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その痛みは本人にしかわからない


いぬの右足にニキビ様のものがポツンとできてるなあと思っていたら、少しずつ大きくなってヒトの小指の先っぽくらいになってしまったので、毎月の通院の時に相談して切除してもらったのが先週のこと。
病理検査に出していたが、その結果が予想に反して悪いものだった。
限局していて、他に浸潤は見られないというところが救いだが、皮膚がんの一種らしい。

切除したところは縫ってあり、いかにも痛そうで、ちょっと顔をしかめてしまったら、そんなに痛くないから大丈夫ですよと獣医の先生曰く。痛みに関してはヒトほど感覚が鋭くないという。
他の動物に食べられる連鎖の中にいる動物たちは、いざ食べられるという時に痛かったら大変だから、そんなに痛くない的な話をどこかで聞いたことがあるような無いような。そういうことかしらん。
今後の治療の相談をして、薬をもらって帰途につく。
でも、そんなに痛くないから大丈夫って。先生、いぬじゃないのに。とちょっと可笑しかった。

指先の小さなささくれでさえも、本人にしかその痛みはわからない。

すごく痛いか。
まったく気にならないか。
痛いは痛いけど、たいしたことないか。

いぬの痛みもわたしにはわからない。

誰の痛みも本当にはわからないのだ。
この鈍感さはなんだ。
そうやって平気で生きてきたのだなあとおもう。
せめて、アルコール消毒の匂いのする身体を抱きしめ、おしりを撫で撫で、痛かったよねえと言うと、いぬがクーと返事をした。






今日はだいぶ涼しいから、窓は閉めて寝よう。
みなさまも無理せず。



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