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EV放浪記1.0

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自宅に充電設備がないのにうっかり電気自動車を買ってしまったら…。野良EVの日々を記録。夕刊フジでの2021年8月〜2023年5月連載分。 2023年6月〜EVsmartブログに掲…
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【001】充電クエストは意外に楽しい

 世界各国で脱ガソリン車の動きが加速。電気自動車(EV)に注目が集まっている。日本の道路ではエンジン付きのハイブリッド車(HV)が主流だが、ちらほらEVも見かけるように。買い替え候補に考えている人もいるのでは。とはいっても、まだまだ充電網は万全とは言い難い。そんな中、充電設備のない集合住宅に暮らすフリーライターが、つい「ホンダe」を衝動買い。充電スポットを求めて走り回る「野良EV」の日々を送ることになった。未来を先取り? それとも気が早すぎた?  「どれぐらい売れてますか?

【002】初のセルフ給電にドキドキ

 電気自動車(EV)といっても、ハンドルやペダルの操作などはガソリン車と変わらない。ホンダeに乗り始めて、最初にドキドキさせられたのは充電だ。感電したりしない? そういえば、セルフ給油のガソリンスタンドも、慣れるまでは緊張したっけ。  近くのショッピングモールに充電スポットがあったので、買い物ついでに充電にトライすることにした。駐車場の専用スペースに止めて、充電口のフタを開ける。コンセントの親玉みたいなのがある。なるほど、給油口にホースを突っ込む代わりに、ここにコードを繋げ

【003】電気代はガソリン代より安いけど…

 「高っ、こんなにするの?」。思わず突っ込んでしまった。ホンダeを見積もりしてもらった都内のホンダ販売店。営業マンK氏が口ごもる。「まぁ、そうですね」。車体価格のことじゃない。付属品のフロアマット3万9578円って。K氏は「マットはあった方がいいです。下取り価格が変わりますので」と勧めつつも、専用品でなくても、と正直なことを言う。汎用品なら1枚2000円。悪いけど別で買いますね。最初に出てきた見積額は、諸費用込みで488万4003円。さて、フロアマットもガラスコーティングもい

【004】自宅近くで無料充電網が完成

 急速充電が24時間無料で使える区役所駐車場のおかげで、順調な滑り出しとなった電気自動車(EV)生活。ただしEV乗りには「神スポット」とあって人気も抜群。数回に1回は順番待ちだ。そこで、他の充電スポットも探すことにした。まずは区民センターの地下駐車場。ここはさらに自宅に近い。オープン時間は7時から22時。充電は無料だけど、駐車場が有料というのが気になったが、どうやら登録さえすれば1時間無料という特典があるようだ。急速充電は一回30分。十分間に合う。  いつもなら歩く距離を、

【005】高速? 低速? 充電ロシアンルーレット

 車で出かけて、わざわざガソリンスタンドの場所を調べた経験なんて、それほど多くない。うっかりガス欠寸前とか、峠道に入る前に入れたいとか、特別なケースだけ。ふつうは、走っているうちに見かけたスタンドで給油したら済む。  ところが電気自動車(EV)では、そうはいかない。ホンダeのHPによると、全国の充電器設置数は約2万1400基。減り続けるガソリンスタンドが3万カ所を切ったことを考えたら、逆転も近そうに思える。でもそれは錯覚。設置数の3分の2は普通充電器なのだ。充電に時間がかか

【006】もうブレーキは踏まない?

 アクセル、ブレーキ、クラッチ、右からABCと覚えるべし。なんて教習所で教わった。いや、友達の兄貴からだったか。いずれにせよ、初めて乗った車はクラッチ付き。エンストさせないように緊張したのが懐かしい。でも、クラッチ付きの車なんてもう何年も乗ってない。マイカーはずっとオートマ。ペダルは2本だけ。それが電気自動車(EV)のホンダeで、ついに1本になってしまった。  ペダルそのものは2本ある。アクセルとブレーキ。一般的なAT車と同じ。でも「シングルペダルコントロール」というモード

【007】タイヤがついたデジタル家電

 電気自動車(EV)に乗り始めたのは、脱炭素社会に貢献したいとか、立派なことを考えたからではない。いや、地球温暖化はなんとかしなきゃ、とは思っているけれども。昨年秋、たまたま本屋で見かけた自動車雑誌の表紙に「ホンダe」が載っていた。ほんとに市販車?と雑誌を買い、試乗して気に入って現物も購入。絵に描いたような衝動買いだ。  ミニとかフィアット500とか昔の日産フィガロとか、コロンとした感じの車が好き。なので最初は見た目。EVだというのは、むしろマイナス要素だった。何度か書いた

