、果たしてシリーズ第2弾として、どのアイテムから市場に展開していくべきなのか。考えれば考えるほど、自分たちでも分からなくなってしまったんですね。

そんな迷いの中にあるときに時にふと、深澤さんからこんな言葉をいただきました。「ブランドは生き物なんだ。生きているから、私たちがはじめに思い描いていたものとは違ってくることは当然。ブランドとは常に変化していくもの。大切なことは、どう育てていくかなんだよ。」

この言葉を聞いて、SIWAはその第2弾では何をやるべきなのかが見えた気がしました。それなら私たちがまずやるべきことは、お客様の声にも耳を傾けていくことが大切なんだ、と。そう言うわけで、第2弾のラインナップとしては、まずお客様からこれまでにいただいた要望の多かったアイテム、そして私たちが実際に使いたいと思えるアイテムからリリースしてゆくことにしたのです。


画像32

tote bag(トートバッグ)

この「トートバッグ」を作ることにしたのは、第1弾のバッグを手にされたお客様から「もっと大きいバッグが欲しい」という要望が多く寄せられたからです。

バッグを大きくすると、当然、耐荷重が増え、持ち手部分には、一番負荷が掛かかってきます。そこで、トートバッグのように持ち手の帯が底部まで回してあれば、持ち手部分の負荷を分散することができると考え、試作を進めました。出来上がってみると、見た目にもとても可愛く仕上がり、社内スタッフ間でもとても好評でしたので、商品化することにしました。

これまでのSIWA製品では、素材感を活かすためにも、表面には余計なものが何もついていなかったり、縫い目やステッチも見えないように仕上げていました。今回の新作「トートバッグ」では、持ち手の帯にはステッチが入り、表にはポケットが付けられています。ですから、これまでの製品とは少し印象が違って見えると思います。

もし、これまでの表に何もないシンプルなイメージがお好みでしたら、「トートバッグ」の底面をつかんで、クルっとひっくり返してみて下さい。すると、袋に取っ手が付いただけの、内ポケット付きバッグにもなるのです。この「トートバッグ」は、リバーシブルになっているのです。

その他にも使い心地を良くするために、持ち手部には薄いクッション材を入れたり、底面には重みで形が崩れないように、底板やクッション材を入れています。

「トートバッグ」の詳細はこちら


画像32

cushioned case(クッションケース)

大直の代表が、貴重品や通帳などの小物を収納する、チャック付きケースを使っていたこともあり、小物を入れるケースを作りたいとの要望がありました。ですので、デザイナーの深澤さんには「小物を入れるケース」としてデザインを依頼しました。また、お客様からもノートパソコン用のケースやポーチが欲しいといった声もありましたので、クッション材の入った、大小のサイズで商品化することにしました。

SIWA製品の中で、チャックが付けられているのは、この「クッションケース」が初めてなのですが、ぜひ、見ていただきたいポイントでもあります。深澤さんがこだわられたところとしては、これまでのSIWA製品のイメージを崩さないよう、チャックは外観からは見えないように、少し奥まったところに付けているところです。

また、このチャック選びにも時間が掛かりました。製品の色に合いそうなチャックを様々なメーカーから探してきて、何十本というサンプルを取り寄せました。これは、深澤さんの指示でもありますが、色を決める際には、サンプルだけで判断するのではなく、実際にそのサンプルを使って試作をしていきます。

一見、相性が良さそうに見える色でも、実際に作ってみると、チャックだけが濃く目立ってしまうこともあり、素材との相性や見え方のバランスを見るために、候補の色は全部試作をしています。深澤さんが試作を見て、最終的にチャックの色を判断されていきます。

クッションケースでは、既製のチャックを使っているのですが、色が製品とぴったり合っているので、ここも見ていただきたいポイントですね。

「クッションケース」の詳細はこちら


画像32


画像32

和紙の伝統を引き継いでゆくということ


日本では生活様式が洋風に変わってきて、昔に比べたら、障子紙を使う機会もだいぶ減ってきました。

それでも、日本人なら、触覚や視覚といった感覚の中で、「和紙」の良さを知らず知らずのうちに体感しているのではないかと思っています。光で透けたり、気配を感じたり。そういった障子や行灯といったものといっしょにある和紙のイメージですね。また、和紙に指先が触れた時の、柔らかい風合い。機会こそ減ったものの、そういった感覚は、わたしたちの体験の中にある共通のものなのではないでしょうか。

「SIWA・紙和」という製品は、ある意味、あっけないほど地味でシンプルなものばかりで、そのことによってむしろストレートに「和紙」という素材の本質が引き出された。そして、みなさんが共通して持っておられる「和紙の心地よさ」の感覚と、直に通じ合うことができた。そういうことなのかもしれません。

いずれにしても、年齢や性別を超えて、たくさんのお客様に「SIWA・紙和」の製品に触れていだき、お使いいただいていること、また、和紙という素材が持っている力に注目していただけことは、とても嬉しいことです。

ナオロンという新素材から生まれた「SIWA・紙和」というブランドを育ててゆくことで、私たちはもっともっと和紙という素材の魅力を探り、可能性を見つけてゆきたいと思っています。それが結果として、次の時代に向けて和紙の伝統を引き継いでゆく、ということになるでしょうから。


画像32


画像32

インタビューを終えて


和紙で作られた製品というと一般的には、民芸調のものなど画一的なものが多く、購入される方も和風なものが好きな方に片寄りがち。ところがアシストオン「SIWA・紙和」の製品を購入される方は、学生であったり、ビジネスマンであったり、主婦の方であったり、年齢も性別もさまざま。

ギフトでお買い求めいただく方も多く、たいへん幅広い層の方々から親しまれています。それも「SIWA・紙和」が単に和紙で作られた製品である、ということを超えて、みなさんに製品から伝わってくる「新しさ」を感じていただいているからなのではないでしょうか。

インタビュー AssistOn企画・広報部 斉藤有紀 2009.07.16

画像33

編集後記

AssistOn inFocusの人気記事から名作選、として復活させました。この記事は2009年7月 アシストオンWebに掲載したものです。

2008年にSIWAブランドが生まれて10年以上経ち、SIWAの特徴であるナオロン紙も従来のソフトタイプだけでなく、より強靭なハードタイプを開発し、この2つのナオロン紙を製品にあわせて使い分けて、現在も深澤直人さんとともに新作アイテムを発表し続けています。

ナオロンという素材、そしてSIWAデザインだからこそ、長く、多くの方々に愛用されてきたSIWAアイテムの数々を、ぜひお手にとってお確かめください。

画像33


SIWAの人気アイテム

画像31

「SIWA バッグ」(詳しい情報と購入はこちら)


画像31

「SIWA ブックカバー」(詳しい情報と購入はこちら)


画像32

「SIWA 二つ折り財布」(詳しい情報と購入はこちら)


SIWAの最新情報については、SIWA公式noteもあわせてご覧ください。


「AssistOn inFocus名作選」をまとめたマガジンはこちら。貴重なインタビュー記事の数々を、ぜひご覧ください。