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ベタなのがすき


母はアイスクリームは必ずバニラを選ぶ。

おばあちゃんだから?
いや、いまのわたしの年齢くらいのときからずっとだ。カップアイスでも、アイスクリームショップでも、レストランのデザートでフレーバーが選べる時も。

なぜ、他の味のを食べないの?とむかし聞いてみたとき、だってやっぱりバニラが美味しいじゃない。と答えたので、ふ〜んと言いつつ、いろいろ食べてみたいタイプのわたしは、こころの中で他のも食べてみないとわからないじゃん。とか思ったりしていた。

そのころの自分を振り返ると、メイクやヘアセットにも一所懸命で、毎日同じ色のリップではいやだと思っていたし、友だちはたっくさんいるのがいいと思っていた。
彼氏とクリスマスに出かけるレストランも、毎年違うところに行って、昨年食べたあそこのなにがどうだったよねと話すのが楽しかった。


そんな日々よ、いつの間にやらサヨウナラ。

今ではわたしも気に入ったものがあるとそればかりオーダーするようになった。

ありきたりであっても、それが何度でも食べたいし、やはり美味しいねと確認したい。そのメニューや商品がなくなったりするとかなりへこむ。
気に入って通っていたお店がクローズすると聞くとショックだ。服も冒険せず、同じショップで同じようなデザインのものを買うようになった。
朝食はご飯と味噌汁と漬物、焼き海苔、たまに目玉にするか、だし巻きで卵をつける。毎日ほぼ同じ。ぜんぜん飽きない。

ひとに対しても同じで、広くは求めなくなり、心地よくいられるひとと時を同じくしたいと思う。いろいろな刺激をたくさん受けて貪欲に成長したい気持ちはゼロではないが、それよりもっと、ただ愛するひとたちのそばにいて、笑っている顔を見ていたい。


なんだ、気づけばわたしもすっかり母寄りだ。

わたしが知らないだけで、母もさまざまなフレーバーを経て、バニラが好き。と言っているのかもしれないなと思った。


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