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【絵本レビュー】 『こねこのぴっち』

作者/絵:ハンス・フィッシャー
訳:石井桃子
出版社:岩波書店
発行日:1954年12月

『こねこのぴっち』のあらすじ:


リゼットおばあさんの家に住んでいる子ねこのぴっちは、ほかのきょうだいたちとはちがうことをして遊びたいと思いました。ところが、アヒルのまねをして池で泳ごうとして、おぼれてしまいます。

『こねこのぴっち』を読んだ感想:

これも私が子供の時から家にあった本です。私が読んでいた時にすでに少し古かったような気がするので、もしかしたら近所の人にもらったものかもしれません。他の絵本とは違うイラストが好きで、ひとりでもなんども読みました。

今読み返すと思っていたのと印象が違い、また違った目で楽しむことができました。当時の私は何を理解していたのでしょうか。私は子供の時自分の名前が嫌いでいつも別の名前だったらと夢見ていたので、他の動物になりたがっているぴっちに何か通じるものを感じたのかもしれません。

ぴっちはウサギ小屋で恐ろしい一夜を過ごしたことで、おばあさんの家で家族と過ごすのが一番という結論に達しましたが、私は特に衝撃的な出来事もなく名前を変えることをやめました。むしろたった一言「可愛い名前」と言われたことでした。その一言でフランスに住む事ばかり考えるのもやめたし、何よりも自分の名前が好きで自信を持てるようになりました。きっかけって、思いもかけないところからやってきますよね。

『こねこのぴっち』の作者紹介:

ハンス・フィッシャー(Hans Fischer)
1909-1958。スイスの国民的な画家。ベルンのギムナジウムを卒業後、ジュネーブの美術学校で装飾画を、チューリッヒの芸術学校で版画を学んだ。主な作品に『こねこのぴっち』(岩波書店)、『ブレーメンのおんがくたい』『たんじょうび』『長ぐつをはいたねこ』(以上、福音館書店)などがある。1947年から1957年にかけて、壁画の制作にも精力的に取り組み、チューリッヒやベルンの小学校、官庁、空港などに、多くの作品を残した。自身の3人の子どものために絵本を創作した。

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