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人生初ツアー東京ワンマンライブを終えて


「ピピピ  ピピピ…」
ワンマンライブ開演9時間前の朝。
私とヘアメイクのみさおさんは困っていた。
美容院の店前で拾われた携帯が絶えず鳴っていたからだ。

その携帯のカバーにはクレジットカードも入っていて、名義人は海外の方のようだった。
何度も携帯が鳴るたびに、英語で知り合いから携帯どこにあるの?とメッセージが入る。

これは、多分相当困っているやつだな、
なんとかしてあげなきゃ、と思いながらも
場所の時間的に警察や駅にすぐに届けることができない。

携帯に出ようと試みるもロックがかかっているから出ることもできない。
どうしようか、、と悩みながらとりあえずヘアメイクを進めていた。

あーでもない、こーでもない、と作戦を考えるうちに、先ほどからFacebookでメッセージを何度も送ってる女性の通知を見て、この人にメッセージすることを思いついた。
探偵みたいな気分でドキドキしながら名前検索すると、その女性の名前とアイコンが見事に一致した。

これだ!と早速メッセージに電話番号と住所を送ると電話がかかってきて、
なんとお友達が飲んでて携帯を落として探してた、近くにいるので向かわせるとのことだった。

数分して、カランカランと店の扉が開く。

携帯を落とした方だと思ったみさおさんが
満面の笑みでハロー!と大声で挨拶した。

が、普通にお客さんだった。
恥ずかしい、恥ずかしいと笑って席に戻るみさおさんを見てさらに笑いが込み上げた。

また数分経つと携帯を探してた本人が入ってきた。
携帯を探してた方はホッとした様子で、
「アリガトウゴザイマス!」とお辞儀をして、
無事携帯騒動は収束した。

よかったね、渡せたね、
多分朝から人助けできたから今日はいいことあるかもね?なんて話しながらふと我に返る。
あ、今日ワンマンか。
思い出すと急にお腹がふわっとした。

開演4時間前、
会場前に着くとYOLOと書かれたフライヤーのポスターが並べられていた。
スタッフの方達が会場の設営や、音響照明をすでに準備し始めてくれていて、
いよいよだな、と実感が湧く。

そういえば朝から何も食べてなかった。
スタッフさんが用意してくれたお弁当もどうしても喉に通らず、水だけをガブガブ飲んだ。

DJのMARMELOちゃんが到着して
あーーーん!今日はよろしくねえといつもの私たちのテンションでギャル握手を交わす。

リハーサルを進めていくうちに、
ゲストやダンサーのみんなも到着して、
その日の流れや段取りを確認して最終調整し、
あれよあれよという間に本番1時間半前となった。

楽屋に戻り、残りのヘアメイク済まして
ボイトレのみほ先生からパワーを注入してもらい最後の最後までぬかりない準備をした。

残り30分。
自分で用意した衣装に着替え深呼吸をする。
周りのみんなが大丈夫だよ、と温かい声をかけてくれて背中に手を当ててくれるたびに、
ホッとしたり、不安になったりを繰り返す。
「今日は絶対に全てを出し切りたい、心に残すライブにしたい」
その一心でここ数ヶ月やってきた。
できるか、ではなく、やらなきゃいけない。

残り10分
会場の外を歩くと冷たい風がぴゅんと吹いていた。普段より手足が冷たくなり、私の震えもピークを迎えた。
これは寒くて震えてるのか、緊張から震えてるのかよく分からないくらい震えてた。
愛犬のハチが散歩中に大きな犬に出会したときよく震えているが、こんな気持ちなのかと思った。

残り1分
ステージの後方で出番を待つ、
もうここら辺は記憶がないけれど、みんながいけいけっと背中を押してくれたのを覚えてる。

そして本番のオープニングSE音が鳴る、
音はTOMさんがこの日のために作ってくれた。
キムカーダシアンが数年前にプロデュースしたドルチェ&ガッバーナのファッションショーから着想を得て、ランウェイのような雰囲気にしたいと照明もこだわった。

アップビートに変わり、ステージに向かって歩いていく。
お客さんの拍手とワーッという声でいっきに心のボルテージがあがる。

“Hey,get out my way, this is my runway”
(ねえ邪魔しないで?これは私のランウェイなんだから)
無機質な声とドーンとした音が鳴り響く
何度も何度も頭でシュミレーションしたこの時が来た。
そしてマイクを握る。
その瞬間全ての不安や緊張は飛んでいった。

本番はあっという間に終わった。
1時間半の予定が2時間くらいやってたらしい。
でもそう感じないくらいに、体感はあっという間だった。

アクシンデントも沢山あったけど
温かいお客さんばかりだった。
ゲストで出演してくれたみんなのパフォーマンスに私も感激して、さらにボルテージがあがって、まさに”生きたライブ”になった。
ステージから見るお客さんや友達の涙に何度も何度も泣きそうになった。
ステージから去るとき、お客さんの笑顔や、
かっこよかったよ!という声に安堵した。
感謝の気持ちしかなくて何度も何度も心でありがとうと思った。

2回目の東京ワンマンはこうして無事終えることができた。
曲を歌う時、頭の中でそのときの情景が浮かぶ。もう音楽向いてないかもと弱っていた夜が報われるような日だった。

音楽で食べたいと夢を見た19歳
携帯のメモ帳に書いた人生の計画表には26歳でメジャーデビューと書いてあった。
28歳になり当時思い描いてた場所ではないけれど、でも私にとっては最高のステージだった。
諦めることは簡単にできる、
でも諦めなかったからこそ見れた景色だった。

音楽に尽くしてきた人生、
何度も何度も悔しいと思った。
でもそんなのがどうでもよくなるくらい、
あの日のライブで確信した。

私は音楽が好きだ。
伝わる人に伝わってる、今はそれでいい、
どこかで自分の音楽を必要としてくれるなら私はそんな人がいるだけで幸せだって心の底から思えた。

と同時に、もう一度ここから頑張っていくんだと心で誓う。
私は19歳の自分と約束したでかい夢をこれからも追い続ける。
出会ってくれた全ての人に感謝をしながら。

次は11月26日初めての大阪ワンマン、
まさか自分が大阪でワンマンをすると思わなかった。大きな挑戦だけど、必ずいい日にしたいと思う。

You Only Live Once = 人生は一度きり
今私がやりたいことを力のある限り出し尽くしたい。

次は11月26日(日)、
ツアーファイナル大阪
どうか今のASOBOiSMに会いに来てください。
大人も子供も関係ない、全力で遊びましょう。

チケット発売中🎫
https://eplus.jp/asoboism/

▼大阪公演
開催日:2023月11月26日(日)
時間:OPEN17:00 START18:00
会場:CIRCUS Osaka(住所:大阪府大阪市中央区西心斎橋1丁目8−16 中西ビル)
料金:前売¥4,000 当日¥4,500(ドリンク代別/オールスタンディング) 
Guest Artists:CLR/あっこゴリラ

Photo by Koya Yaeshiro


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