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【AssistOn inFocus名作選】 seto 瀬戸けいた・なおよ

さまざまなデザインにAssistOn独自の視点でフォーカスする「AssistOn
inFocus」。ご好評をいただいているインタビューの中から特に人気の、2008年10月掲載の「seto 瀬戸けいた・瀬戸なおよ」をnoteに再掲載いたします。


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みんなが笑顔になるもの、みんなが楽しめるものをつくってゆきたい


僕らが作っているのは、モノと生き物の間で、製品とアートの間のようなものですね。

「生き物に学ぶデザイン」をテーマに製品を作っていますが、よく考えると、布とパーツの塊なんですよね。でも、それを人が使っていくことではじめて、生命を得るんだと思う。

可愛いと思う人、機能的だと思う人もいると思うし、使う人によって関わり方が違ってくるんだと思う。

みんなが楽しくなったり、笑顔になったり、嬉しくなったり。そういうことが、遊ぶことから始まってゆく、みんなを平和な気持ちにしてゆく。

だから、おもちゃはとっても「嬉しいプロダクト」なんだと思う。年齢も性別も関係なくて、みんなが楽しめるものを作りたい。ユニバーサルなものを作っていきたいですね。



Seto 瀬戸けいた、なおよ


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「seto」は、生き物が大好きな瀬戸けいたと、縫うことが大好きな瀬戸なおよの二人組です。

「seto」のものづくりのコンセプトは、『Think Creatures./生き物に学ぶ』です。日本および東洋では古くから生き物及び自然は、身近でかつ尊いものとして大切にされ、そのなかからひとは様々な知恵を授かり、生活に活かしてきました。

「seto」も、昔から普通におこなわれてきたその行為を、現代の生活のなかで、『見立て』の手法によって考え、作品として表現していきたいと思っています。また作品作りは、道具と生き物、アートとデザイン、古いと新しい・・いろいろなものの中庸にあることを目指しています。


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seto 瀬戸けいたさん 瀬戸なおよさん インタビュー


「生き物に学ぶ」をコンセプトに、口のファスナーで表現した「Eater(イーター)」シリーズ。子供も大人も、家族一緒に使えるモバイルバッグ「dapipa」。

さらにディズニーやナイキ、無印良品、au、ヤマハ、ベネッセといったブランドともコラボレーション作品を発表。多くのお客さまから親しまれる製品を生み出している、seto(旧、九印・9brand)。

2008年10月11日、今回、アシストオンでの新作テキスタイル展を開催するにあたり、お二人を鎌倉にあるアトリエを訪ねました。

setoのアトリエ兼ショップは、2007年の1月に東京の吉祥寺から、神奈川県の鎌倉へと移られ、金・土・日のみショップとして営業しています。

場所は、鎌倉駅からは歩いて7分ほどのところで、近くにはお寺があり、脇には小川も流れる静かな住宅地にあります。ショップ内には彼らが手掛けた製品の他に、生き物の本や趣味で集められている郷土玩具などもディスプレーされています。

アシストオンではseto製品を長く扱ってきましたが、今回の新作「Ika-textile(イカテキスタイル)」の展覧会開催にあたり、あらためて彼らのルーツと進化を探るため、瀬戸けいたさんと、瀬戸なおよさんにお話しをうかがいました。


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二人のルーツ


けいた: 僕たちは、株式会社イデーという家具会社で働いていたときの同僚なんです。僕はデザインの部署で、彼女はキッチンの営業をしていていました。

二人とも昔から、その土地に根付いた古いものや郷土玩具、ぬいぐるみを集めるのが好きだったんですね。今も日本のものだけではなく、海外のものも見つけてきては集めています。

僕は、もともと、小さい頃から虫や生き物が大好きで、デザインのことを始める前は、生物学や生き物に関する仕事をしたいと思っていたんです。

僕の祖父が医師でありながらも、仏教や生き物の絵を描いていたこともあって、その影響から美術大学を目指すようになりました。多摩美術大学へ入り、気がついたら家具デザイナーになっていました。

なおよ: 私は、母が手芸が好きで、父はミシンメーカーに勤めていたこともあって、小学生の頃から自分専用のミシンを使い、ぬいぐるみとか色々なものを作っていました。

今でこそ、デザインの仕事をしていますが、 もともと純文学が好きで、大学も文学部なんです。骨董や民芸に興味があったので、骨董屋さんで働きながらデザインの勉強をして、その後、家具会社に就職したんですね。その時に色々なことを学びました。


