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【AssistOn inFocus名作選】 戸田デザイン研究室 戸田幸四郎・戸田靖

さまざまなデザインにAssistOn独自の視点でフォーカスする「AssistOn
inFocus」。ご好評をいただいているインタビューの中から特に人気の、2006年8月掲載の「戸田デザイン研究室 戸田幸四郎」をnoteに再掲載いたします。

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絵本つくりにこめた思い


たんじゅんな、魚の絵・虫の絵・りんごの絵。描いては消し、描いては消して、
なかなか形がきまりません。

それは、目に見えない、形の奥にあるものを
描こうとしているからです。

苦心して描いた絵を
苦心して編集することが、
子供への限りない優しさの贈り物、
と、思うのです。

戸田デザイン研究室

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戸田デザイン研究室について


1982年、一冊の絵本が誕生しました。それが戸田幸四郎の「あいうえおえほん」。

子供たちが、絵、そして平仮名と初めて出会うときの絵本として、これまでに80万人を超える読者に読みつがれてきたベストセラー絵本です。

私たちの身近にある道具や動物、虫、やさい、くだもの、からだ、乗り物。それらのカタチの美しさを表現するため、シンプルに研ぎ澄まされた輪郭線。配色の美しさを追求した色彩。そして、平仮名という文字そのものが持つ美しさを、私たちに再び教えてくれる書体のデザイン。

その見事な調和がこの一冊にある。それが24年にわたって、「あいうえおえほん」を手に取った読者を魅了し続けてきた理由にちがいありません。

子供たちがカタチをおぼえ、色の美しさを知り、言葉を交わす楽しさを知る。くりかえしページをめくるうちに、そんな驚きや喜びの「道しるべ」となってくれる、それが戸田デザイン研究室が世に送り出してきた絵本です。

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デザイナー 戸田幸四郎

1931年、山形県生まれ。1982年、デザイナーより絵本の創作活動に入り、1年に1作から2作というペースで新刊を創作。現在までに39冊の絵本を刊行。その全てが全国学校図書館協議会の選定となっている名作絵本集をはじめ、知育、環境問題をあつかった絵本を創り出してきた。

日本の知育絵本の元祖と言われ、戸田の代表作ともいえる「あいうえお えほん」は80万人以上の人々が読み、20年を経た今日でも読み継がれているロングセラー絵本。彼の絵本は企画、作画、編集、レイアウトまでをすべて戸田デザイン研究室が行い、一作一作を入念に、時間をかけて丁寧に創られている。

静岡県熱海市には戸田幸四郎の原画をおさめた戸田幸四郎絵本美術館がある。

http://www.todaart.jp

5.海側外観


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戸田幸四郎先生アトリエ訪問記

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2006年7月22日、「あいうえおえほん」や「リングカード」などで知られる絵本作家、戸田幸四郎先生のアトリエを訪問しました。戸田先生のアトリエは、静岡の熱海駅から車で15分ほどの、山に囲まれた場所で、すぐ近くには戸田幸四郎絵本美術館があります。絵本美術館には夏休みということもあり、多くの方がおとずれていました。

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当日はあいにくの曇り空でしたが、アトリエの扉をあけた途端、目前に広がる山の緑、そして空と遠くに見える海がまぶしく、逆光で、すっと立った戸田さんの影が印象的でした。


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天気の良い日はここから海がよく見えるというアトリエには、たくさんの絵の具や色鉛筆、筆、色が重ねられたパレットなどが使いやすいように置かれ、原画や試作などが飾られています。


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戸田さんは現在、75歳(2006年取材当時)。黒い帽子をかぶり、やわらかさと深さを持つ方で、アトリエに入るとすぐに落ち着いた声でソファを勧めていただきました。最初に出版した「あいうえおえほん」は、24年経った今でもベストセラーとして、多くの方々に愛されつづけています。その理由はどこにあるのでしょう。

挨拶を終えるとさっそく、創作についてうかがいました。


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「遊ぶこと」


子供の頃に良く遊び、雨や風といった自然を感じ、生活の中に、美しいと思うことがたくさんありました。ですから、今でも絵本を創るときにはその頃のように色々とアイデアが湧いてきます。自分のスタイルを決めつけず、常に新しいことに挑戦し、子供のように楽しむ。75歳になった今でも、毎日、絵を描き、楽しみ、遊んでいるのです。

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幸四郎さんの手


「楽しむこと 感じること」


私がどのような思いで絵本を創っているのか。それは、私の絵本をごらんになられた方が、それぞれに感じ取っていただければよいと思います。

子供たちに知識だけではなく、「感性」を育ててもらいたいといつも考えています。人間性を育てるには、まず感じること、そして楽しむことがとても大切です。楽しんでいなければ、感じるこころも育ちません。

自分が美しいと感じたものを絵本として作り上げる。そして、その本を手にした一人一人が、それぞれの感性で何かを感じとっていただければ嬉しいですね。


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帰り際にお土産として、アシストオンへの言葉として、「センスの良い遊び心」と描かれたイラスト入りのスケッチブックをいただきました。

センスとは、私たち、ひとりひとりが、それまでの体験してきたこと、そしてそこから相手のことを考えたり、思いやったりするところから生まれるものであって、決して教えられて出来るものではない、ということ。また、良いセンスとは、私たち自身が毎日の生活を楽しみ、感じることで養われていくものではないでしょうか。

