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佐野市立記念美術館へ行き、美術鑑賞について思索しました。

父親でもある上司、スタッフMさんと、栃木の佐野市立吉澤記念美術館へ。


小杉放庵、板谷波山の優品が揃い踏み。そんなに会場規模は大きくないですし、東京の外れにある家からしっかり3時間かかりました。でも、でも、行ってよかった!それだけの価値がある内容でした。

放庵は、日本画でほんわかした作品を描く人というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。金太郎や好好爺などを描く印象が私の中ではありました。
けれど、最初は日本画ではなく油彩から始めました。そして欧州へ留学したり、試行錯誤していわゆるあの、よく知られた『小杉放庵スタイル』を築いたようです。

もう一つ、今日知ったことがあります。それは作品を描く紙がある時から、特別に作った麻紙だということ。上司曰く、それも放庵作品特有のほっこりした画風に生きているのではとの事。確かに同感。

松尾芭蕉の俳句を賛として書いていたり、様々な童話をモチーフに取り上げていたり(浦島太郎、竹取翁、花咲爺、天狗舞など)、作家としての好奇心、教養が垣間見えました。

板谷波山の展示品は、もう、ほんとに、秀品ばかり。波山の特徴の一つとして、全ての作品ではありませんが、模様を彫っているということがあります。その上で釉薬掛けをして窯焚きしているそう。模様は紫陽花、牡丹など様々ですが、とにかくその模様も秀逸の一言。今なお非常に高値で取引されている陶芸家です。

今日を振り返って思うことは、やはり美術鑑賞においては実際に足を運び自分の眼で観ることが何より大切だという事。今、時代はデジタル化しておりますが、写真では全く五感が刺激されません。芸術鑑賞に関しては、時代に逆行すべきだなと思いました。

しっかりと、自分の眼と感性で観る。時を越えてきた美術品を。それはきっと、一時的な心の潤いではなく、本質的な心の栄養をもたらしてくれるのではないでしょうか。

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