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【絵本レビュー】 『おばけのてんぷら』

作者/絵:せなけいこ
出版社:ポプラ社
発行日:1976年11月

『おばけのてんぷら』のあらすじ:


うさこがごきげんでてんぷらをあげていると、においにさそわれた山のおばけが、そーっとしのびこんできました。さあ、たいへん!

『おばけのてんぷら』を読んだ感想:

「てんぷら食べたい」この一言に尽きます。

おばけが鍵穴を通って家に入ってくることに大興奮している息子を脇に見ながら、私の頭の中にはてんぷらを揚げる音が響き、鼻先には熱い油の匂いが漂ってきます。ああ、最後にてんぷら食べたのはいつだったか。。。息子がコメントするたびに天ぷらの匂いが消えてしまいそうで、なんとかして集中しようとしますが、まあ無理な話ですね。束の間の空想天ぷらを楽しんで満足としましょう。

天ぷらといえば、成人式に食べた時のことが思い出されます。私は地元というものがないので、当時付き合っていた彼とふたりでお宮参りをして、ちょっと格のありそうな天ぷら屋さんに入りました。その日の私は大振袖。着物の中には何枚ものタオルを詰められがんじがらめになっている私。座るのすら大仕事だったのですが、お店の人たちは私が入ってくるのを見るなり大忙し。さらなるタオルが運び込まれ、私は内側も外側もタオルのミイラとなりました。振袖も後ろでうまい具合に留められて、着物が食べ物につかないように配慮してくれました。胃も締め付けられていてたくさんは食べられなかったけど、あんなにたくさんの人の注目を浴びて食事をしたのは初めてでした。でも美味しかったなあ。


『おばけのてんぷら』の作者紹介:

せなけいこ
1932年、東京生まれ。武井武雄氏に師事。1970年、「いやだいやだの絵本」でサンケイ児童文学賞受賞。児童出版美術家連盟会員。「あーん あんの絵本<全4冊>」(福音館書店)、「おおきくなりたい<全4冊>」(偕成社)、「ばけものつかい」(童心社)、「おばけのてんぷら」(ポプラ社)などの作品がある。ほかに紙芝居、装丁、さしえなど幅広い分野で活躍中。

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