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『VIVANT』1話 心理師がレビュー

私は自称アニオタだから,進んでドラマを見ることは少ない。

バズった後になってやっと,腰を上げて見る程度だ。


しかし,今回の日曜劇場は福澤克雄さんの引退作では?という噂。

しかも,主演は堺雅人。共演に阿部寛,二階堂ふみ,役所広司,松坂桃李(敬称略)という,主役級の顔ぶれ。

面白い匂いしかしない。1話だけ見てみようかな。



おしっこちびるぐらい面白いんだが?!?!?!


主人公・乃木憂助のもう一つの人格

私が一番注目したのは,堺雅人さん演じる乃木憂助は,二重人格設定ということだ。

乃木が一人思考するシーンでは,決まって,隣にもう一人の「乃木」が出現し,オリジナルの「乃木」と会話する。

(乃木は,本作ではお人好しなポンコツ社員設定のようで,堺雅人さんの代表作・半沢直樹と差別化しているようだ。しかし,このもう一つの人格は,強気で豪胆な性格で,半沢直樹本人の性格と似ている。)

なぜ,乃木は二重人格なのか?

乃木が寝ている場面では,いつもうなされながら,夢を見ていた。

その夢の内容は,幼い頃の乃木と,両親と思われる男女が,荒野の真ん中で,ヘリコプターに助けを求めるが,無視されて助けられない,という悪夢だ。

これはおそらく乃木の過去に起こった体験で,この出来事がトラウマとなっているのではないだろうか。

ここで,二重人格(精神医学的に言うと解離性同一症)の原因を確認してみる。

・小児期に極度のストレスを受けると、自己の経験をまとまりのある1つの自己同一性(人格)に統合できなくなることがあります。

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/10-%E5%BF%83%E3%81%AE%E5%81%A5%E5%BA%B7%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E8%A7%A3%E9%9B%A2%E7%97%87/%E8%A7%A3%E9%9B%A2%E6%80%A7%E5%90%8C%E4%B8%80%E7%97%87

乃木には,この原因が当てはまると考えられる。

その上で,乃木の二重人格症状で一番見られたのが,メインの人格ともう一つの人格が会話をするシーンだ。

そういえば,人格同士は会話できたっけ?ということについても調べてみた。

人格が互いにやり取りをするために、声が聞こえると報告する患者もいます。その声は複数の人格間の内的な会話であることもあれば、当人に直接話しかけ、その行動について意見を言う場合もあります。

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/10-%E5%BF%83%E3%81%AE%E5%81%A5%E5%BA%B7%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E8%A7%A3%E9%9B%A2%E7%97%87/%E8%A7%A3%E9%9B%A2%E6%80%A7%E5%90%8C%E4%B8%80%E7%97%87

野崎が乃木を盗聴していたエピソードを語る中で,乃木が別人格と会話していた場面を,「独り言」を話していた,と述べる。

つまり,人格間の会話の際,乃木の人格入れ変わっておらず,乃木にもう一つの人格が「意見を言う」ように語りかけている,と考えられる。

この引用に当てはめると,間違いなく乃木は後者のパターンだと推測される。

結局,VIVANTって誰だ

乃木がアマン建設会社に凸した時,ザイールは乃木が「VIVANT」だと確信し,自爆した。

この「VIVANT」が本作の黒幕であると考えられる。

その上で,1話での予想だが,やはり,乃木じゃないんかな。

こう思う理由は,やはり二重人格設定が関わる。

患者には複数の人格があり、日々の出来事や重要な個人情報、外傷的出来事やストレスになる出来事などについて記憶の空白がみられるほか、抑うつや不安など他の症状も多くみられます。

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/10-%E5%BF%83%E3%81%AE%E5%81%A5%E5%BA%B7%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E8%A7%A3%E9%9B%A2%E7%97%87/%E8%A7%A3%E9%9B%A2%E6%80%A7%E5%90%8C%E4%B8%80%E7%97%87

二重人格(解離性同一障害)の人は,記憶の空白が見られる。

おそらく,乃木は,もう一人の人格が活動している間の記憶がないのだろう。

1話終盤,誤送金のミスをイジられ,「だから俺のミスじゃねーって言ってんだろー!」と突然激怒するシーンがあった。

この直後,元の通り,温和に話す乃木に戻る。

もし,この「激怒」の記憶があるならば,乃木はおどおどしながら全力で謝るのではないだろうか。

つまり,人格が入れ替わった瞬間の記憶はないことが想定される。

このことから,乃木のもう一つの人格が「VIVANT」として行動しているとしても,メインの乃木の人格はそれを知らないという可能性が高い。

なんの確証もないが,エンタメにおいて二重人格設定のみそは,多人格の行動に関する記憶の有無なので,可能性は低くないだろう。

本よし,演出よし,役者よしの超大作

職業柄,精神医学的な設定が出てきたら食いついてしまうのだが,本作の魅力はもちろんそこだけじゃない。

どんどこ進む緊張感のある展開に,「金かかってんなあ」と思わせるアクションシーン,大量の動物を扱った場面,そしてこれらの大規模脚本演出に負けないオーラと演技をする役者たち。

1秒たりとも目を離すのがもったいない仕上がりだった。

お腹いっぱいで,逆に2話目に行けなかった。

この興奮が落ち着いたら,2話目に挑みます。ワクワク!!

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