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家具会社での経験


けいた: 家具会社では、デザインの部署へいく前に、まず、家具の組み立てから梱包、配送までをおこなう倉庫で働きます。

倉庫にいると、デザインの成り立ちだけでなく、その製品の背景や仕上げていくまでの流れが見えるんです。テーブル一つにしても、 天板や脚、ビスやゴムなどの小さいパーツに至るまで、それぞれ別の業者さんから部材やパーツが届いて、それを自分たちで組み立てていくのですね。

ですから、一つのものを作るのに、どこで、どんな風に作られて、 どんな人たちが関わって、どんな苦労があったのか、色々知ることができるのです。先輩デザイナーは皆、倉庫で働いた経験があって、どこで何が作られているのかを、分かってデザインしていましたね。

なおよ:私も同じ家具のお店にいましたが、キッチンのコーディネートや設計に関わることまでやっていましたから、蛇口やタイルの発注、水道工事の手配など、それぞれの業者さんと関わりながら仕事をしていました。

出来上がっているものをただ売って終わりではなく、その裏では色々な業者さんが関わっていることや、部材の手配やコントロールなど、働いていた時に知りました。今、私たちが製品を出していけるのも、この家具会社での経験が非常に大きいと思います。


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Yamori-magnet の誕生


なおよ: 私は家具会社でキッチンの営業をしていましたが、キッチンは1台で100万円以上もしますから、すぐに売れるものではないんですね。

そんなときに、上司から販売促進のために「キッチンに合わせて小物もディスプレーしたら、もっとキッチンが良く見えるのではないか?」と言われたんです。

でも私は、ミトンとか鍋敷きとか、普通のキッチンツールをディスプレーするのは面白くないと思って、デザインの部署にいた彼に話してみました。

そうしたら、「こんなのはどう?」って、ヤモリをモチーフに、両手足にマグネットが入って、冷蔵庫とか、色々なところにへばりつく「Yamori-magnet(ヤモリマグネット)」のアイデアをくれたんですね。

私は縫うことが得意でしたから、さっそく、自分で作って上司に見せたところ「こんなものじゃない」と、言われてしまったんです。やはり普通のキッチンツールをイメージしていたんでしょうね。

それでも、自分ではとても気に入っていたから、店内の自分のデスクに貼り付けて、勝手に飾っていました。

そうしたら、ご来店されたお客さまの目に留まるようになって、「これは何ですか?、売り物ですか?」と次々に言われるようになったんですね。


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けいた:僕たちのいたイデーは面白い会社で、会議でアイデアやデザインが通らなくても、自分たちで企画していいものを作れば売ってくれたんです。そうして、最初はイデーの製品として「Yamori-magnet」は販売されるようにりました。今は販売権を譲ってもらい、僕たちsetoの製品として「Yamori-magnet」を販売しています。

嬉しいことに、今年、2008年には、僕たちが大好きなスイスの木製玩具会社、Neaf(ネフ)社のコレクションに選ばれ、ヨーロッパでも「Yamori-magnet」が販売されることが決まりました。

この「Yamori-magnet」の凄いところは、ただ、へばり付くだけではなくて、手の長さも微妙に考えて、ポストカードとかを挟み込んで、スタンドのようにして使うこともできるんです。

この「Yamori-magnet」が僕たちのデザインレーベル誕生のきっかけにもなっていますが、今見ても、「道具を生き物に見立てる」ところとか、僕たちが考えていることが凝縮されていていると思う。

本当の生き物のヤモリはこんな形ではないけれど、うちならではのデフォルメだったり、ユーモアだったり、へばりつく機能だとか、ちゃんと要素が入っているんですよね。


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デザインレーベル seto(旧、九印・9brand)のはじまり


けいた: 家具会社では、店舗物件やインテリアのデザインもやらせてもらったり、とても充実して楽しかったですね。でも、クライアントの意向や自社のオリジナル家具にしても会社の方向性がありますから、自分の個性を製品に出していくのはむずかしかったんです。

