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『同志少女よ、敵を撃て』読了 戦争は終わらない ※ネタバレ注意

2022年本屋大賞

2022年本屋大賞のこちら。
あんなに面白い朝井リョウ 著 『正欲』や 浅倉秋成 著 『六人の嘘つきな大学生』を抑えて対象を取った本作。
正直、最初は懐疑的だった。
「ロシアのウクライナ侵攻が影響して受章したんでしょ?」と。

間違いでした。ごめんなさい。

緊迫した戦争描写

狙撃兵が如何に死の淵で戦っているかを目の当たりにされる、臨場感のある場面描写。
一方、緊迫した状況下で徐々に温かみを増す狙撃兵の少女セラフィマとその上司イリーナの関係性。

目が離せない描写と、人間模様のギャップが最高でした。

PTSDへの言及

また、戦後のPTSDに言及しているのもよかった。

セラフィマの生涯を通して、戦争の恐ろしさを多面的に描いていると感じた。

家族を失うこと、故郷を失うこと、その後得た仲間を失うこと、そして戦後、トラウマで苦しむこと。

彼女がイリーナという存在を得るという事実を描いているのは読者としては救いだが、戦争で失うものは多すぎるのだ。

それを叩きつけられる作品でもあった。


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