やさしさと繊細、そして白城
共感性が高く、何かにつけ感じ入ってしまう自分を「繊細」だと思っていた。その繊細さをなくして、傍若無人な誰かになってしまうくらいなら死んだ方がましで、不安定な繊細さ、それ自体を「感受性」と捉えていた頃があった。…というか、いまだって共感性が高いのは変わらずで、揺らいだらすぐ、そういう自分が現れる。
大前粟生『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』を読んで、そんなことを思った。
主人公の男性・七森は、京都の大学生。ぬいぐるみサークルに入っていて、そこには外の世界では言えないような