見出し画像

【絵本レビュー】 『こぐまちゃんとどうぶつえん』

作者:森比左志/わだよしおみ
絵:わかやまけん
出版社:こぐま社
発行日:1970年10月

『こぐまちゃんとどうぶつえん』のあらすじ:


かばがしっぽをぴっぴっ、らくだが口をもぐもぐ…何をしているのかな?動物の特長をこぐまちゃんの驚きの言葉とともに描きます。


『こぐまちゃんとどうぶつえん』を読んだ感想:

子供ができてから頻繁に行くようになった場所の一つが動物園です。今では年間パスも購入し、まるで動物園マニアのようですが、行き帰りに電車にも地下鉄にも乗れること、いろんな動物が見れること、気づかないうちにいっぱい歩くことで夜はぐったり、といいことづくしなんです。

私が子供の頃こんなにたくさん動物園に行ったかどうかは、はっきり行って覚えていません。ただ一ヶ所記憶に残っているのは、サファリパークです。いつもは仕事で忙しい母も行かれたことで、私の興奮度は倍増していました。いつものように車で行ったのですが、普段と違っていたのは、受付を入っても車を降りないことでした。そして父がかなり真剣な声で「窓は絶対開けるなよ」と言ったことです。まあ、その理由はすぐ明らかになり、窓を開けるなんてもってのほか、と心に誓ったのですが。

「わくわく動物ランド」や「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」が大好きでよく見ていた私にとって、車も気にせず動物たちがゆったりと我が物顔に歩き回っている光景は感慨深いものでした。雌ライオンがボンネットに乗ってきた時に見た目は、眼(まなこ)というにふさわしい力強さを感じるとともに、感情の読めない不気味さもありました。

車で園内を回っている間は緊張と感動でちょっと萎縮していた感じもあるのですが、アルバムに残っている退園後の写真を見るとジャングルブックのモーグリみたいな感じになっているので、私なりにかなりインスパイアーされていたものと思われます。

そのあと「大人になったら絶対ムツゴロウ王国で働く!」と心を決めていたのですが、しばらく後の番組で金網から出ていた指を食いちぎられたムツゴロウさんを見て、さっさと心変わりしました。ムツゴロウ王国は規模はだいぶ縮小したものの現在も続いているそうなので、一度是非行って子供の時の夢を叶えたいなと思います。

『こぐまちゃんとどうぶつえん』の作者紹介:

森比左志
1917年、神奈川県出身。教師生活のなかで児童文学にかかわり、絵本作家となる。 「こぐまちゃんえほんシリーズ」(こぐま社刊)などの絵本作品、「はらぺこあおむし」「パパ、お月さまとって!」(以上偕成社刊)などの翻訳作品がある。2018年逝去。

わだよしおみ(和田義臣)
1913年福井生まれ。早稲田大学中退。編集記者、劇作家等を経て、こぐま社の設立に参加、以来絵本出版に専念する。 JULA出版局設立時は出版局長として新しい子どもの本づくりをめざす。 主著に「こぐまちゃんえほん」(こぐま社)、「プータン・シリーズ」(JULA出版局)など。2006年没。


森比左志さん/わだよしおみさんの他の作品


サポートしていただけるととても嬉しいです。いただいたサポートは、絵本を始めとする、海外に住む子供たちの日本語習得のための活動に利用させていただきます。