![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/45822358/rectangle_large_type_2_ce3042c8e5bef5b76315e53ede45bd00.png?width=800)
【絵本レビュー】 『ぼくのくれよん』
作者/絵:長新太
出版社:講談社
発行日:1993年4月
『ぼくのくれよん』のあらすじ:
こんなくれよんで、絵を描いてみたいな。
ぞうのくれよんは、とても大きなくれよん。青で描いたら、カエルが池とまちがえてとびこんじゃった。でも、まだまだ描きたいんだ。今度は何色を使おうかな……!?
『ぼくのくれよん』を読んだ感想:
絵が描きたくて仕方がなくなるようなクレヨン、私も欲しかったですね。私は絵が描けなくて悩む子供でした。
一年生の時私の隣に座ったのは、クラス一絵の上手い男の子、I君。サッカーをしていない日は毎日休み時間に絵を描いていました。特に人を上手に描くので、私はそれを憧れの目で見ていました。
そんなある日、授業で絵を描くことになりました。私はクレヨンを出したものの何を描いたらいいかわからず、ただ白い紙を見つめていました。ふと横を見ると、I君はすでに紙の半分が埋まるほど描いていました。私はしばらくそれを見ていたのですが、突然閃いたのです。
「コピーすればいいんだ」
私は早速I君の絵を写し始めました。人の顔を描き身体を描き、それから顔をオレンジ色で塗りました。背景のいくつかもコピーしました。私は紙が埋まったことに満足して、それを先生に提出しました。ところがその絵は授業参観のために、教室の壁に貼られることになったのです。それは計算外だったので、私はちょっと焦りました。「I君の絵を写したのがバレる。。。」
壁にクラス全員の子供達の絵が貼り終わった後、I君が近寄ってきて言いました。
「ぼくみたいな絵を描くんだね。自分のと見間違えちゃった。上手だね。」
そう言って彼はサッカーをするために外へ行ってしまいました。私はその場に一人残り、I君の言葉を頭の中で何度も繰り返しました。
もし彼が「コピーするなよ」とか「真似っこ」と言っていたら、状況は全く違っていたと思います。もし彼がみんなの前で言っていたら、もっと違っていたと思います。6歳のI君が意識的にしたのかどうかはさっぱりわかりませんが、私は今も彼のとった行動に感謝しています。そしてその後絵を描くのはやっぱり苦痛だったけど、友達の絵をコピーすることはなくなりました。
『ぼくのくれよん』の作者紹介:
長新太
1927年東京生まれ。蒲田工業高校卒業。「おしゃべりなたまごやき」(福音館書店刊)で文芸春秋漫画賞、国際アンデルセン賞国内賞、「はるですよふくろうおばさん」(講談社刊)で講談社出版文化賞受賞。「たぬきのじどうしゃ」(偕成社刊)「みみずのオッサン」(童心社刊)などの作品がある。
長新太さんの他の作品
サポートしていただけるととても嬉しいです。いただいたサポートは、絵本を始めとする、海外に住む子供たちの日本語習得のための活動に利用させていただきます。