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ぐんま観光県民ライターになりました

令和6年1月、ぐんま観光県民ライター(通称「ぐん記者」)になりました。1月13日に群馬県庁で任命式と研修会があり、情報解禁されました。

ぐんま観光県民ライター(ぐん記者)が決定しました(観光魅力創出課) - 報道提供資料 - 群馬県ホームページ(観光魅力創出課) (pref.gunma.jp)

群馬の隠れた魅力を発信 ぐんま観光県民ライターに28人採用 (msn.com)

昨年11月に募集が告知され、なんと165名の応募があったそうです。応募者のレベルが高く、15-20名の予定が28名になったそうです。

私の手でなんとかしたい、と立ち上がった人が165名もいたことに感激しました。同志よ!!

それにしても倍率5.8倍の超難関です。私が藪塚温泉推しで選出されたのは奇跡かもしれません。半端な原稿を書いたら、涙を飲んだ同志から上州弁で怒られます。責任重大です。

1月13日の研修は、仕事で遅刻してしまいました。誠に申し訳ございません。上州弁で「ちっとはみしめてやってくんない」って怒られるかと思いますが、皆さん優しかったです。ありがとうございます。

ぐんま観光県民ライターが選出された背景には、2022年、2023年の都道府県魅力度ランキングで群馬県44位という惨状があります。

都道府県魅力度ランキング2023【47都道府県・完全版】 | 日本全国ご当地ランキング | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)

草津温泉は、「にっぽんの温泉100選」20年連続1位 です。
全国の人気温泉地ランキング20【2024年】旅行のプロが選定!おすすめ宿もご紹介 - まっぷるトラベルガイド (mapple.net)

じつは20年どころか、江戸時代から東の首位独走なんです、草津温泉。
温泉番付 - Wikipedia

草津温泉って本当に凄いですよね。一回入ると3日間は硫黄臭いんですよ。
あまりに個性が強烈すぎるので、草津温泉の周囲には「上がり湯」と呼ばれるマイルドな温泉がたくさんあります。
温泉大国群馬県なのに、魅力度ランキングは44位。
我々のふるさとには、いったい何が足りないのでしょうか?

そうはいっても、心当たりはあるのです。
はるか昔を振り返ってみれば、十代の自分の姿が思い出されます。
「群馬、ダッサイ。超ダサい。田舎すぎる。なんもない。町もしょぼいし住んでる人もダサい。なんでこんなダサいところに生れ落ちてしまったの」
と自分の運命を呪いました。小中学生の頃、漫画雑誌の応募者全員プレゼントにわざと県名書かずに出しました。返信封筒にはしっかり県名が書いてあって絶望した思い出があります。

逃げるように上京し、憧れていた銀座・渋谷・新宿・池袋に行ってみたら、東京でいけてる町は麻布より代々木上原、渋谷より祐天寺、中目黒、新宿より吉祥寺あたりだったときはショックでしたが、必死で勉強しました。
東京出身者より東京に詳しくなりました。
流行を追って追って追いかけて、20年超。虎ノ門ヒルズが出来たときに近くで働くOLだったんです。遠近法を駆使した庭園の地価と現況の釣り合わなさに違和感を覚えました。
「これなら田舎の方がいい。もういいや」
理屈ではなく、都会の流行を消費するだけの生活に飽きたんだと思います。
20年も東京に憧れて、幻想の都会で旅していた気がします。
今思えば、群馬嫌いも思春期特有の劣等感が故郷への憎悪になっていただけです。
離れてみてわかりました。群馬県はいいところです。

群馬県太田市藪塚町にUターンしてから「藪塚通信」をインスタで公開しています。7年目に入りました。

藪塚町は、「藪塚温泉郷」と呼ばれる観光地です。温泉に行基上人の伝説が残るので千年以上続く温泉です。
「太平記」に出てくる新田義貞が兵を休めたという伝説もあるそうです。このあたりは「新田乃荘」と呼ばれる新田氏の領土でした。荒れ放題の土地で作物もできず、藪塚と呼ばれ、標高300m未満の低山の合間に小さな温泉がわき出す秘境だったことでしょう。

かつての荒れ野は、江戸時代の名代官が命をかけて作った岡登用水によってうるおされ、田園風景が広がっています。
温泉郷といっても、営業中の温泉は数件(3件)、一番大きなホテルふせじまは1年以上前から休業しています。
ハイキングコースがあり、日本で唯一のスネークセンター、江戸時代の宿場町を再現したレトロな三日月村がB級スポットのマニアをひきつけています。

都会に疲れた人が憧れるのは、のどかな田園風景。自然豊かさ。産地ならではの新鮮な野菜や果物、物々交換のコミュニケーション。
広々とした景色のいいカフェで飲む自家焙煎のコーヒー。素朴な手打ちうどんやそばのお店、産直野菜の美味しいランチ、大盛りのパスタ。
少し車を走らせれば、桜、新緑、入道雲、紅葉や雪景色を独り占めできます。
物価も安くて暮らしやすく、家が広くて車があって。せっかちな人もいますが、ずいぶんのんびりしています。東京の人たちは歩く速度がフェラーリみたいに早いけど、群馬のひとたちは本当にゆっくり。

まったり暮らしの良さはインスタでも伝えられますが、「ぐんま観光県民ライター」のミッションは、群馬の魅力を発見し、発信することで知名度UPして群馬に来てくれる人をもっと増やすことです。

私は10代のころから「地方で暮すために必要なものは文化だ」と考えていました。長年考え続けてきていますが、はっきりした答えは出ていません。
フィールドワーク的に各地の町おこしを見たり聞いたり訪ねていますが、共通しているのは、歴史や風土などは関係なく、尖った才能や強烈な個性を持つ人が我が道を貫いたことが文化の発端になっていることです。
個性が強い人が世間におもねず正直に生きることで摩擦や軋轢が生まれますが、常識との火花が散った瞬間に新しい文化が生まれているようです。

群馬県の事例で言えば、近代詩の祖、萩原朔太郎です。
音楽では「BOØWY」「BUCK-TICK」というカリスマがいます。
ファッションでは、裏原ブームで有名な「UNDERCOVER」の高橋盾氏や「A BATHING APE®」のNIGO氏がいます。
我が道を歩いた後には新しいジャンルが出来てます。

今回選抜された28名のぐん記者は、プロのライターや表現者だけではなく、個性の強い一般人も選ばれています。
群馬県民は、熱い人が多いです。熱しやすく冷めやすいと言われますが、義理人情に厚く、上毛かるたで醸成された郷土愛は深く激しく、正直で一本気です。
研修会や懇親会で会った人たちはひとかどのオーラがある人ばかりでした。「多彩な個性をもった才能が選ばれている」と感じました。私もその末席に入れていただいて光栄です。

3か月後が楽しみです。