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【絵本レビュー】 『まんまるがかり』

作者/絵:おくはらゆめ
出版社:理論社
発行日:2010年3月

『まんまるがかり』のあらすじ:

ネコのハナマルが丸くなっていると、じいちゃんが「まんまるがかりじゃよ〜」と。すると庭のダンゴムシも…。


『まんまるがかり』を読んだ感想:

猫ってどうしてあんなにまん丸くなれるんでしょうね。丸くなって寝ていると横っ腹の毛が少し立ち上がって、そのプワプワしたお腹が息をするたびに膨らんだりしぼんだり。。。そんなものを見ているとあっという間に時間が経ってしまうのです。

まんまるって響きのいい言葉ですよね。形も和むけれど、言葉自体も身体の力がふっと抜けるような気がします。

そういえば、子供が生まれてから私はあまりまんまるくないなあ。いつも走っています。今朝だって「早く早く」を何十回連発したことでしょう。幼稚園への道で黙りこくる息子に聞きました。
「怒ってるの?」
返事なし。
「ねえ、怒ってる?」
「うん」
「どうして?」
「ママがはやくはやくっていうから。ぼくみせたいものがあったのに。」

そうか。反省。
確かにいつも時間に追われています。追われなくてもいいように朝少し早めに起きるようにはしているけれど、夜終わらなかったことをしているとあっという間に時間が経って、もう朝ごはんとお弁当を作る時間。でも息子は朝はのんびりしたいタイプらしく、いきなり本を開いたり、着替えないで足の指を観察していたり、と私はますます焦るのです。

息子が幼稚園に行っている間だけ働けるので、私はお昼ご飯もお迎えぎりぎりまでずらして、それまでに予定をみっちり積めています。本当は眠いから三十分くらい布団でまあるくなりたいなあと思っても、そんな時間はありません。まんまるになっているのが私の特技だったのに、いつのまにか「まんまるがかり」のタイトルも剥奪されていたようです。

最近読んでいる本の中で、「何かひとつしないで一日を過ごす」と書いてありました。私は確かに詰め込みすぎなので、積めるのではなく、減らすことを考えなくてはいけないなと思いました。そうしたら布団の上でまんまるくなる時間もできるでしょうし、そうしたら「早く早く」って言うことも減るかもしれないですね。きっと私が毎日していることの中には、絶対しなくてはいけないこととそうではないことがあるはずです。でも私が自分で自分にプレッシャーをかけているんですね。

今日絶対しなくちゃいけないことは終わりました。あとは目をつぶって、息子と数時間集中して遊ぶことにします。


『まんまるがかり』の作者紹介:

おくはらゆめ
1977年、兵庫県生まれ。辻学園日本調理師専門学校卒業。2005年、MOE絵本・イラスト大賞 年間グランプリ佳作、2006年、第12回おひさま大賞最優秀賞、2007年、第8回ピンポイント絵本コンペ入選。『ワニばあちゃん』(理論社)でデビュー、同作で、第1回MOE絵本屋さん大賞新人賞入賞。『くさをはむ』(講談社)が第41回講談社出版文化賞絵本賞受賞。その他主な作品に、『チュンタのあしあと』(あかね書房)、『まんまるがかり』(理論社)『やきいもするぞ』(ゴブリン書房)など多数。


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