見出し画像

【003】電気代はガソリン代より安いけど…

 「高っ、こんなにするの?」。思わず突っ込んでしまった。ホンダeを見積もりしてもらった都内のホンダ販売店。営業マンK氏が口ごもる。「まぁ、そうですね」。車体価格のことじゃない。付属品のフロアマット3万9578円って。K氏は「マットはあった方がいいです。下取り価格が変わりますので」と勧めつつも、専用品でなくても、と正直なことを言う。汎用品なら1枚2000円。悪いけど別で買いますね。最初に出てきた見積額は、諸費用込みで488万4003円。さて、フロアマットもガラスコーティングもいらないので、精一杯勉強してハウマッチ?

 乗っていた軽四の下取り価格が約39万円で、支払額は425万円ちょうどに。K氏は電気自動車(EV)の車両購入補助金を申請してくれて、経産省のクリーンエネルギー自動車(CEV)補助金35万円、東京都の普及促進事業の補助金45万円、計80万円が口座に戻ってきた。最終的には、乗り換えに345万円必要だったことになる。

 その後のランニングコストはというと…。ホンダeの電費は、デジタルメーターにリアルタイムで表示されている。街乗りの平均は約7.6キロ/kWhだ。そして最大充電量は35.5kWh。と言っても最初はkWh(キロワット時)という単位からして意味不明。いろいろ調べた末に、要は”満タン”が35.5リットルで、リッター7.6キロの内燃車と同じことだとわかった。

 あとひとつガソリンと違って戸惑ったのは、同じ時間をかけても、バッテリー残量や発電機の出力によって充電量が変わること。ホンダの充電カードは分単位の従量制(急速充電が1分17.6円)なのに、入ったり入らなかったりする。最近やっと効率のいいやり方がわかってきた。なるべくバッテリーを減らしてから、出力の高い充電器を探す。すると30分で15kWh以上充電できる。安いガソリンスタンドを探すようなものか。

 試しに、下取りに出した軽四とコストを比較してみる。平均燃費はリッター14キロだった。レギュラーガソリンが1ℓ150円として、100キロ走るのに1071円かかっていた。ホンダeは、100キロ以上走れるようになる30分充電が528円。

 保険料や税金などの維持費に差はあるが、燃料(電気)のコストは軽四の半分。しかも、前回書いた通り、遠出した時以外はほとんど近所で無料充電できるという恵まれた環境のおかげで、これまでに約4000キロ走って、かかった電気代は4177円。以前の10分の1程度で済んでいる。

 めっちゃ得やん、と中一の長男に自慢したら、「345万円モト取るのに何年かかるの?」。んー、半世紀ぐらい?「父ちゃん、そんなに生きてないんじゃないの」。たしかにな。

(夕刊フジ/2021.9.9)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?