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【絵本レビュー】 『どうぶつサーカスはじまるよ』

作者/絵:西村敏雄
出版社:福音館書店
発行日:2009年11月

『どうぶつサーカスはじまるよ』のあらすじ:


パンパカパーン、パンパンパン、パンパカパーン。アザラシさんの司会で、動物サーカスがはじまりました。ライオンの火の輪くぐりにカンガルーの棒まわし、ワニたちの組体操……次々に楽しい芸が飛び出します。ところが最後の空中ブランコに、サルくんが怪我で出場できなくなり、お客さんはブーイング。困ったアザラシさん、さて、どうする……?

『どうぶつサーカスはじまるよ』を読んだ感想:

サーカスと聞いていつも思い出すのは、高校に入ったくらいの時初めて見たシルク・ドゥ・ソレイユのショーです。ある時父と出かける用事があり道を歩いていると、ある広告がありました。なんとも躍動的でミステリアスな感じの広告で、私は新しい映画かと思って立ち止まり少し見ていました。父に「これ面白そうだね」と言うと、「ふむ」と言う応えだけ。私もそれきり忘れてしまいました。

それから数ヶ月経った時、父がやってきて言うんです。
「ほらこれ、ママと行って来い」
渡されたのは2枚のチケット。「シルク・ドゥ・ソレイユ」と書いてあります。
「これ何?」と聞くと「お前が見たいって言ってたやつ」と言われましたが、私には全く覚えがありません。今のように簡単にネット検索をする時代でもなかったので、私はただ当日を待つしかありませんでした。

ショーの当日、母と私は初の東京ドーム入り。野球を見るわけでもないのにドームへ行くのは変な気もしましたが、いざ中へ入ると内装は完全に変わっていました。私たちの席はステージの真ん前。びっくりしたのは母の方でした。私はものすごいアクロバットを本当に目の前で楽しんだのです。これが私のシルク・ドゥ・ソレイユ初体験と言うか、サーカス初体験でした。そのあと社会人になってもう一度見に行きましたが、もちろんステージ前席なんて買えるわけもなく、私たちの席は大きなアリーナの真ん中あたり。ステージがよく見えない時はスクリーンを見なくてはなりませんでした。なので迫力も半減で、あの時ドームで見た感動は得られませんでした。今でもサーカスと聞くとあの時のショーが目の前に浮かんできます。そして帰ってきてから父に「すごくおもしろかったよ」と言った時の興味なさげな顔。照れ隠しだったんでしょうか。

『どうぶつサーカスはじまるよ』の作者紹介:

西村敏雄
1964年、愛知県生まれ。東京造形大学デザイン科卒。インテリアとテキスタイルのデザイナーとして活動後、絵本の創作を始める。第1回日本童画大賞優秀賞受賞。絵本に『バルバルさん』『もりのおふろ』『どうぶつサーカスはじまるよ』(福音館書店)、『どろぼうだっそうだいさくせん!』『もじもじさんのことば劇場 オノマトペの巻』(偕成社)、『そこにいますか―日常の短歌』(岩崎書店)、『うんこ!』(文溪堂)、『どうぶつぴったんことば』(くもん出版)他多数。

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