幼少期の思い出_インフルエンザとディズニーランド

息子が熱を出した。彼の約3年の人生でたった2度目の発熱。しかもよりによってディズニーランドに行く前日に。

少し諦めきれないようながっかりしたような思いもあったけれど決して息子にはそれを悟られたくなかったのは、私にも同じ経験があったから。


たしかあれは小学5年生の冬。
私は家族でディズニーランドに行く前日にインフルエンザにかかってしまった。当然私自身も悔しかったけど、4歳下の妹も可哀想だった。だからその日、父と妹だけでもと新幹線に乗ってディズニーランドへ向かった。

翌日、母の看病でなんとか回復してきた私がリビングへ行くと、父と母が珍しく喧嘩をしている。よく聞くと、チケットの返金手続きが上手くいかなかったらしい。

「何やってるの!!」
「しょうがないでしょ!!なんでそんなに言われなきゃいけないんだ!!」

両親は普段、ほとんど喧嘩をしたことがなかった(少なくとも子どもの前では)。
だから両親の喧嘩を見て私は朦朧とした頭でどうにかしなければと、ぐるぐる考えた。でも何も出来なかった。そして私は自分のせいにし始めた。

というより、実際そう。私が原因を作ったんだ。
私がインフルエンザにかかったから、家族はがっかりし、母は看病に疲れ、父も(たぶん)初めての子連れ2人旅に四苦八苦した。その結果起きた喧嘩だった。

2人は何日も口をきかなかった。その間は小学生の私にとって、地獄でしかなかった。


大学生でうつになったとき、どうしてこんなにも自責思考なのかと考えていたら、この出来事を思い出した。
どんなに愛されて育ったのだとしても、私にとっては自分の存在が他人にとって害であると思うのには十分すぎる出来事だった。

だから私は絶対に息子には悟られてはいけない。息子に「ディズニーランドは?」と聞かれたら、できる限り明るく「あ、違う日に行くことにしたよ!」って言うんだ。

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