【009】長野・白馬村に電気自動車が大集合

 全国各地から電気自動車(EV)のユーザーが集まるイベント「ジャパンEVラリー白馬」が23、24の両日、長野県白馬村のエイブル白馬五竜スキー場で開催された。マイカーのホンダeで初参加してきたので、どんな様子だったかご報告。  主催はEVの普及活動をしている市民グループの日本EVクラブと白馬EVクラブ。年1回開催で8回目となった今年、ラリーの参加台数は60台となり、なんと昨年から倍増。コロナ禍からの回復という要素もあるはずだが、EVへの関心が高まっていることも見逃せないだろう

【010】魅力はサステナブルな野生

日本EVクラブ代表理事・舘内端さんインタビュー  「サステナブルな”野生”なんだよ、大切なのは」。電気自動車(EV)のユーザーが全国から長野県白馬村を目指して走る「ジャパンEVラリー白馬」。その創設者で日本EVクラブの代表、舘内端さん(74)はそう話し始めた。  「移動というのは人類に必要なもの。車の運転には、生命をいきいきさせる要素がある。それは野生の本能ともいえる。でもエンジンを積んだ車は、二酸化炭素(CO2)や有害物質を排出する。EVに切り替えたら、環境負荷を減らし

【011】旧車をEV化 滑るような走りが魅力

OZ MOTORS代表・古川治さんインタビュー  2021年度のグッドデザイン賞(日本デザイン振興会主催)が発表され、横浜市のガレージビルダー、オズモーターズが作る「コンバートEV」が金賞を受賞した。ビンテージカーを往年のデザインのまま電気自動車(EV)にカスタムし、環境負荷を低減したエコカーとして乗り続けられるようにする。同社代表の古川治さんは「古いものと新しいものを組み合わせてできる、まったく新しい何か」とその魅力を語る。  「ビンテージカーは、デザインやシンプルさが

【012】「路上で充電」今後のスタンダードに?横浜市が社会実験

 横浜市で、電気自動車(EV) の急速充電スタンドを公道上に設置する社会実験が行われている。日本ではこれまで路上に充電器はなかった。EVに乗って半年あまり。使ってきた充電スタンドを思い返せば、たしかに駐車場の一角に置かれたものばかりだった。  初の路上充電を試してみようと、ホンダeで出動。東京から国道246号を西へ1時間ほど走る。実験地の横浜市青葉区しらとり台は、郊外のベッドタウンという雰囲気。住宅地のそばには農地が広がっている。  神奈川県道170号に「社会実験実施中」

【013】待ち時間をもっと楽しく 充電+グルメ「EVごはん」

 電気自動車(EV)のデメリットとして、真っ先に挙げられるのが充電時間の長さだ。急速充電はだいたい一回30分、普通充電だとさらに長時間、車を充電器につないでおく。内燃車の給油は5分で済むのに、という指摘だが……。  「30分もかかるなんてありえない、とか言われるんですが、そんなに不便さは感じていない。むしろ30分じゃ足りないことも多い。充電時間を楽しめるかどうかじゃないですか」  そう話すのは、マーケティングコンサルタントの石井啓介さん。充電時間をもっと楽しむためのSNS

【014】無用になって気づいたガソリンスタンドの大切さ

 電気自動車(EV)に乗っていると、ほとんどガソリンスタンドに立ち寄らない。だって必要なのはガソリンではなくて電気。充電スタンドを併設した給油所もあるようだけど、まだまだ数は少ない。  先日、久々にガソリンスタンドを訪ねたのは洗車のためだった。セルフ式の機械でホンダeを洗って、敷地の隅で水滴を拭っていたら、スタンドの店員に声をかけられた。「これ、なんていう車ですか?」。そりゃ知らないか。EVとガソリンスタンド、同じクルマ業界でありながら、パラレルワールドのようだ。  以前

【015】SC完全制覇のゆっでぃさん テスラ・モデル3交換試乗

 愛車の「ホンダe」を買ったときは、他にどんな電気自動車(EV)があるのかも知らなかった。乗っているとEV全般に興味が広がる。箱根で行われたEVミーティングで出会ったテスラ・モデル3のオーナーさんと、マイカーを交換試乗することになった。  最近街でもよく見かけるテスラ・モデル3。山梨県忍野村の会社員、ゆっでぃさんが乗り始めたのは2021年2月下旬。18歳から乗っていた「ホンダ・フィット」に次ぐ2台目のマイカー。内燃車のSUVを考えていたそうだが、テスラの紹介動画をみて3日後