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【絵本レビュー】 『ゆきやまたんけん』

作者/絵:松岡たつひで
出版社:福音館書店
発行日:20011年1月

『ゆきやまたんけん』のあらすじ:


あまがえるの作ったペットボトルの雪上車に乗り込み、一行は雪のつもった里山へ探検に出かけます。ところが途中で雪上車が動かなくなり……

『ゆきやまたんけん』を読んだ感想:

初めて雪山に行ったのは小学校1年生で行ったスキー学校でした。どこもかしこも真っ白で、道路脇に寄せられた雪の壁は私の背よりも高く、歩くたびに軋む足元の雪の感触は初めて体験するものでした。

初日も終了し、なんとか止まれるようになったのでリフトに乗る練習をして、ゲレンデの上まで連れて行かれました。私は高いところが怖かったし、リフトには体をサポートするものもなく、鉄柱に来るたびにカタカタ揺れるので怖くて仕方がありませんでした。でも下のゲレンデはとても遠く見えて、とてもジャンプできるような高さではなかったので、私はただただしっかりと両手でリフトのパイプを握りしめて前ばかり向いていました。

初リフトはなんとか終了。降り場でも転ばずにホッとしていると、コーチが聞くんです。
「下にウサギの足跡があったの見た?」
何人かの子供達は見た見たと嬉しそうに答えました。私はパニックになりそうなのをこらえてしがみついていただけなので、下を見て楽しむ余裕などありませんでしたが、足跡なるものを見てみたいと思いました。第2回目のリフトに乗ると、今度は足跡に集中。しかし私はウサギの足跡が一体どんなものなのか知りません。はてさて何を探せばいいのだろうと思っている間に、リフトがゲレンデを離れ木の生えている場所の上を通り始めました。すると、見えたんです。まるで「Y」の字みたいな足跡が。他にも見えました。真っ直ぐに一列に伸びる小さな丸い足跡。それをずっと目で追っていくと、リフトの高さも、ガタガタ揺れるのも気になりませんでした。

ウサギの足跡をみて大興奮の私は、次にコーチが聞いて来たら返事しようと息巻いて上に到着しました。言うぞ、言うぞと思っていたら、
「カモシカがいたのに気づいた人!」
え〜、カモシカ!!
私のスキー人生はまだまだ始まったばかりだったのでした。


『ゆきやまたんけん』の作者紹介:

松岡たつひで
1944年新潟県長岡市に生まれる。自然科学、生物のイラストレーター。創作絵本のほか、国内はもとより、中南米、アフリカ、東南アジアなど世界各地での取材にもとづく、多くの科学絵本を発表している。 『すばらしい世界の自然』(大日本図書)で厚生省児童福祉文化賞、『熱帯探検図鑑』(偕成社)で絵本にっぽん賞、『ジャングル』(岩崎書店)で厚生省児童福祉文化賞と日本科学読物賞を受賞、『震度7』(ポプラ社)で産経児童出版文化賞、『里山百年図鑑』(小学館)で小学館児童出版文化賞を受賞。 主な絵本に、『ぴょーん』(ポプラ社)、『だんごむしそらをとぶ』(小学館)、『ちきゅうがウンチだらけにならないわけ』(福音館書店)などがある。 


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