それで、もっと自分らしい、オリジナリティーを出せるものを作りたいと思うようになったんですね。そのときに、昔から好きだった「生き物」と「デザイン」を結びつけた製品や作品を作れないか、と考えました。

彼女には「Yamori-magnetを作ったんだから、一緒に何か作らない?」と声をかけ、彼女の縫う技術を活かして「テキスタイル(布)」のもので、僕の好きな「生き物」に関わるものをやっていこう、と決まりました。

こうして、1999年9月に『Think Creatures./生き物に学ぶ』をコンセプトとした、デザインレーベル「九印・9brand」の活動をスタートさせました。2008年には、自分たちの名字である瀬戸から「seto」と改名しました。


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Eater 誕生


けいた: 「Yamori-magnet」では生き物の「はりつく」生態や機能を見立てたものでしたが、今度は、生き物の「食べる」という行為に焦点をあてたものを作ろうと思いました。

そうして、「口からものを飲み込んで、 お腹のなかに保存する」という生き物の基本行為を、口をファスナーで表現した「Eater(イーター)」が誕生しました。

生き物の「食べる」行為とナマケモノなどのように「ぶらさがる」動作をバッグに加えたもので、人の体やバッグに、しがみつくようにぶら下がって、くっついていきます。

この「Eater」は、活動を始めた1999年からずっと作り続けているもので、少しずつ体の大きさや形が進化しています。今では 携帯電話やカメラ、ipodなどが好物のEater-mobileや、手のひらサイズで、小さくて丸いEater-beanなど、「Eaterシリーズ」として展開しています。

製品の特徴である目玉の部分「ボタンアイ」も、ただの飾りではなく、機能を持たせています。内側がスナップになっていて、キーホルダーなどを留めておくことが出来るんですよ。 冬になると突然変異種としてモシャモシャの毛の長い「Eater」が誕生するんですが、毎年お客さまにも楽しみにしてもらっています。


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M.O.C system(モックシステム)


なおよ:「M.O.C system」は生き物の手や足、しっぽ、つのなどのパーツを組み合わせて、自分だけの新しい生き物を作り出す、ブロックトイです。

生き物が持っている体の機能は、手や角など、必ず形としてでてきますよね。その色んな形をパズルのように組み合わて、生き物の「進化」ということが表せるのではないか、と思ったんですね。

私はぬいぐるみを作るのが好きで趣味で作っていますが、ただのぬいぐるみではレーベルとしては出せないけど、これなら出せると思って。「これは、ただのぬいぐるみとは違うよ」と、彼にプレゼンテーションしました。

けいた:この「M.O.C system」は、僕たちにとってターニングポイントですね。2001年にアシストオンで、展示会として発表したことで、翌年の2002年にはメーカーで製品化することができました。

2003年には「M.O.C. system for Disney」として、ディズニーキャラクターを使ったものも製品になりました。さらに、グッドデザイン賞やグッドトイ賞も受賞できました。

みんなが楽しくなったり、笑顔になったり、嬉しくなったり。そういうことが、遊ぶことから始まってゆく、みんなを平和な気持ちにしてゆく。だから、おもちゃはとっても「嬉しいプロダクト」なんだと思う。年齢も性別も関係なくて、みんなが楽しめるものを作りたい。ユニバーサルなものを作っていきたいですね。


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「M.O.C system」を作ったことで、レーベルとしても「遊ぶ・楽しむ」というキーワードが強くなったように思います。

「M.O.C. system」よりも先に製品になっていた「Eater」のシリーズのほうでも、繋げたり、組み合わせることとで「使う」+「遊ぶ」ということを製品に取り込めるようになっていきました。

けれど、その「楽しい」を作っていくために、裏ではものすごい苦労や試行錯誤があるんですけどね。(笑い)

なおよ: 「M.O.C system」は6年間という、最近の玩具としては珍しいロングセラーを記録しました。残念ながら、現在はメーカーで製造が終了となってしまいましたが、いつかまた製品として復活させたいと思っています。

ですから、「M.O.C system」をまだ体験しておられない方は、時間はかかってしまうかもしれませんが、新しい「M.O.C system」の誕生をぜひ楽しみに待っていてください。