今回の戸田幸四郎先生のインタビュー、そしていただいたイラストを眺めながら、そのようなことを考えて帰ってきました。

インタビュー 斉藤有紀(AssistOn)2006.7.25

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戸田デザイン研究室訪問記

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2006年7月12日、戸田幸四郎先生のご子息であり、戸田デザイン研究室の代表の戸田靖さんをたずねました。

戸田デザイン研究室では、戸田幸四郎先生の原画を元に絵本やリングカードを企画し、編集から製品化、販売先への提案などを一貫しておこなっています。それらの企画やプロセスの姿勢も、単に売れるもの、売りやすいものをつくるのではなく、読者、特に子供達にとって良いと思うもの、長い間読み継がれるものをテーマに制作が行われています。そのため出版ペースは年に1作から2作という、通常の出版社では考えられない、たいへんゆっくりしたものではありますが、このようにして戸田幸四郎先生の絵本は、一冊一冊がじっくりと時間を掛け、世に送りだされています。

戸田デザイン研究室は東京ドームのある後楽園から歩いて15分程の文京区小石川の閑静な住宅街に囲まれたところにあり、お寺の脇の坂道を汗をかきながら上っていくとたどり着きます。

今回は、戸田靖さんに最初に出版された「あいうえおえほん」や「リングカード」の誕生秘話や製作現場、そしてこれからについてお話しをうかがいました。


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白い表紙に手描きの文字だけ


「あいうえお えほん」の白い表紙に文字だけという装丁に、出版当時は販売会社などから、子供の本だから絵を入れて欲しいと何度も何度も言われていたようです。

しかし幸四郎は一切聞き入れず、絵も文字も自分が一番きれいだと思うものを決して妥協することなく、発売までに2年という通常の絵本では考えられない時間をかけてつくり上げました。

「あいうえお えほん」は今でも変わらず白い表紙に手描きのレタリングの装丁ですが、この絵本が24年もの長い間、子供達に読み継がれているのは、幸四郎が譲らなかった飽きのこないシンプルなデザインがあったからではないかと思っています。


靖さんの手2


「リングカード」の誕生


以前からカード式の絵本をつくって欲しいという声がありました。それで具体的にどんなカードを作るか考えていたときに、汚れたり、折れてしまった「あいうえお えほん」の絵を切り取り、段ボールに貼って自分の子供に渡してみたんです。そうしたら、綴じてあったときはあまり興味を引かなかったのに、カルタやクイズのようにして好き勝手に遊び始めたんですね。
 

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一般的に売られている知育カードと呼ばれるものの何が面白くないか、とっつきずらいのかと考えてみると、印刷や製本などの都合で決まったあの「四角い形」にあるのではないか。ですから私たちは、子供たちがカードを見た瞬間に、面白い、楽しいと感じるものをつくっていきたいと考えました。

そこで、まず幸四郎が手書きで線をひいたお豆のような輪郭を描き、これを元にパソコンで輪郭を描き直して、カードを試作してみました。しかし、そうやってデジタル処理で出来上がったものをみると、手描きのものとは驚くほど雰囲気が違い、面白くない冷たい形になったんです。それではと、幸四郎が手で描いた線でそのまま刃型をおこして作り直したら、今度はとても人なつっこい、温かい感じのカードに仕上がったんです。今、製品になっているリングカードが左右対称ではない少しいびつな形になっているのは、そのような理由からなんです。

靖さんデスク2


これから


戸田デザイン研究室の絵本を皆さんに楽しんでみていただければ、一番嬉しいです。

今度、子供の姿が後ろに隠れてしまうくらいの、巨大なリングカードを作りたいと思っています。実はリングをどうするか、話を進めているんです。どんなものになるのか、ぜひ楽しみにしていてください。

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今回のインタビューでは、戸田幸四郎先生の絵本やリングカードを通して、単に絵やイラストを製品の形にすることだけではなく、その考えや思いまでもを読者のみなさんに伝えるべく、妥協のない製品つくりを目指して日々奔走している、戸田靖さんやスタッフの方々の強い熱意を感じることができました。いつか、巨大なリングカードで遊ぶ子供たちを目にする日を楽しみに待ちたいと思います。

インタビュー 斉藤有紀(AssistOn)2006.7.12

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編集後記

AssistOn inFocusの人気記事から名作選、として復活させました。この記事は2006年8月 アシストオンWebに掲載したもので、戸田幸四郎さんは2011年にお亡くなりになりました。取材の時に戸田幸四郎さんからいただいたスケッチブックは現在でも大切に保管しています。

なおアシストオンでは2020年版として戸田デザイン研究室の再取材を計画しています。お楽しみに!


センスの良い遊び心2


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戸田デザイン研究室のアイテム

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戸田デザイン研究室 あいうえおつみき(詳しい情報と購入はこちら)

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戸田デザイン リングカード(詳しい情報と購入はこちら)

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戸田デザイン こども学習えほん(詳しい情報と購入はこちら)


「AssistOn inFocus名作選」をまとめたマガジンはこちら。貴重なインタビュー記事の数々を、ぜひご覧ください。



アシストオンの記事を気に入っていただき、ありがとうございます!
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