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【絵本レビュー】 『こぐまちゃんいたいいたい』

作者:森比左志/わだよしおみ
絵:わかやまけん
出版社:こぐま社
発行日:1984年1月

『こぐまちゃんいたいいたい』のあらすじ:


積み木が足に落ちたり、階段から滑り落ちたり、お団子の串がささったり…。こぐまちゃんはさまざまな痛い思いをしながら、「今度はどうすればいいのかな?」と考えます。失敗を通して身を守る工夫が生まれます。

『こぐまちゃんいたいいたい』を読んだ感想:

これも初めて息子と帰国した時に買って持って帰ってきた絵本です。シンプルな絵と鮮やかな色がまだ6ヶ月だった息子の気を引いたと思います。もう少し大きくなると「いたい」という感覚が芽生えてきたので、泣いているこぐまちゃんを見て「アウアウ」などと言って教えてくれました。

「痛い思いをしなくちゃわからない」は父の口癖でした。私がもっと大きくなってからは「若い時の苦労は買ってでもしろ」とも言われました。まあ苦労も痛いのうちに入ると考えると、どちらも同じような意味に捉えられますね。

息子を見ていると、父の言っていたことはまんざら外れてはいないと思います。スーパーに売っているちょっとしたおもちゃも買い物ついでに買ってあげることは簡単だけど、いつでも買ってもらえるとなると大切にしません。なので、空き瓶をお店に持って行かせてそこでもらった小銭を貯めさせることにしました。今まで毎回買えていたおもちゃも今では時々しか買えませんが、「自分で買った」という気持ちが強くなったので前よりちょっと大切にするようになった気がします。

レゴも以前は組み立ててあげましたが、今はよっぽど複雑でない限り手伝いません。私たちが組み立てると、やっとできたと思った瞬間に破壊されてしまっていたので、私の方が面倒になってしまっただけなのですが、いざ一人で組み立てると、時間もかかりますが集中力も上がった気もするし、組み立て終わった後も大切に遊んでいるように思います。win-winですね。

私が父に言われていた時は、突き放されたような気もするし、ただ意地悪なだけだと恨めしく思っていましたが、いざ自分が親になると「痛い思い」をさせることもある意味重要なんだなと思うようになりました。され息子くん、今日はどんな痛みを乗り越えるのでしょうか。

『こぐまちゃんいたいいたい』の作者紹介:

森比左志
1917年、神奈川県生まれ。教師生活のなかで児童文学にかかわり、絵本作家となる。 「こぐまちゃんえほんシリーズ」(こぐま社刊)などの絵本作品、「はらぺこあおむし」「パパ、お月さまとって!」(以上偕成社刊)などの翻訳作品がある。2018年逝去。

わだよしおみ(和田義臣)
1913年福井生まれ。早稲田大学中退。編集記者、劇作家等を経て、こぐま社の設立に参加、以来絵本出版に専念する。 JULA出版局設立時は出版局長として新しい子どもの本づくりをめざす。 主著に「こぐまちゃんえほん」(こぐま社)、「プータン・シリーズ」(JULA出版局)など。2006年逝去。


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