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どうぶつえん


けいた: 僕らが作っているのは、モノと生き物の間で、製品とアートの間のようなものですね。

「生き物に学ぶデザイン」をテーマに製品を作っていますが、よく考えると、布とパーツの塊なんですよね。でも、それを人が使っていくことではじめて、生命を得るんだと思う。可愛いと思う人、機能的だと思う人もいると思うし、使う人によって関わり方が違ってくるんだと思う。

なおよ: 機能的で使いやすいバッグは他にたくさんあると思います。何も「Eater」のような形でなくてもいいと思うんです。

でも、お客さんが私たちの製品の選んでくれる理由は、バッグとしての機能よりも、面白さだったり、楽しさだったり、使うこと気分が良くなったりするところにあると思うんです。

私たちは「生き物に学ぶ」ということコンセプトにしていますが、 頑張って得る学びもあるけれど、楽しみながら学びとっていく方法もあると思う。


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生き物は、ただ、可愛いらしかったりするだけではないと思うんですね。パンダだって、一見可愛らしいけれど、凶暴なところもあったり、食べたら排泄もしますから汚いところもあるんですよね。生き物は色んなことを教えてくれます。

けいた: もしかしたら、僕たちがやっていることは、動物園の存在意義と近いのではないかと思う。動物は自然の中で見るのが一番、というのももちろんあります。

でも、わざわざ「動物」にクローズアップして、切り取って見せることで、自然や生き物から学ぼうよ、というのが動物園にはあると思う。

生き物のことを考えることは、同時に自分たちのことを考えることにも繋がると思うんですね。僕たちの製品から、もし少しでもそのことに気づいてもらえたら、嬉しいですね。


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変わらないこと


なおよ:東京から鎌倉に移ってきて、2009年の1月で丸2年なりますが、こちらで知り合う人たちを見ていると、普遍的なものを大事にしているように思います。

自然は季節毎に移り変わったり、最近では色々と変わってきているかも知れないけど、根本は変わらずにそこにある。お寺も古くからずっとそこにありますし、こういった環境に囲まれているからなんだと思いますね。

けいた:僕たちのこどもが生まれてからは自然のこととか、変わらないこととか、考える傾向になっていましたが、鎌倉に住むようになって、毎日、山に昇る月や、海に広がる景色を眺めていると、より考えるようになりましたね。


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なおよ:以前から、デザインや創作性は「生活の中から生まれてくるもの」と考えていました。それでも、仕事は仕事、生活は生活、というようにどこかで切り離してしまっていたように思います。

でも今は、完全に仕事と生活が一緒になったと思いますし、日々の生活の中からデザインを考えていますね。小さいこどもがいるので、生活と仕事が一緒になってしまった、というのもありますが。

けいた:1999年に活動をスタートしたときから「Eater-Sagar」を作ってきて、9年の間にはサイズやパーツの改良といった進化が色々ありました。もっと良くしていきたい、という考えから改良をしています。

今後も「進化」という形で改良をしていきますが、ずっと作り続けてきたから見えてくることがあって、変わらないために、変えるんです。

でも、「生き物に見立てる」、「パーツは全て黒」、「体内はオレンジ」というところは、今後もずっと変わらないでしょうね。 この3つは僕たちが考えた方式ですから。


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試作と縫製工場


なおよ:私たちが製品を作るときは、試作の段階では自分でも作りますが、生産は工場で行っています。生地やパーツなども、それぞれの工場に直接自分たちで手配し、出来上がった部材を縫製工場へ送って、製品に仕上げています。

縫製をお願いしている工場は、活動を始めた頃からの長い付き合いのところで、若い人たちを応援してくださるようなところがあります。どこの工場もやらないようなものでも、面白がって作ってくれるので、とてもありがたいですね。

縫製工場に縫製をお願いするのは、製品の形が決まってからになります。まずは、ラフな型紙を描き、それを元に生地を裁断し、ミシンを使って自分で試作します。作ってはバランスを見ながら調整し、思った形が出るまで、試作を繰り返します。


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形が決まった段階で、工場での試作をしますが、私が作った試作品も一緒に渡し、それを見ながら仕上げてもらっています。工場での試作品の確認ができてから、製品としての縫製がスタートします。

