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行きつけのお店


入るとスコンと広め、大きなテーブルが中央に置いてあり、1人でも複数人数でも使えるようになっている。入口の正面の奥には天井までの大きな窓があって見通しがよい。気候のよい季節には開け放して風を入れている。壁に沿って小さなバーカウンターがあり、5人くらいが座れる長さ。他に4人用テーブルが5〜6くらいあって、ところどころにグリーンが配置されている。
壁にも大きな緑の木々が描かれ、やや高い天井まで続く背景の空が、眺めてみると昼から夜に移り変わるひとつづきの絵になっている。

日の当たる午後には窓にブラインドが降ろされて少し暗くなるけれど、灯りが必要なほどではない。陰を落としたブラインドの下から見える日差しが強烈に白く暑くても、店内はエアコンが効いていて涼しい。
お茶だけの客にも、明るいうちから冷たい白ワインを求める客にもどちらも居心地のよい音楽が流れている。この店は犬の入店も可能なので、たまに飼い主の足元に大人しく伏せている犬がいることもある。
それぞれの客がそれぞれの時間を過ごせるように、オーダーされたメニューが提供された後は適度に放っておいてくれるので、アイコンタクトには鈍い時もあるが、急かされるように感じるサービスは皆無。
シューベルトやドビュッシーなどのピアノソナタか軽いジャズテイストのbgmが主だが、日が暮れてブラインドを上げ、夜の色を店内に映しこむ時分にはもっとアップテンポのポップスがかかることもある。

冷たさがよく伝わる薄めの大きいグラスに注がれた生ビールは、金色の美しい液体がもっちりとした泡を支えていて口当たりがやわらかい。
軽いアンティパストとしてのブルスケッタや、生ハムが添えられて、その塩気で食べるポテトサラダはとても美味しい。小海老をスチームし山盛りにして供されるプレートは、熱々のうちにレモンとオリーブオイルで食べさせるシンプルなもので、この店の1番の人気メニューだ。冷たいミュスカデなどの白ワインか、プロセッコがよく合う。

バーアテンダントのスタッフがいる日であれば、暑い夏にはフローズンカクテルをオーダーできることもある。そうでなければ、トムコリンズやモヒートなどのさっぱりとしたカクテルを頼んでアペリティフにするのもいい。
たまにシェフが天然のにがりを使った木綿豆腐を買ってきて、ボッコンチーニの代わりにトマトと一緒に出したりする。質の良い豚肉が手に入るときはロース部位を分厚いポークソテーにし、味噌と柚子を合わせたソースを用いたりと、本日のおすすめに並ぶメニューも楽しい。
ランチタイムを通してよく出るのは、ガーリックを効かせたトマトソースのパスタ。シンプルだけれど、好みに応じて削られるパルミジャーノの香りが食欲を刺激する。人気を二分する明太子のパスタにはしらすが乗るのがこの店のスタイル。その上には細切りの大葉が乗っていて、色の対比が美しい。

カフェタイムにはコーヒービーンズが挽かれる音と香りが店内に満ちている。
この店のオーナーの好みにグラインドされたものをプレスしてエスプレッソを抽出する。
それがエスプレッソダブルとして食後に出されたり、ふわふわのスチームミルクを乗せたカプチーノになったり、ミルクを先に入れたグラスに後から静かに注がれてアイスカフェラテになったりする。

外側をカリッとするまで焼いたパニーニはさっくりと半分にカットされて皿に乗せられる。間にはハムとトロリとしたチーズか、ラタトゥイユとベーコンが挟まれた2種類。軽く済ませたいランチや小腹が空いたときに最適だ。
それ以外にベーカリーから仕入れたシナモンロールやマフィンがある。
デザートにはアイスクリームのフルーツ添えか、季節ごとのフルーツタルトが1種類。例えば夏であれば桃やメロン、梨のタルト。あとはチョコレートブラウニーかベイクドチーズケーキと気取りのないメニューが並ぶ。
どれにするかを友達で、家族で、恋人同士で迷いながら決めるひとときは幸せな時間だ。




家の近くにこんなあったらお店が通ってしまうのになあ。



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