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ストリートファイター 春麗SS

ベガのサイコオーラが染み込んだ春麗は舌を出しながら駆け寄ってくる。少しばかりのよだれを携えて。

普段の彼女も相当な瞬歩の使い手だが、此度の彼女の足運びーー足捌きはーーッ!!ーー

俺は彼女が繰り出したハイキックを十字のガードでなんとかっーなんとか受け止めるッ!!ぐうううッ手が痺れるッ!!

                                ーー違うッ!!

足運びが早いだとか遅いとかの次元じゃあないッ!
滑るようになめるようにして伸びてくるッて感じだ!!

そんな事を考えている暇は無いッ!俺は思考の海からプハッと顔を出し息を吸うーー次いでに繰り出されていた掌底も弾くッ!いつもの爽快で蒼い気功オーラとは違い、ドス黒いPSYCHOオーラに包まれたそれを見ていると、吸い込まれそうでーーいや、見るなッ!!

                              〝すぱァン!!〟

と俺は気持ちのいい位飛んでいる。吹っ飛ばされた。あれこれ考えているからさーーッ。くそっ何を食らったのかすら分からないーーッ!!

それでもジンジンと痛む腹部にオーラの残り香は感じない。

               ーー手加減をしているのかーー!?

みると、彼女はときたま苦しそうに額を抱えて皺を作っているではないかーーうだうだ考えている暇はないんだぜ主人公!!

俺は駆け出す。それと同時に手元でくくっと波動を練り上げる。うさんくせー挑発長髪括り好楽だっが、その技前の方は確かなものらしい。

               確か、こう言ってたハズだーー

                           「我道拳ッ!!」

俺は掌に練り上げられた紫色の波動を思い切り春麗さんにぶつける。避けられるかーーと思ったけど、存外hit。でもダメージはないっぽい。特に体勢を崩すことなくこちらに向かってくるーー

が、ふと立ち止まり、急にーーまたもや頭を抱えながら、ふらふらとーーまるで頭の上にひよこか星でも周回しているかのようによろめいている…

〝が、どうけんーー〟と口走る彼女。
知り合いなのか?あのピンクの道着漢と。あの時ーー

「なあ、兄ちゃん、オモシレーもんみせてやるから一万円くんねーか??」

と、公園のベンチから話しかけてきたあのピンク漢…

確かに一目見た時は驚いたこの紫の波動…俺が真似したところ、一撃で真似出来てしまってちょっと引き攣り気味に、さ、さぁてと、これでサクラ?と一杯引っ掛けてくっか~ーーそんな風にして俺からくすね上げた万札でひらひらとさよならを演じたあの男ーー花見の季節ではないのでサクラと一杯ってのは恐らく女の子だろがーーまあ、モテそうにも見えないがーー

さあてと、我道拳ーーでいいんだよなきっと。宛てた字は知らんがあの風体からして我が道でいいハズだ。それからムキになって見せてきたあの技ーー

丁度よく春麗さんが気を持ち直して跳んでくる。うへえやっぱはええな。太ももがぶるぶる震えてるーーと、その太もも食らったらマズイんだぜ、そんなこと考えてるうちによーー

俺は、するりと半身を翻し、それからだっきゃッッ!?ーーしたつもりが二の脚三の脚ッ!!あまりに早すぎる連脚!!

ーーこれは吹っ飛ばされて運が良かったんだろうなーー

俺は口元の血を親指で拭ってダッ!と駆け出す!!ーーそうとしたけど、ゴミ袋でも拾ったのかーー底面がずるりいッ!!思わぬ拍子に転がっちまうーーッ

回転の最中、ちらりと見えた春麗さんの表情は薄紫で白目だが実に驚いている事が分かる。いや、俺が一番驚いーーいや待てーーここだッ!!

                           『蛟龍拳ッッ!!』

ダンが見せたあの技ーーアッパー状に繰り出して以て跳ね上がるようにて小足をーーッて、そんな説明はどうでもいいッ!!

俺は紫色の波動を腕に纏わせてーー一撃。春麗さんの胸元にちょっとカスっちゃったけど…ゴメンネ!と俺は心の中で片手で謝る。

見事に顎元にヒット。すごいゴリッて音したけど、大丈夫かい??舌とか噛んでないよね??女性はおろか男も別段殴ったことないから、人体とか殴り慣れてないんだよねーー大丈夫??人体…

ダウンするもすぐに起き上がる春麗さん…うげェーータフなこってーーダンさんは俺に蛟龍拳ーーでいいんだよな。蛇みたいな人だったしーー食らわせる時に、波動を纏わせては来なかったーー手加減をしてくれていたのだろう…俺が波動を纏わせた蛟龍拳を試しに撃った時、少し泣いていた気がするがーーグーサインをしてくれたのでそんな事はないかーー

とか考えてるから、俺の鳩尾に思い切りよく

                             『気功拳ッッ!!』

が炸裂ううううっ!くっそぉ。空中でがががってちょっと何段にも浮いたぜバっキャロゥ!!

よろよろと俺はなんとか立っているーーが、それだけだ。踏ん張りは効かない…

そんな頃合、具合を察したのだろうーー春麗さんは飛び掛り大技を繰り出してきたーー 一迅の蹴りーーそれだけだけど凄く美しい。まるで夜空に輝く星座のようだーー

             このまま食らってしまってもーー

そう思った時、俺の懐で何かががさがさっーー

それで俺は気を取り戻す。それからしゃがんで何回転しただろうかーーとにかく無我夢中で前転前転前転転ッ!!超余裕っス!!と心の中で嘯き励ます!!

そのままの体勢で春麗さんはゴミ袋の束の中へーー

普段の春麗さんなら無事に着地したんだろうけど、高ぶってる今じゃあなーー

と、一拍が生まれたので一呼吸ーー

俺は懐に忍ばせておいたあれを取り出すーー

                     助かったぜ、ダン師匠ーー

懐からは、見事に中心からへこみをみせたダン師匠のサイン色紙が出てくる。

これでカウボーイバッヂよろしく生命が助けられたってェワケじゃないけど、まあないよりはきっと和らいだだろう。ありがとうございます、ダン師匠。

そんな感じで俺はそれをしゅるんと手裏剣の如く前に投げる。もう既に春麗さんが迫ってきていたからだ。

一瞬、春麗さんの視界が遮られ、ひるんだ隙に俺は渾身の我道拳を食らわせる。

                                 リーチ0距離。

なんかいつもよりでっかくねえか我道拳ーー
それが春麗さんの体を貫きーーと同時に邪な紫色のオーラも根こそぎ押し出してゆく。

おいおいなんて技持ってるんだダン師匠。俺はマジであんたを尊敬するぜーー



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それからしばらくして春麗さんは目覚めた。
しかし様子が変である。青ざめた顔からは脱却したのにーー火照っている。

それから春麗さんは俺に抱きついてきて、耳元でーー

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