けいた:Eaterの目玉の位置は、彼女にしか決められないんです。僕にはできない。とても微妙で、数ミリずれるだけで、全然違って見えてしまうのです。

なおよ:彼が目を付けると、絶対変な顔になるんですよ。

縫製工場から出来上がった製品が届けられる時は、とても嬉しいですね。 段ボール箱を開ける度に、中からこの子達がたくさん出てきて、我が子のように思っています。


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Ika-Textile


けいた:今回、アシストオンで展示会(2008年10月24日〜11月6日)を開催する「Ika-Textile(イカテキスタイル)」は、イカの表皮がモチーフのテキスタイルで、マーカーを使って簡単に自分だけのシグナル(デザイン)を表現できるものです。

これを思いついたきっかけは、魚屋さんです。お店で並べられたイカの斑点を見て、綺麗だな、と思ったのです。以前、地引き網で掛かったイカを見せてもらったことがあって、表皮の色が脈打つように変化して、波のように見えるんです。

それから、イカの生態を調べてみました。表皮の色の変化は、ドットだけで構成されていて、そのひとつひとつが収縮や点滅することで、グラフィックになっていたんです。テレビのブラウン管も同じ原理なんですけどね。

それで、イカになぞらえてドットで表現する「Ika-Textile」を考えました。ドットを塗りつぶすことで、自分だけのデザインをしていきます。


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マーカーを使うことにしたのは、こどもが段ボール箱に描いた落書きからなんです。マーカーのインクが段ボールに染み込んでいく様子をみて、同じように布に染み込ませていけばいいと。

この「Ika-Textile」というアイデアがまとまってきた時に、まずは、アシストオンに相談にいきました。そうしたら、「?」マークで知られるマジックインキの寺西化学工業さんを紹介してもらい、「Ika-Textile」に適したマーカーと出会うことができたんです。

「Ika-Textile」 には、水性顔料を使ったマーカー「アクアテック ツイン」を使うのをお勧めしていて、ぐしゅぐしゅ描いても油性のように裏にまで浸みにくく、何より色が綺麗にでるんです。乾くまでに少し時間がかかりますが、乾いてしまえば水や光にも強くて、油性のような嫌な匂いもないんです。


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黒いベースに白抜きのドットにしたのは、 地の色が黒だったら、はみ出しても気にならないし、楽な気持ちで絵を描いてもらいたかったからです。マーカーで描くことに抵抗がある人にも、楽しんで、自分だけのシグナルを作ってもらいたいですね。

なおよ:「Ika-Textile」はアート作品として完璧に仕上げていくこともできますし、ランダムに塗りつぶして、ドットの美しさを表現することもできます。見本のように完成させなければいけないとか、出来上がりの上手い、下手だけではなくて、ひとつひとつ塗りつぶしていく作業も楽しんでもらいたいですね。

たとえ失敗したとしても、そこから新しいデザインになったり、自分だけの味わいのあるものにしていくことができるんです。「Ika-Textile」は、どんな風にやってもいいんだよ、というのが魅力なんです。できあがるまでのプロセスも楽しんでもらいたいですね。


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インタビューを終えて


今回、黒い目玉にファスナーの口を持った生き物のようなバッグでお馴染の、setoさんのアトリエ兼ショップにお邪魔してきました。

アシストオンでも製品を扱い始めてから長いお付き合いになりますが、改めて瀬戸けいたさん、なおよさんのお二人からお話しをうかがい、9年間(取材当時)の変化や進化、そして、変わらない彼らの真摯な考え方や取り組みに触れることができました。そして、製品だけではなく、お二人にもより親しみが湧きました。

時にはお子さんから、デザインのアイデアや意見をもらうこともある、とおっしゃるお二人。古いお寺や海や山などの自然に囲まれる環境で、家族3人の日々の生活の中から、どのように「進化」をしていくのか。これからの10年先、20年先がとても気になりました。

インタビュー AssistOn企画・広報部 斉藤有紀 2008.10.22


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編集後記

AssistOn inFocusの人気記事から名作選、として復活させました。この記事は2008年10月 アシストオンWebに掲載したものです。

インタビューから10年経ち、「生き物に学ぶ」setoのアイテムは個性的な仲間が増えて、現在では会津木綿ブランド「株式会社はらっぱ」や、自由学園生活工芸研究所とコラボレーションした特別版が生まれるなど、日々進化し続けています。

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会津木綿


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自由学園生活工芸研究所「プラネテ」

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setoの人気アイテム

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Eater-sagari


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Eater-bean


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Mame-sagari


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