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【絵本レビュー】 『カラーモンスター きもちはなにいろ?』

作者/絵:アナ・レナス
訳:おおともたけし
出版社:永岡書店
発行日:2020年2月

『カラーモンスター きもちはなにいろ?』のあらすじ:


カラーモンスターは、自分でも何が何だかよくわかりません。
いろんな気持ちがごちゃごちゃ…。
モンスターは、うれしい、かなしい、いかり、ふあん、おだやか、の
5つの気持ちを整理することができるでしょうか。


『カラーモンスター きもちはなにいろ?』を読んだ感想:


私は自分の気持ちを表現することが苦手です。怒っている時は簡単に表現できるけれど、そのほかは難しいのです。言葉にするやいなや、本当の気持ちとのズレが生じているような気がして、言ってはみたもののなんだか違うのです。

普段私はスペイン語を話す友達と会う機会が多いのですが、彼らは実際に会っても、チャットでもいきなり「あああ、もう悲しくて〜」などと会話を始めてきます。私にはなかなかできないので、ちょっと羨ましくもあります。

旦那(ラテン男)にも聞かれるんです。
「で、どう感じたのよ。状況説明をされても僕にはなんの話かわからない。」

それで考えるのですが、他の人に起きた出来事に関して私の気持ちがなんらかの方向に動くことはないように思えるのです。でもどうやらラテン文化では気持ちをベースとして会話をするのが一般的らしく、「こんなことが起きてね」などという話をするとすぐに興味を失ってしまうのです。

コーチングの資格を取ろうと考えたのも、自分の感情と向き合えるスペースを作ってあげられたらな、と思ったことがきっかけです。そういえば私は「何があったの?」と聞かれることはあっても、「その時どう感じたの?」と聞かれたことは、子供の時にもなかったように思います。常に状況の説明を求められ、気持ちはおざなりになっていたのかもしれません。

父と家で問題があり、悲しかったり腹が立ったりしていた時も、それを聞いてくれる人も理解してくれる人もいなかったし、唯一話した友達も何かまずいことを聞いてしまったかのような顔をしたので、それ以降は家でのことは話さず、外では何事もないかのように振る舞うようになりました。それがいつしか癖になって、自分の感情に気を配らなくなってしまったのかもしれません。

聞いてくれる人がいることは大きな助けになるけれど、まずは自分自身が自分の気持ちを聞いてあげることが大切ですよね。聞かないことが習慣になっていると、気持ちもなかなか見えてきません。自分自身にスペースを作ったら、気持ちが出やすいようになるかもしれませんね。

息子にはもっと自分の気持ちに寄り添えるような人になってほしいです。でもそれにはまず、私ができるようにならないといけませんね。私のカラーモンスターは、まだまだ困惑しているようです。


『カラーモンスター きもちはなにいろ?』の作者紹介:


アナ・レナス( Anna Llenas)
1977年、スペイン・バルセロナ生まれ。UAB大学(Autonomous University of Barcelona)で、広告とPRを学んだ後、グラフィックデザインを専攻。広告代理店勤務からイラストレーターに転身。アートと感情に関する教育の場で教師、アート・セラピストとしても活動している


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