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ブンカのきろく

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梅雨の希望

5月のなかば緊急事態宣言が解除されてからここまで。新しい仕事の忙しさにかまけて執筆を怠ってしまった。その間に私は疫病による非日常を感じることをおざなりにしていただろうか。スーパーに買い物に行くことさえ躊躇われて、それで持て余す時間に恐れをなして人気を避けつつ何かを探しに川辺をやみくもに歩き回った日々が少し遠く感じられる。私たちの置かれた状況で何が確実なのか答えは与えられぬまま、宙に浮き、梅雨の始ま

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ハワイの歩きかた

ハワイの歩きかた

ハワイにいたころその地での歩きかたを覚えた。ゆっくりと手をぶらぶらとさせて歩く。びっくりするぐらいゆっくりと。

仕事場のハワイ人のボスと並んで歩いていると、知らぬまに一人だけ前に進んでいて驚いた。彼は脳出血を起こして麻痺があったのも事実だが、とにかくゆっくり歩いたし、抜かされても置いていかれても追いかけることはなかった。日本では相手の歩調に合わせて歩くことが多かったから、気づかずにボスを置いてい

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2020ブンカのキロク 春(1)

2020ブンカのキロク 春(1)

小さな画面で映像をひとりで見続けるとすぐに飽きてしまう。溢れる無料コンテンツにあるときは喜び、あるときには辟易とする。詩人は人々を覗き見て詩を綴る。今は、書けることを少しずつ文字に残しておき、誰かに読まれるかもしれない形で開いておこう。

noteでの執筆をコロナから始めなければいけない。去年まで大学院に所属していた私はようやく組織から離れて、仕事を始めた。人に話を聞き、活動を始め、生きていくぞと

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動画から体から無限の粒子へ

動画から体から無限の粒子へ

SNSに流れ込んで来る情報から、何か引っかかることを見つけたらメモに残す。すぐに検索する。そうしないと次の瞬間には忘れてしまって、ヒマになってしまう。

尋常ではない状況に、慣れてなくてはならないと私はプレッシャーを感じている。一人一人が置かれた状況は様々だ。毎日医療現場に変わらずに電車で通わなければならない人。接触を避けつつ、締め切りのあるプロジェクトを終えるために日々膨大な仕事をこなす人。突然

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