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待ち人が来るまで


お盆前後、大きなターミナル駅のスーツケース率は、非常に高い。
スーツケースを後ろ手に支えて引っ張って歩くひとが縦横無尽に横切る。
わたしが友達と待ち合わせた駅構内のコンビニ前でも、スーツケースを2つほど持った家族が誰かを待っていた。


おじいちゃん、もうおうち出たかな?
もう出ているはずだよ。
まだかなあ、おそいねえ。途中で転んでないかな?
大丈夫。おじいちゃん、しっかり歩いてくるよ。

聞くともなしに聞こえる女の子とおかあさんの会話。
おじいちゃんはすこし遅れているようだ。
わたしの友達からは、あと10分で着くとラインが入っていたが、おじいちゃんからは連絡は入っていないようだった。
何分遅れているのかわからないけれど、おかあさんの手をぎゅっと握り心配そうな女の子に、おかあさんはもう少し待ってねと言っていた。
女の子の瞳は、まだ姿の見えないおじいちゃんを探して前方を一心に見つめている。







女の子が小さくつぶやいて、おじいちゃん来た!とおかあさんに伝える。
どこどこ?ああホントだ。よく見つけたね。と言われて、嬉しいのと、張り詰めた緊張から安堵に変わったことで、弾けるような笑顔でおじいちゃーんと声を出して手を振っている。

おじいちゃんは、やれやれひとがすごくてなかなか前に進めないね、遅れてしまったごめんごめん。と女の子の頭を撫でて謝る。
心配してたのよねえ。うん転んでるかと思っちゃった。とひとしきりワイワイしたあと、みんなで新幹線乗り場に向かって行った。

ほどなく友達も来て、
遅れてごめーん。と言われたので、会えてよかった!大丈夫?転んでない?と聞き、2人で笑いながら歩き出した。




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