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そのドッジボールは体育嫌いを作る

ドッジボール、子ども達は大好きです。幼稚園・保育所では5歳クラスで取り入れている所も多いかと思います。
でも、運動苦手・下手・弱いを明確にしてしまう内容になっていませんか。
「それを乗り越えて」って、乗り越えられず体育嫌いになるパターンが多い思います。

そのドッジボールは、強者向け有利のルールになっています。

子ども向けサイズの方が難しい

幼稚園・保育所でのドッジボールを行う場合のコートのサイズを配慮してください。
コートを思っているより大きめにしてあげてください。目安として、誰が投げても内野と外野間でワンバウンドする長さです。外野から内野を大人で10歩前後の距離を目安にしています。なので、外野の線〜真ん中の線〜外野の線で20歩程になります。
よく見るドッジボールコート、狭すぎです。逃げる場所がありません。
当てにくくなる?それって強者の立場。弱者を切り捨ててます。

先生は強者の味方?

「捕ったらすぐ投げる‼︎」「早く投げなさい‼︎」ってアドバイス、不要です。マイナスでしかありません。「早く食べなさい‼︎」で、口の周りや服を汚し、こぼして食べるようなものです。

投げる子に向けた「苦手で弱い子、遅い子を狙う」ってニュアンスのアドバイス、その発言は当然「狙われている子」にも届いています。狙われている子は弱い子や不安な気持ちを持っている子ですよね。強い子にも先生にも狙われて不安な気持ちは更に大きくなりませんか?安心できる環境・状況を作ってあげるべきです。勝利至上主義ですか?不安な気持ちを持っている子を支える先生に戻ってください。

1回もボールを触らず終了は楽しいか? 自己責任?

いわゆる弱い子・苦手な子、常に逃げ回るままの子はボールを触っていますか?転がってきているボールでさえ避けている場面もあります。だって、(どんな)ボールにも当たりたくないんです。
ボールを触るチャンスがなくて楽しいでしょうか? 投げるチャンスを平等にするために、頑張ってボールを捕ったのに、投げていない子にボールを譲る事を強要するような指導が入ったり。そんなお情け、嬉しいですか? ボールを触るチャンスが少ない子は上手に遠くまで強いボールを投げる事が出来ないのも自覚していると思います。譲ってもらったから申し訳なさそうに投げる。しかも舐められて近寄ってこられてる。年齢が上がると共に遠慮してボールを譲ってもらうのを断ったりしはじめます。迷惑にならないように配慮して遠慮しまくるドッジボールが楽しいはずがありません。


ゆっくり考える余裕を持った時間の確保

投げるより捕る

投げる練習やルールの指導だけになっていませんか。ボールを捕るのは恐怖心との戦いです。投げるより捕る方が難しい。それならば捕る事をしっかり体験する必要があります。

バウンドで捕る恐怖心を少しでも排除する

ボールに対して恐怖心を持っている子(弱い子)はボールを見る事が出来ません。
キャッチボールで、ワンバウンドでなくノーバウンドで捕るのが良いって感じで指導していませんか? なぜノーバウンドで捕る事を良いように指導するのですか? それ野球に影響されすぎです。

優しいキャッチボールをする時に、ワンバウンドで捕る体験をさせています。
「ボールが地面に当たって跳ねるのを英語でバウンドって言います」「1は英語で?」
「ワン」
「だから1回地面に当たって跳ねるとワンバウンドって言います」「じゃあ、2回地面に当たって跳ねたら?」
「ツーバウンド」
ってやりとりも入れてます。

・ワンバウンドで捕る練習をします。投げる方はワンバウンドするように投げます。
・ツーバウンドで捕る練習をします。投げる方はツーバウンドするように投げます。
・スリーバウンドで捕る練習をします。3回バウンドするのを待ってから捕るので、ボールをしっかり見るようになります。
・フォーバウンドに挑戦します。もう、跳ねていないかもしれません。無理なのを承知で5回6回と増やして見ると捕るのが簡単だとハッキリ実感できるはずです。
バウンドしたボールは当たってもセーフ。捕り損ねても問題なし。安心してボールを捕ることに挑戦できます。

コートで活用するために

バウンドボールを捕るのをドッジボールの時に活用出来るように、最初に述べたようにコートを広くしてバウンドボールになる機会が増えるようにします。これなら捕りやすくなります。

以前、しっぽ取りの事を書きました。
イワシみたいにグルグル走り回る逃げ方から、しっぽを取られないように向かい合って間合いを取るようになっていれば、子ども達も相手を見る&背中を見せないを知っています。一緒です。鬼ごっこがドッジボールにつながります。鬼ごっこはスポーツの基本です。

誰が投げてもバウンドする広さにすると安全なエリアができます。そこはボールを投げる子から遠い場所、相手から離れる事さえできればアウトになりません。
しかもバウンドボールなら捕りやすい。不安を減らし活躍するチャンスが増えます。

丁寧に投げる。狙って投げる。

ドッジボールが苦手な子に配慮した内容ばかりですが、活躍している子が気持ち良くプレーできるようにします。

投げようとしている子から離れて、投げやすくしてあげて」って伝えています。すぐ横で飛び跳ねながら「当てろー」って声援してくれていますが、ちょっと邪魔(笑)
踏み込んで投げにくくなるし、1〜2歩下がって勢いつけるのも難しい。離れてあげる事を教えたら、「投げにくいから離れて」って言える子も出てきます。「出来る」を充分に発揮できる環境を作るのです。

ボールを捕ったらすぐ投げる。理解できます。遠くへ逃げる前に近くにいる間に当ててしまえって。でも、投げるのにもリズムがあります。動作にはきっかけの動作が必要です。もう、踏み込んだり狙ったりする間も待てない感じで「早く投げなさい」はやめましょう。指導者の理解不足と自己満足にしかなりません

コートを広くしてもドッジボールが上手な子は損だとは思っていないようです。レベルアップしたと思っているかもしれません。



当てられて外に出るのは知っているけど、どっちの外野か迷っている。

中当てを行って、すぐにドッジボールを行うとルールを理解しきれない子がいます。
それを極力なくすために、

・外野なしのドッジボール。ただの当て合い。
・ボールが遠くに行って大変だから、外野の線を引いて内野を体験。外野は先生。
・外野は先生で、相手チームをサンドイッチにする(挟み撃ち)
・当てられたらコートから離れた所のマーカーコーンを触って(滑り台を滑るなどでも可)内野に復活
・当てられたら先生の外野の役をする。

なんとなくですが、こんな感じの手順を踏んでいます。1つずつルールを増やしていきます。「相手をサンドイッチにする」とい表現が子ども達にスッと入ったと言ってもらえた事があります。

スモールステップ、ベビーステップって言われているものですね。もう、ドッジボールの原型がなくなる程に簡易化してみましょう。


ドッジボールでも体育講師にはできない方法で子ども達を盛り上げて上達させた5歳クラス担任の先生がいます。次年度1年生になってから2年生に勝ったそうです。毎日一緒に過ごす先生だからこそ出来る方法で、自分には無理だと思いました。
その内容は、また後日お伝えします。

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